見出し画像

「透明雜誌」ってバンド知ってる?  Do you know "Touming Magazine"?

このnoteは台湾・韓国などのアジアのインディーバンドを紹介する記事です。

If you would like to read this article in English, please click here.(この記事の英語版はこちらからどうぞ!)

海外の音楽を聴いてみたいけど何から聴いたら分からない・・・という方は、アジアのバンドがおすすめです!なぜならアジアのインディーバンドは日本の音楽と似ており、洋楽よりも聴きやすいからです。

そして今回のnoteでは台湾の「透明雜誌(読み:トウミンマガジン」を紹介します。アジアのバンドの中でもすごく聴きやすいロックバンドの一つです。


1.透明雜誌とは?

彼らは2006年に台北で結成された4人組のバンドで、台湾インディーロックの代表的な存在(だと勝手に思っている)です。

メンバーは、

・洪申豪(ボーカル / ギター)
・張盛文(ギター)
・薛名宏(ベース)
・唐世杰(ドラム)

の4人で、ボーカル/ギターの洪申豪(ホン・シェンハオ)さんは2016年より「VOOID」という新しいバンドを始めています。
まずバンド名からしてナンバーガールの「透明少女」を彷彿とさせますが、タワーレコードのオンライン記事によると、彼らはナンバーガールをはじめ、ピクシーズやソニック・ユース、スーパーチャンク、キャップン・ジャズ、ウィーザーなどからの影響を公言しています。


そして彼らは今までに3枚の作品を出しています。

・透明雜誌 4 TRACKS EP(2007年)
・我們的靈魂樂(2010年/邦題:僕たちのソウルミュージック)
・透明雜誌FOREVER EP(2012年)

この中でも特におススメなのが2012年発表の「透明雜誌FOREVER EP」です。どの作品から聴いたらいいか分からない~と言う方はまずこれを聴いてみてください。YoutubeやSpotifyで聴くことが出来ます。(Apple Musicでも聴かして~!)


2.「透明雜誌FOREVER EP」から見る透明雜誌

次に「透明雜誌FOREVER EP」を基に彼らはどのようなバンドなのか、どのような音楽性なのかを個人の目線から考えていきます。


 私は高校2年生の時にこのEPを初めて聴きとても衝撃を受けました。最初は日本のバンドだと思うくらい耳なじみのあるロックサウンドで、これが海外のバンドか!?ましてや台湾!?その辺の音楽聴いたことないし!?と思いました。台湾のナンバーガールと言われていますが、個人的にはスパルタローカルズや銀杏BOYZも想像させるサウンドだと感じます。全体を通して荒々しい曲と少し静かな曲が混在するアルバムになっています。

セールスポイントは、「透明雜誌FOREVER EP」を聴くと失われた青春を取り戻してくれるかのように学生時代の楽しかった記憶が蘇り、ノスタルジックな世界に連れて行ってくれるところ。また、学生時代にあまりいい思い出がない人も、青春を過ごしていたと錯覚するように懐かしい気持ちになれるようなEPになっているところです。

また、ナンバーガールや銀杏BOYZに共通していることは、オシャレぶらずかっこつけず素直な気持ちを赤裸々にぶつける音楽スタイルだと思っていて、透明雜誌もありのままの彼らの気持ち・感情を素直に曲を通して表現しています。なのでリスナー側も気を抜いて聴けるというか、そのままで居られるという感じがします。

次にこのEPでおすすめの曲を紹介します。

①透明雜誌FOREVER


EPのタイトル・リード曲になっている透明雜誌FOREVER。

イントロのギターリフからもうワクワクした気持ちになり青春!を感じます。そしてドラムが「ドドン」と入り曲の始まりを感じAメロへ。乗らずにはいられない曲です。1番の途中、ドラムがライドシンバルのカップを叩きギターが同じフレーズを繰り返す箇所がありますが私はそこがノスタルジーポイントでした(懐かしさを感じ感傷的になるポイントをノスタルジーポイントとします)。青春なのに切なさを感じます。そしてそのあとギターソロが入るのもすごくグッと来ます。大サビの前のドラムの畳みかけて大サビはゆっくりとしたリズムで進み、感傷的になる部分がナンバーガールの透明少女に似ていると感じました。

サビで「We are forever young」という歌詞を繰り返していて、自分のことだけでなくこの曲を聴く全員に対してWe are forever youngと投げかけている感覚がしました。

また、Youtubeのコメントでこの曲の歌詞の日本語訳を載せている方が居ましたので引用させていただきます。

 ごく普通の昼下がり
 每一個普通的下午
 あなたは部屋からすぐ出ていきたいけど、外は雨足が強い
 每個看起來就快下雨的下午 你想要立刻從這個房間中消失
 しかし雨の中飛び出して、長時間かけて全力で駆けて行った
 用盡全力在雨中跑好幾個小時

 あなたはその感覚をよく知っているはず
 你知道這種感覺很好
 あなた自身がその感覚を欲しているとわかっているはず
 你知道你想要這樣
 例え転んで怪我して失望して涙を流すことになっても
 就算會跌到受傷流淚失望
 それは大きな問題にならない
 也沒什麼大不了

 だから一緒に外へと出ていこう
 就這樣衝出去吧
 飛び出して、外の世界とぶつかろう
 就去跟全世界打架
 私もあなたも全身に傷を負うことになるだろうけど
 然後我和你帶著滿身的傷
 一緒に寝てあげるから
 靠著彼此睡著

 やがて私がいつかあなたと離れても
 有天我會離開
 あなたに笑顔が残るように願っています
 我希望臉上有微笑

 あなたは言った
 你說

 ”We are forever young” (From Noumisan)(YouTubeコメントの引用の仕方、どうやるんですか!)

このコメントを見るまで歌詞の内容をほとんど知らずに聴いていたのですが歌詞を知るとまた印象がガラッといい意味で変わりました。それまでは10代後半~20代前半の若い男性が自分の青春を歌っており、「俺たちは永遠に若いぜ!!!」的なことを言っているように感じていたのですが(完全に勝手なイメージです)、歌詞を見ると、[君が立ち止まってしまわないように僕が君を支え、あなたの笑顔や幸せを願っている]というような優しく切ないメッセージが込められていると感じました。そして僕も君もずっと若くいよう(心が)という気持ちなんじゃないかな、とまた勝手に再解釈しました。そんな優しくて切ないけれど真っすぐな気持ちをナンバーガールのようなロックサウンドに乗せていたのかと思うと余計に好きになってしまいますね。(ね!)


②ノラネコ



EP2曲目のノラネコ。最初のギターのメロディ本当に良い!!!弾けないけど思わずエアギターでも弾きたくなるようなメロディ。爽やかなのに嫌みがないと言うか、爽快なのに熱い気持ちが伝わってくるというか。汗臭い運動部の男子高校生が三ツ矢サイダーを飲んでいるイメージが湧きました。汗臭い運動部の男子高校生の皆さんすみません!


③ビールが待ってる


EP3曲目のビールが待ってるも爽やかなのにオシャレ過ぎず嫌みがない聴いていてとても気持ちの良~い曲です。この曲はドラムパターンなどがandymoriの要素強めかなと感じました。あとギターソロがとても好きです。最後、曲が急に終わる感じもandymori味を感じてしまいました。

④come together, tomorrow night


EP5曲目のcome together, tomorrow night。これはナンバーガール、andymoriともまた違い、銀杏BOYZ寄りのイメージを感じました。叫びから曲が始まるところやスネアのドッタドッタみたいなフレーズがめちゃくちゃ銀杏ぽいです。


以上のようにこの透明雜誌FOREVER EPには色々な影響・要素が詰まっているように感じます。6曲入りですがとても内容が豊富で多くのジャンルから影響を受けた透明雜誌の色を楽しめる1枚です。


3.現在の透明雜誌

透明雜誌は2012年の透明雜誌FOREVER EP以降、作品を発表していなかったようなのですが2020年12月に、彼らの2枚目の作品である「僕たちのソウルミュージック」が10周年記念アナログ盤として発売されるそうです。しかし各サイトではすでに予約完売しており手に入れるのが困難となっています。私も予約しようとしたらもう終わっていました・・・泣 そのくらい透明雜誌は2020年でも人気があります。それはナンバーガールやピクシーズなどの沢山のバンドの楽曲スタイルを自分たちの中に取り入れ育て上げ昇華させ、「透明雜誌」という新しいジャンルを創り出した彼らならではのオリジナルの音楽スタイルが確立しているからです。そしてそれが成立しているのは彼らが音楽やバンドに対するリスペクトが大きいからでもあります。そんな透明雜誌のことを私はとてもリスペクトしています。

この「僕たちのソウルミュージック」というアルバムも本当にめちゃくちゃにかっこいい~~~というか邦題の曲タイトルの並びを見るだけで聴きたくなる内容してるので一曲ずつ解説したいところですが、また今度します・・・。

そしてこれからもっとアジアの音楽が進出してくる中で、透明雜誌の音楽の価値はますます高まっていくことは間違いないです。音楽好きの皆さん、これからアジアの音楽聴こうとしている皆さん、透明雜誌は必聴ですよ!!

透明雜誌、かっこいいのでぜひ聴いてください。



おわり^^

筆者が作成したアジアンインディーロックのプレイリスト↓



参考文献

「台湾発の注目バンド、透明雜誌が新録EPを日本でメジャー・リリース.」『TOWER RECORDS ONLINE』2012年5月17日tower.jp/article/news/2012/05/17/n06

「透明雜誌.」『ウィキペディア』
ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%8F%E6%98%8E%E9%9B%9C%E8%AA%8C



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?