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守備範囲外でも静かにがんばっていた

カタクチイワシの目刺しを食べた。
案外、旨かった。
いや、正直これで十分だ。

イワシと一口にいうが、主要なイワシは3種だ。

マイワシ

[分類]ニシン目 ニシン科 マイワシ属
一般にイワシと呼ばれるのがこのマイワシ。
刺身にしてよし、寿司にしてよし、焼いてよし、煮てよしの万能選手。

ウルメイワシ

[分類]ニシン目 ウルメイワシ科 ウルメイワシ属
大きな目がウルウルしているからウルメイワシ。
残酷にもその目を棒で刺し、吊して干す目刺しにして美味。
このため鮮魚ではなかなか出回らない。

カタクチイワシ

[分類]ニシン目 カタクチイワシ科 カタクチイワシ属
下あごが小さく、上しかないように見えるからカタクチイワシ。
海産国・日本でもっとも漁獲量が多い魚がこのカタクチイワシ。
主に稚魚をしらす干し煮干しにし、成魚は安価。
塩漬けはアンチョビ、油煮はオイルサーディンとして知られる。
セグロイワシも、小イワシ(広島)も、ホウタレイワシ(四国)も、このカタクチイワシのこと。

まるで図鑑になったが、ふだんイワシと呼んでいる魚は主にこの3種。
それぞれに旨くなる道があり、適材適所で使われているのだ。

目刺しにするのは多くの場合、ウルメ。
でも今回食べたのはカタクチだ。

スーパーでは隣り合っていたが、値段も違った。
ウルメの目刺しは8尾で298円。
対するカタクチの目刺しは同じ8尾で198円。
安いから、いや、安いけどどんな味?とカタクチを手に取ってみた。

ところが、冒頭に書いたとおり、カタクチの目刺しは十分に旨かった。
食卓に二つが並んでいれば、きっとウルメが旨いと手を伸ばすのだろう。
でも、カタクチはカタクチで立派にやり遂げていたのだ。
ウルメが横にいたのでは気づけないカタクチの仕事。

守備範囲外でも静かにがんばっていたカタクチイワシ。
僕もそんなふうに仕事をしたいものだ。

(2022/12/24記)

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