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しっかりと好奇心を維持していかないと

僕は子供の頃からいたって視力がよい。
小学校の健診ではずっと両目とも2.0を続けた。

視力検査といえば、ランドルト環。

画像1ランドルト環

高学年になるとそんなはずはないと思われたのか、ランドルト環はすべて正しく読んだのに「1.5(2.0)」と追い風参考記録のようなかっこ書きに。

中学生になるとなぜか1.5までで打ち切られ、両目1.5宣告。
おーい! 2.0のも余裕で見えてるってば!

その調子で高校、大学、社会人の今に至るまで、環はすべて読破した。

***

ここに来て老眼が進み、前まで見えた小さな文字がぼやけるようになった。
おそらく2.0の環はもうくるくる回って判別できなくなっているだろう。
ふと目に入ったポスターがおもしろそうと思っても、小さな字が読めない。

自分がブランディングに従事しているからというのもあるだろうけど、町のポスターにはいろんなヒントが詰まっていると思っている。
マーケティングのヒント、ブランディングのヒント、コピーのヒント、デザインのヒント、時代のヒント…

これまで僕は、とくに電車の中では可能な限りポスターに目をやり、吟味する時間を取っていた。
なぜあんな訴え方をするのだろう、どうしてあのタレントを使うのだろう、なんであんな色使いなんだろう、と。
どんなに考えたところで正解は分からないが、考えるだけでも少しは意味があるに違いないから。

しかし老眼で見えづらくなってしまった。
そうなると、まぁいいかと思うようになってしまったのだ。
無理してピント合わせようとすれば、たちまち激しい頭痛に襲われ、その日をまるまる棒に振るから、もう見られない。
僕は社会から学ぶチャンネルを一つ、自ら閉じてしまったのだ。

視力は好奇心の源だ。
寄る年波には抗えないが、せめて目はいたわって、しっかりと好奇心を維持していかないと、それこそ本当に年波に呑まれてしまう。

(2022/3/10記)

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