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リンガーハットは軽々クリア

「ちゃんぽんが食べたい」
高2の息子が突然言った。
「あれ、もう一度食べたいわ」

え、それってもしかして長崎〈四海樓〉のちゃんぽん?
7年前、最後の家族旅行らしい旅行で九州をぐるっと周り、長崎で立ち寄ったのが〈四海樓〉。

〈四海樓〉はちゃんぽん・皿うどん発祥の店だ。
竜宮城を思わせる建物は悪趣味だけど、とにかく大人気で行列が絶えないから、ちゃんぽん御殿を建てたくなった気持ちも分からないでもない。
明治32年創業と歴史は古く、味はもちろん確かだ。
ごった返す店内で1時間ほど待ってようやく通され、当時まだ小5だった息子もうまいうまいとすすった。

発祥の店・長崎〈四海樓〉のちゃんぽん

いやいや、そんな大御所的ちゃんぽん作れんよ?
それはやっぱり、大人になったらまた彼女とでも長崎へ行…

「すぐ潰れたからな、もう一度行っとくんやった」
彼は家の近所のリンガーハットの話をしていた。
自転車屋のあとに入ったリンガーハットもまた、1年ほどで潰れたのだ。

「おぅ、それやったら作れるわ」
そう安請け合いしたが、ちゃんぽんなど作ったこともない。
白濁したスープはどうやって作る?とネットでレシピを検索する。
「牛乳」
なんということ…
検索結果を上から5つ開いてみたが、いずれも「牛乳」の文字が。
店のちゃんぽんは牛乳など入らないようだが、家庭では牛乳を入れて白濁を手軽に再現するようだ。

僕は牛乳が苦手だ。
幼稚園に行く朝、時間がないのに飲まされた脱脂粉乳を盛大に吐いて以来、牛乳はキンキンに冷えてニオイと味がしない状態でなければ飲めない。

そもそもなぜ牛の乳を飲まなければならないのだ?
仔牛にとっては最高の栄養源だろうが、だからといってヒトが飲むのはまったく別の話だ。
そんなものを飲んで角が生え、尾がぶら下がったらどうするのだ。

ヒトにはヒトの乳があるのに、なぜそれが商品化されないのだろう。
有機野菜の売場のように、顔写真入りで私が搾りましたと書…
そこまでにしとき!と学生時代に友だちに止められたな。
まぁ自分でも変態チックだと思いながら言っていたが、冷静に考えるとなぜヒトがヒトの乳を飲む想像をすることを変態と思わねばならないのか、それは今でも疑問として残る。

まぁとにかく、牛乳を入れるのならちゃんぽん計画はなしだ。
と思ったら6つめのレシピに「牛乳が苦手な方は豆乳で」…これだ!

ほれ、息子よ、できたぞ。
ついでにパラパラ炒飯も、作ったぞ。

絹さや入れたかったな…彩り悪し…

なんや、こんな簡単に作れるもんやったんか。
めっちゃうまいやん。
リンガーハットは軽々クリア。

次は豆乳を入れず、ちゃんと白濁スープを作って〈四海樓〉を目指さなな。

(2023/9/19記)

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