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建築科で『仕事に役立つ』授業ってどれ??②

建設業界へ就活中のひとへ。以前「仕事に役立つ授業ってどれですか」で、施工や物理、数学についてちょろっと触れました。必要だから学校で教えてるんじゃないの!?っていうのは否めないけど、仕事にその場で直結するモノを選ぶならこの3つって話。

その先は職場のやってることと、雰囲気と必要とされている技術から引き出して身に着けていく方が速い。フックは引っかけてる。

ただ。せっかく建築を学んで就職して働き始めたょ!って時に、「なんかイヤになってきた」って気持ちになってほしくないんだよな…って思いがムクムクしてきたので。ちょっぴり続きと就職時の失敗談を書いてみましたww

第一に
『建築&建設業界に、接客を受けるような優しさと思いやりを求めてはいけない』

授業と全然関係ないやん。と思うかもだけど、実は学ぶ&アウトプットのクセがついてる方が伸びが速いと思っていて。特に施工や物理、数学は何がわからないのかわからないと先に進めないじゃない??丸暗記だけじゃ撃ち抜けない。

で、そもそも速さと正確さ、人の命を背負って、人の命を守る建物をつくるひとたちは教えることに長けていないww責任ある立場に上がれば上がるほど、理解しておかなければいけないことは当然増えていく。段々どころじゃない、建築の仕事の範囲は多岐に渡るから法令も計算も専門用語も、詳しければ詳しいほど仕事はスムーズにいくことが多い。常に頭をフル回転してムダな手戻りや指示ミス、受けミスを減らす努力をしている。

だから、学校にいる間に学び方のクセをつけておいた方がいいんじゃないかな、と思うのがわたしの持論です♫で、それは割と施工、物理、数学で身についていることが多いな、と。

聞くこと・教えてもらうが悪いことじゃない。ただ正直期待するほど丁寧に教えてくれる環境に恵まれることはほぼないと思って行った方がイイ。

普通、会社に入ったらちょっと実習期間とか教育期間的な時間、たくさんあるだろう〜とか思うじゃない??『研修あり』とかHPにも求人情報にも絶対書かれてるし。ちゃんと1から教えてもらえるんだろうなーって思うじゃないですか。入る前は。

わたしも思ったし。『次こそは、次こそはあるんじゃない!?まともな新人研修!!』って。

でも。実際ないんよ、そんなものww
大手建設会社でも特に用意されてないww
(むしろ入ってから自分たちで仕事のフローの資料やら足りない部分を作ったり。創立ウン十年の会社で)

正確に詳細に言えば研修ってあるにはあるんだけど。それは会社内のルールとか、システムの使い方とか、どんな部署があるかとか。一般教養的なモノを学び、社内の雰囲気に慣れる時間であって。

建築の仕事そのものを「1つ1つ教わる」時間ではない。

入ったその日からお給料発生してるわけだからww
仕事をしながら学んで、カタチにしていく。
で、当たり前だけど大概業務に当たり障りのないものか、誰かがチェックしやすいものから教えられていく。(雑務って言葉が好きじゃないから)

特に見積の作りかたとか図面の整理の仕方とか、行政への打合せの仕方とか資料作りとか。ましてや材料の名前や、現場で使う道具の説明とか?

そんなの「じっくり教わる」時間はないでし。
その場に入って実践する場所であり。
自分でつかみに行って身に着けるしかなかったりする。

可愛い制服を脱いだ数日後から、いきなり現場にぶち込まれて、常に仕事に追いまくられてる先輩たちから、聞きなれない言葉で指示されて。見覚えのない書類の束を渡されて、与えられた仕事から必死に覚えていく、って感じが多いのが実情かなーと。

いいか、悪いかはまた別問題として(涙)


で、そんな業界だから。受けの姿勢でいると1週間ぐらいでもれなく『使えない奴』とレッテルを貼られちゃうことも多々あって。向いてないのかなーとか思ったりする。まぁ、そんなのいつからでも返上できるから、あまりお気になさらず。

返上方法はいろいろあるけど、さらっとできる得意なことで早く結果を見せるのがいい。別に仕事に直接関係ないと思われる、『人の名前と顔』を早く覚えるでも、聞いたことをささっとイラストにまとめるでもいい。

チャチャっと自分ができてしまうことで、役に立てることがたくさん眠ってるはずだから。できるものから割り込んでコミュニケーションをとれるようにしていくといいと思う。手の混んだ時間のかかるものは必要ない。

そんな場所で早く慣れるためには、学校で習ったことや自分で調べたことなどを、早く表に出して積み上げていくことが大切で。事前に得た知識の点と点を繋いでピンポイントでググってでも埋めていくことが重要になる。

そこで、学校で学んでいたことや【学び方】が必要になってくる

「ちょっとココの材料拾っといて」とか。
「面積の確認しといて」とか。
「エクセルでコレ作っといて」とか。


始めは、誰でも出来そうなことから振られると思う。
特に事務的要素の強いモノで、ケガの心配のないモノから。
設計部隊だったら、設計図のトレースとか現場確認の写真の整理とか?
そこに『教えることに長けた先輩』がいればもちろんラッキー!理解スピードと、出来る仕事が急激に増えて、いつしか出来る人になっている。


目の前のパソコンに聞けることも多いし、たいがいマニュアルがあるから事務的要素は安心感もある。

ヤバいのは配属先が建設現場だった場合。
意外と『1人』になっちゃうこと多いんですよ、1年生でも。お留守番というかなんというか…ピリピリした雰囲気で朝いちばんに上司から「コレやっとけよー」って命令だけされて、見本の書類とか渡されて、途中でわからなくなっても誰にも聞けずに時間だけが過ぎて、電話応対とか洗い物とかしてたらいつの間にか夕方になっててメッチャ怒られるって!!パターン、よくあるww

当たり前だけど、凹みます。
理不尽すぎてイヤになる。

わたしも何度もありましたww
優先順位を間違えて『何やってんだっ!!』って、怒鳴られたことも1度や2度じゃない♫「ちゃんと考えてやりました」って言っても口答えすんなって怒られるし、質問聞きにくのもそのオーラがイヤでたじろぐ時もある。


現場は想像以上に「生き物」だし、予定通りにいかないことも多い。所長も上司も先輩も皆ピリピリしてない日を見つける方が、難しいって思う時もある。


もちろん、どんな時も焦ったら負けなんだけど、入社して慣れないうちは身体と思考が現実に追いついてこない。なぜ今、怒られているのかもきっとわからないことが多い。コレ、理不尽すぎるだろ!!と思うこともきっと多いはず。


だからせめて頭だけでも、うっすらとでもいいから、「なんか知ってる」記憶を繋げて、さっさとピンポイントで質問して、先に進める方が断然いい。精神的にも、肉体的にも成長率的にもいいと思ってる。

知識は繋げて『使うモノ』だから。そんな知識を建築の中で繋げやすく広げやすいand実践ですぐ使うモノと言ったら、具体的に示すとしたら『施工』『物理』『数学』だったという話。


ーーー
わたしが現場一発目に受けた洗礼(?)は、入社2日目。トランシットで建物と敷地の境界線を出していく作業があった。基準杭はもう決まってて、図面に示された距離と角度を見ながら距離測って、目印になる逃げ杭を打っていく作業。

男性の8個上の先輩と、4個上の職人さんとの3人での作業。敷地は広かったし、見通しもいい。店舗が建つ予定のまっさらな地。
トランシットを基準杭の真上に設置して、角度を出して次なる基準墨を出すため指示を出すのはわたし。

入社3日目の18歳のわたし。
ウソだろっ!?て思ったけど。


もちろん、先輩がチェックしてくれるの前提で
試されていたのもあると思う。

ブカブカのヘルメットの顎紐を最大限に縮めて。小さい丸いレンズをのぞき込む。釘の真上にトランシットの十字はしっかり重なっていた。
水平の気泡も中心に決まった!
レンズを覗いた先に、職人さんが持つスタッフ(メモリの入った棒)もドンピシャ。距離も測れた!


「もうちょい、右です」とか言いながら微調整して、8個上の先輩が木杭を打つ。

再度確認して、「さぁ、次のポイントへ!!」

「……ヤバい…そういえばコレ。首、どうやってふるんだ????」

(トランシットは首がくるくる回って角度を決められます↓↓)

卒業前に最後にトランシットに触ったのは、半年以上前。
しかも、学校にあったタイプとはもちろん違っていて。
手が止まった数十秒が、数分にも感じられ
手はジワリジワリと汗ばんでいく。

(このツマミだった気がする…??でも、違ってたら水平がズレるか角度を間違う!!!)

変な焦りが、背中をヒリヒリさせた。
口の中が一気に渇いてしょうがない。


おいっ!!なにやってんだよ!早く次の角度出せよっ!!135度っ!」


突然120mほど離れたところから、8個上の先輩の苛立った声が頭に響く。

「はい!!!」と返事はしたものの…
……………………いやーーーーーー、やっぱ無理っ!!


「……すみませんっ!!!コレ、首どうやって振るんでしたっけーー!?!?」


必死に叫び返したら、4個上の職人さんと8個上の先輩が顔を見合わせて。8個上の先輩がすっごい仏頂面でダッシュしてきた。

「お前、何言ってんだよ!」とヘルメットをペシッと叩かれ、つまみを1か所だけ回すと。また120mの距離をダッシュして戻って行ったことは今でも、いい笑い話。

*ちなみに今はYouTubeで「トランシット 使い方」で探すと、使い方を新設丁寧にあげてくれている現場の人たちがたくさんいます!!


さてさて。
始める前に使い方を確認・教えてくれなかった先輩が悪いのか?
それとも、事前に使い方を調べておかなかった自分が悪いのか??


まぁ、聞かなかった(確認しなかった)自分が悪いですね、9割ぐらい。
聞かないから、出来て当たり前だと思われてたww
学校でそれぐらい習ってきただろう!って。

でね、現場では結構じゃんじゃんこんなことがいちいちこまかく起きるわけです。親切丁寧に細かく1個1個先輩から教えてもらえるのを待ってちゃダメなんです(涙)この場合なら、始める前にやること・使う道具、不安なこととかを言うとかね。

のんびりゆったり進めていけるほど、余裕のある現場ってそうそうなくて。
激流の中に自ら飛び込まなければ、いつまで経っても仕事がなかったり。
もちろん、出来るように教えることが会社員の義務だと思うけど、自分で学んでおくこともまた、必要なんだと言わざるを得ない。

厳しいけど。まったくの0から丁寧に教えている余裕も、教えることに長けた実力者も現場にはそうそういない。
だから、建設業界の現場は工業高校・大学卒か経験者から多くを採用してる。


せめてせめて。「コレはどんな道具なのか??」「コレはどんな流れなのか」うっすらとでも知っていることが多いだけで、一気に駆け抜けて成長できる道が見える。

ピンポイントで疑問が浮かび、、周りに聞けちゃうから解決できる。
ちょっとコズかれるかもしんないけど、すぐ出来るようになる。

コンクリートの強度も養生期間も、+強度をいれなきゃいけない地域なのか温度なのかとか。鉄骨も、鉄筋もミルシートのどこを見なきゃいけないかとか。

防火仕様か、防炎仕様か、耐火仕様なのかとか。
行政に出すべき書類は、どのタイミングで今必要なものはどこからどこまでか?とか。

うーっすらとでもいい。
覚えていればググって、ひも解いてもいけちゃうよ。
わからないことを調べればいい。


わたしが通っていた工業高校の先生たちの口癖は、「卒業後、すぐ現場や設計事務所に対応できるよう、授業内容は詰め込んで濃くしている」と豪語してた。

「ホントかよ」ってちょっと疑ってたけど。それはウソじゃなかったと働きだして感じることは多かったな。


だからね
時間の流れで変わっちゃう細かーいことは置いておいて。

先に学んでおいた方がいい『変わらない基礎知識』って決してムダにはならない。しかもそれは、学校の授業に十分詰め込まれてる。

100点は取らなくてもいいから、65点以上を目指そうってエールを送りたい。そして、好きな授業を見つけよう!って伝えたい。
生きるを豊かに変える、知恵にもなる。


空間を作り、思い出を歴史と共に紡ぐ建築という世界を楽しもうーっ
そして、教え上手な先輩・上司に出会えたらその技術をコピーして次に繋いでいきましょ


物理ネタの笑える失敗談やデザイン力の無駄話は、また次回(*ノωノ)


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