見出し画像

みずほフィナンシャルグループの内情を有価証券報告書から読み解く。(2022年度参照)


挨拶

このページをご覧になってくれている方ありがとうございます。改めましてコブータと申します。私は米国公認会計士や簿記2級の学習を通じて会計のマニアになりました。企業の財務分析を行うことで皆様の投資判断の材料にしたり、就職、転職の企業分析にお役立ちいだだければと思います。他の方の記事と比べて一歩踏み込んで財務分析を行うので有益な情報を皆様にお届けできればと思います。今回はみずほフィナンシャルグループです!銀行の御三家と呼ばれる三社ですが、これで最後の分析です!この企業の分析をしてほしいとリクエストがありましたらコメント等に残してくれると嬉しいです!

企業概要

みずほフィナンシャルグループは2003年1月にみずほホールディングスの出資により設立されました。みずほフィナンシャルグループとしての歴史は21年と浅いですが、その中に含まれているみずほ銀行等の会社はずっと続いていますね。2006年に米国預託証券をニューヨーク証券に上場していますが、グループとしては国内の証券市場にしか上場していないようですね。

事業内容

みずほの事業は下記の6つの事業に分けられています。

  1. リテール・事業法人カンパニー(国内の個人、中小企業、中堅企業向け)

  2. 大企業・金融・公共法人カンパニー(大企業・金融・公共法人向け)

  3. グローバルコーポレートカンパニー(海外進出日系企業、外資向け)

  4. グローバルマーケッツカンパニー(金利、エクイティ、クレジットへの投資業務)

  5. アセットマネジメントカンパニー(資産運用の商品、サービス提供)

  6. その他

三菱UFJよりはシンプルに分けられていますね。ですが大企業とその他の企業を分けているのは三菱UFJに似ていますね。また、アセットマネジメントカンパニーがあるのも特徴ですね。

人員について

みずほの従業員数内訳は下記の通りです。
従業員数は約5万人の大企業です。ですが、三菱UFJと三井住友と比較すると半分程度の従業員数しかいません。それでも5万人もいるので超大企業です。三井住友、三菱UFJとは異なり、グローバルコーポレートカンパニーよりリテール・事業法人カンパニーの従業員数が多くなっています。銀行の御三家の中では一番国内に人材を注力しているようですね。

みずほフィナンシャルグループ従業員数

働きやすさについて

現在注目されている働きやすさですが、みずほフィナンシャルグループは子会社もかなり多いので今回は主なみずほ銀行のデータのみ持ってきました。部長相当職と課長相当職とで分かれているのは斬新ですね。課長相当職以上であれば女性の管理職は18.7%と日本企業としては高い方ですね。男性の育休取得率は106%と100%を超えています。育休は希望すれば取得は必ずできると言ったところでしょうか。三菱UFJ、三井住友と同じく、女性の管理職が多いから男性も育休を取りやすい環境が整っていることが数字から分析できますね。

みずほフィナンシャルグループ多様性指標

みずほフィナンシャルグループの売上構成

みずほフィナンシャルグループは経常収益約5.7兆円の大企業です。三菱UFJ、三井住友の半分の従業員で同程度の収益を出しているので効率性は良さそうです。近年は約3~4兆円の収益でしたが2022年度は5.7兆円と一気に増えました。その原因は貸出金や預け金の受取利息の増加です。三菱UFJは有価証券からの利息配当金の増加が目立っていましたが、みずほはそこまで増加していませんでしたね。貸出金や預け金の受取利息の方が収益としては安定するので三井住友と同様2023年度の経常収益についても期待できそうですね。

みずほ損益計算書(経常収益)

経常利益・当期純利益

収益が増えているのはとても良いことですが、みずほの場合費用はどうなっているでしょうか。収益の増加率とほぼ同程度の費用の増加率ですね。収益が増えると当然費用も嵩みがちです。同じ増加率で推移しているのであれば三菱UFJ、三井住友と比較しても好印象ですね。そのため、経常利益は2021年度と比較してもしっかりと増加しています。こちらの費用で多いのも利息ですね。預金の利息を始めとする様々な利息費用が大幅に上がっています。こちらは恐らく外国のインフレ対策による大幅な利上げによる影響が大きいと思われます。
最終的に当期純利益は2021年度と比較して微増になってしまっていますね。これは法人税調整額が多かったからですね。つまり税金をたくさん払ったのでその分最終的な当期純利益は減ってしまいました。ですが、税金は仕方ありませんのであまり気にしなくてもいいでしょう。それでも、当期純利益は2021年度と比較して増えているのは良いポイントですね。近年は毎年当期純利益が増加しています。1株あたりの配当金も年々増加しています。配当性向も約30~40%ですので今後の配当金の増加も期待できそうですね。

みずほ損益計算書(経常費用)
みずほ損益計算書(当期純利益)

みずほの資産

みずほの資産は約254兆円になります。桁が違いすぎて混乱しそうですね。その中でも現金預け金、貸出金は各約67兆円、88兆円となっています。預け金は私達の預金ではありません。私達の預金はいつかみずほは私達に返さなかればいけないのでみずほの貸借対照表(BS)には負債の部に乗っかってきます。では現金預け金は何か。それは企業や個人に貸しているお金のことですね。銀行は企業や個人にお金を貸してその利息で収益を得ています。
貸借対照表を見ると現金預け金、貸出金は約135兆円から155兆円に増加しています。ということは今後利息収入の増加が見込まれますね。ここの流れは3社とも同じですね。
一方で有価証券は約7兆円2021年度と比較して減少しています。こちらは三井住友とは異なり特に有価証券の償還が2022年度は多かったわけではありませんでした。ですが、新たに取得した有価証券は2021年度と比較しても少なかったことが影響していると思いますね。

みずほ貸借対照表(資産)

みずほの負債

みずほの負債は約245兆円になります。自己資本比率が極端に低いので不安になるかもしれませんが、これは銀行というビジネスの特性上仕方が無いですね。銀行は信用で成り立っているという言葉があります。銀行は信用によってお金を私達に安全に預けてもらい、そのお金を貸すことで利息収益を得ます。つまり銀行の資本はあまり入っていないんです。だからこそこのような歪な自己資本比率になってしまうのですね。
みずほの負債ですが、そのうち約150兆円は私達や企業が預けている預金です。銀行が近年金余り、貸す先が見つからないと嘆いている実態が数字から分かりますね。みずほの場合約150兆円を預かっていますが、貸出はその約60%の88兆円しか貸出できていません。私達が預けている預金を効率的に働かせることができていない状態ですが三菱UFJよりは効率が良いが三井住友よりは効率が悪いと言えるでしょう。効率の意味では第2位ですね。

みずほ貸借対照表(負債)

投資活動によるキャッシュフローのプラスは気になる

キャッシュフローで気になるのは投資活動によるキャッシュフローがプラスになっている点ですね。有価証券の取得による支出が減少したのが原因ですね。つまりみずほは2022年度は有価証券への追加投資は控えたということですね。この判断が2023年度の財務諸表にどう影響するのかには注視していきたいですね。

みずほ投資活動によるキャッシュフロー

まとめ

  • 収益増加の要因は貸出金や預け金の利息増加

  • メインの預け金、貸出金の資産が増えているので今後も増収の可能性は高い

  • 利息費用が多くなっているが、収益増加率と同じため問題ない。

  • 経常利益、当期純利益が近年増え続けているのはプラス

  • 配当のバランスは良い。自社株買いは三菱UFJ、三井住友と比較すると控えめ

  • 有価証券への投資は今年度は控えめだったが、その判断が2023年度の利益にどう影響するか注目。

ここまで読んでいただきありがとうございます。コメントにどの企業の分析をやって欲しい等書いていただければ分析します!

出典:EDINET閲覧(提出)サイト https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100QYQ4.pdf?sv=2020-08-04&st=2024-04-02T08%3A52%3A54Z&se=2033-06-16T15%3A00%3A00Z&sr=b&sp=rl&sig=TBJ4bnHHrdj2rLsLgt4jF42EfREboug6URDCvtvlXeQ%3D

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?