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魂を鷲掴みにされた歌声 part2 MewFan meeting

ずいぶん日が経ってしましましたが、前回の続きです。
この4日に開催された、タイのアーティストMewSuppasit(ミュウ・スパシット)のファンミーティング。前回は、その歌声の素晴らしさについて書きましたが、今回は、歌の合間のインタビューそして、ゲームについて書いていこうと思います。
日本の場合、アーティストのステージは、ライブあるいはコンサートと言って、演奏や歌が中心。MCはあまり時間を取りません。(さだまさしさんの場合は例外らしいですが)タイはライブ、コンサートがないわけではありませんが、来日するタイのアーティストのほとんどは、ファンミーティングと呼ばれる、歌とインタビューとゲームの三つがセットになっています。
今回のMewさんのステージも、結構な時間配分でインタビューとゲームがありました。
インタビューは、あらかじめネットで観客から募集した質問を元に、箱に入った紙をランダムに本人に引いてもらい、質問に答えてもらいというものでした。

面白かったのは、質問のほとんどが、彼の大学での勉強やアンバサダーに就任したAPEC(今年開かれたAPECは、タイが開催国になっていました)について。
彼自身、まるでセミナーのようだと苦笑いしていましたが、確かにそんな感じ。質問にもあったのですが、今、博士号を取得しようと取り組んでいるのは、産業工学というものなのだそうです。具体的には、産業と環境との問題を研究しているそうで、その中にはゴミの問題もあるとか。いかにゴミを有効活用するか、ゴミを出さずに済むかを考え、実現に向けて具体化していくか。ただ、世界的にコロナ禍になり、経営が行き詰まったりした産業もあり、今までと同じ研究はできないという話をしていました。
たまにインスタグラムに、ボードにびっしり書き込まれた数式が上がってきますが、一体これがどうやって産業とゴミに結びつくのか、さっぱりわかりません。
とにかく頭のいい人だということだけは、わかりましたが。

APECのアンバサダーとはどんなことをするのか、という質問があったのですが、まず大変だったのは、参加する会議についての勉強会。たくさんの会議に出なくてはいけなくて、それに疲労困憊したそうです。
APE Cという国際会議のアンバサダーを務めるからには、それなりの知識、教養、知性、判断力などが必要。アーティストではありますが、タイの東大とも評される大学で学び、別の同様の大学でさらに勉強して修士号を取得、今はその大学院で博士号の取得に向けて取り組んでいるそうで、単位は既に取り終えているので、教授などとのディスカッション、研究が主な内容だとか。
俳優、ミュージシャンだけでも大変なのに、大学院の博士号を取るための研究もしているとは、驚きです。

固い話はそれくらいにして、ミュージシャンとしての質問についても答えていました。
ミュージカルに興味はあるかとの質問では、あると答えたMewさん。
ニューヨークで、Sixというミュージカルを見たそうです。ヘンリー8世と6人の妻の物語だったとか。果たしてどんな内容のミュージカルだったのでしょう。ちょっとだけ想像がつく気もしますが…

アラジンを歌ったことがあるそうで、一節歌ってくれたのですが、さすが美声の彼。とても美しい歌声でした。
ちなみに、私が彼のファンになったのは、彼が出ていたドラマの中で、挿入歌を歌っていてのを聴いたことがきっかけでした。声がよくて、歌がうまくて。タイ語の響きがまろやかなのにも惹かれてのことです。日本語は、大体において、硬いイメージがあります。さらに発声も影響しているのか、ずいぶん昔、ベッティアンドクリスという、二人組の女性が白い色は恋人の色という曲を日本語で歌ったのですが、発声がとてもまろやかだったことを記憶しています。同じ日本の曲を歌っても、こんなにも違うのかと驚きました。
言語が醸すイメージが、聞くひとの心を引きつけて離さないことがあるのだと、Mewさんが歌うタイ語の歌を聴いて、初めて気づきました。

俳優業もしていて、肉体のトレーニングが必要不可欠なMewさんは、日頃どの程度のトレーニングをしているのか、という質問に、週に5−6日少なくとも30分。ジムに行った時は2時間くらいということでした。
たまたま前日、日本に来て食事をしたそうなのですが、おまかせのお寿司屋さんで、一つ出てきては、30分くらいかかってもう一つという感じ(実際はそうだったかわかりませんが、次に出されるスピードが遅かったというのが彼の印象だったのでしょう。
一品ずつ出ていく間に、お腹が空いたそうで、食べ終わったら、食べ始める前と同じくらいお腹が減っていたという話でした。中肉中背と言われる日本人と違って、180センチを超える長身、毎日トレーニングしている身体では、小ぶりな握りなどを時間を空けて食べていては、お腹も空くでしょう。

Mewにタイ語を教えてもらおうというコーナーがあったのですが、例えば「トイレはどこですか」、「うーんいいです、いいです」などというのがあって、本当は彼が話すタイ語の後で、私たちも声を出したかったのですが、その頃は、声を出してはいけないという指導があり、話すことはできませんでした。代わりにハミングだったらOKという許可が出て(どうしてそうなったかは不明)、いくつかのタイ語をハミングで言ってみることに。ハミングではニュアンスが伝わるかどうかのレベル。Mewさんも苦笑いしながら、私たちのタイ語ハミングを聞いていました。(この後、割とすぐに声出しがOKになって、とても残念なことをしました。タイミングってあるなぁ)

夜公演では、Season Of Youという、彼のデビュー曲でヒット曲を歌った時に、ハミングで一緒に歌いましょうとの呼びかけがあり、ふふふーんとハミングしたの、忘れられない思い出になりました。コロナ禍さえなければ、一緒に歌えたのに…観客の私たちが思う以上に、Mewさんは寂しい思いだったかもしれません。(タイでは自由なので)それだけに、彼に伝われーとの思いを込めて、全員がハミングしたように思います。その気持ちは、きっと伝わったと、思いたいです。

今回のステージで、印象深かったことの一つに、通訳さんが素晴らしかったというのがあります。
英語とは違って、タイ語は一般的とは言えません。
それだけに、日本語に訳すのは大変だったのではないかと思いますが、Mewさんと通訳さんの連携プレーが絶妙で驚きました。
Mewさんが日本語を勉強しているのもあるでしょうが、文節をとてもいいところで切って話してくれるのです。それを通訳さんが、上手に言葉を選んで、不自然にならないよう私たちに伝えてくれる。
英語の通訳さんでも、ここまで自然に訳してくれる人はなかなかいないのではと思ったほど。こんなに上手な通訳さんは初めてでした。

最後に。。。
俳優という職業についてみて、それはイメージ通りでしたか
という質問があったのですが。
Mewさんは、両方あると答えていました。
イメージ通りではなかったのは、俳優一人で完結するのではなく、監督、証明、音響などが影響しあって作品は成立するということ。

演技の勉強をしてことによって、それまでは観ている作品が面白いかどうか、の観点だけだったのが、作品を届けたい側が言いたいことはどういうことか、作品で伝えたいことは何かを考えるようになった。ということを話していました。
確かに、観る側と作品を届ける側とでは、観点は違うだろうなと思います。演じるということの深さのようなものを、垣間見た気がしました。


ゲームについては、続き・・・ということで


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