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みせと「ものときろく」 清澄白河編 CHAPERONI vintage clothing store


はじめに

みせとものときろく 清澄白河編

東京都現代美術館やBLUE BOTTLE COFFEEの日本一号店を始めたとした3rd ウェーブコーヒーのお店が立ち並ぶ、洗練されたアートの街として知られている清澄白河。

しかし、近年まで古着という意味では「ものときろく」とも繋がりの強い「THINK」さん以外、目立った店はありませんでした。

そんな清澄白河の目抜通り「深川資料館通り商店街」に昨年突如オープンした古着屋「Chaperoni」さん

オープンからすぐに代表神谷が視察として伺い、88/12のChampion棒タグのTシャツを購入させて頂き、広い店内に置かれた高感覚なセレクトに「やっと清澄白河にもうこういう店ができた」と喜びました。

それから1年、開店までの経緯から清澄白河で培った1年の経験まで深くお話を伺いました。

基本情報

Shop name: CHAPERONI vintage clothing store
Owner name: 斉藤
Category: Lady's &Men's vintage clothing
Adress:東京都江東区白河3-2-15 大竹ビル101
Business Hours: 12:00~20:00 (月曜定休)
Online Shop:
CHAPERONI (thebase.in)
Instagram:
CHAPERONI(@_chaperoni_) | Instagramプロフィール

Chapter1 原点

オーナーの斉藤さん

神谷:斉藤さんが古着店を始めるに至った原点を教えてください。

斉藤:仙台の服飾専門学校に通っていたのですが、当時DCブランドが人気の時期でして、ブランドを辿っていくと、その原点がヴィンテージの古着のディティールを取り入れているものが多くて、「古着って面白いなあ」と思ってきたんです。

近くの古着屋さんに行って、色々な話を聞いていく中で、「自分も目指してみたい!」という気持ちがでてきたんですよね。仙台では友達3人と暮らしていたのですが、周りにも古着好きな子が多かったので、みんなでお酒を飲みながら語っていました。

神谷:その後、カナダに留学されていたんですよね?

斉藤:そうです。専門学校を卒業して、アパレルのセレクトショップで三~四年程働いていたのですが、現在の妻と一緒に仕事を辞めて、24歳の時に「ワーホリでカナダに行こう!」ってなったんですよ。

僕は古着の知識もそこまで豊富ではなかったので、たくさんの洋服を見るにはピッカー(バイヤー)として古着の世界に入るのが一番だと思い、ピッカーとして雇ってもらって、そこで色々な洋服を触る機会を得ました。

神谷:カナダで雇われるって凄いことですよね!

斉藤:実は日本の会社なんですよ。日本でカナダの求人サイトを調べていて、「これ面白いな!」と思ったんです。当時はお金もなかったんですけど、東日本大震災で住んでいた建物にヒビが入ったことで義援金がおりたんです。それを握りしめて、妻も貯金を切り崩して二人でカナダへ飛びました。

明るい店内でのインタビュー風景 

神谷:もともとワーホリに行きたいと思っていらしたんですか?

斉藤:実は僕より妻の方がその思いは強かったです。”若気の至り”じゃないですけど、海外の生活にちょっと憧れはありました(笑)

その時まだ結婚していなかったんですよ。そのタイミングで籍を入れて、二人で行ったんです。なんなら結婚して、「もしかしたらそっちで住めるんじゃないか」っていう甘い願望も持っていました(笑)

古山:いろんなものに対しての行動力がすごいですね!

斉藤:怖いもの知らずというか、いろいろチャレンジ出来たのかな?とは思います。向こうではよく言われました、クレイジーだって(笑)

神谷:ピッカーのお仕事をされてみて、古着に対しての考え方、見え方は変わりましたか?

斉藤:今でもそうですが、本当に新しい発見が常日頃あります。最初は分からない中でバイイングしていて探り探りだったんですけど、段々知識を得てくると、「このアイテムでもこういうデザインもあるんだ!」
「こういうディティールもあるんだ!」
と、一日一日本当に面白かったです。過酷ですけどね(笑)

神谷:どういった部分が過酷でしたか?

斉藤:洗濯や修理に出してから商品として出しているんですけど、バイイングする段階では皆さん思っているよりもホコリがすごいです。肺を壊してしまう人もいました。

神谷:離職率も高かったりするのでしょうか?

斉藤:高いと思います。一ヶ月で辞める人もいました。
こういうふうにお店に並べられるものは、そう簡単に発見できるものではなくて、何万着って見た中での一着とかなんですよね。でも、やっぱりこういう風にお店をやりたかったっていう気持ちがあったので続けることが出来ました。

神谷:帰国後も引き続き前職の会社に所属していたということでしょうか?

斉藤:そうです。日本でも雇ってもらって、日本の古着屋さんと対面することもあったり、バイイングに関してはだいたい半年に一回ほど行っていました。

Chapter2 創業

開放的な空間で夜でも多くのお客さんがいらっしゃった

神谷:その後独立して古着屋をオープンすることになる決め手は何だったのでしょう?

斉藤:まだ始めて一年ですが、日本で働いているときも「自分でお店をやりたい」という気持ちはずっと変わらなかったんです。年齢的にもそろそろ自分でお店をやってみようかな、と思って決断しました。

神谷:奥様とお二人でやられたんですよね?

斉藤:はい。妻は別の会社に勤めているのですが、子供が一月に生まれて、会社から休みをいただいているのでたまに店頭で手伝ったりしてます。

神谷:なぜ清澄白河を選んだのでしょうか?

斉藤:そこ気になりますよね(笑)前勤めていた会社で、上司から「清澄の街が面白い」って聞いていたんですよ。

それで僕も妻と遊びに来る機会が増えて、美術館やカフェに行ってみたりする中で、おしゃれなカフェや飲食店は多いのにアパレルのお店は意外と少ないなって。歩いている方を見てると、古着問わずファッションに気を使われてる方が多いイメージがあったので、「この街にアパレルのお店が少ないのはもったいない!」と思いました。

神谷:私自身もう6年ほど近所に住んでいますが、清澄白河の中でも本当にいい場所がみつかりましたね!

斉藤:本当にたまたまです。元々この場所に出店していたカフェが閉業後ありがたいことに僕がマッチングして貸していただけたっていう感じだったんですよ。

神谷:清澄白河のお客さんはどういった感じの方が多いですか?

斉藤:本当に優しい方が多いです。接客させていただいてお客様とお話しすると、すごい気さくな方が多かったです。もちろん遠方から来るお客様もいらっしゃるんですけど、仙台でアパレルをやっていた時みたいに気さくな感じの方が多いです。

神谷: 以前、取材を依頼する際にもお聞きしましたが、時々小学生もお店に入ってくるらしいですね!

斉藤:そうです。常連さんです!(笑)今だにハロウィンの名残で「飴ないですか?」って訪ねにきます(笑)

神谷:うちの娘の同級生かもしれません(笑)
※神谷の子供が近所の小学校に通っている

子供用の古着も取り揃えられている

斉藤:そういう地域密着な雰囲気が好きです。お客さまの中に90代のおばあちゃんもいたりします。娘が生まれた時も凄い気を使っていただきました。本当にあったかい街だなあっていう印象があります。他のお店の方もそうですけど、凄くフレンドリーな方が多いです。

神谷:周りのお店の方々ともコミュニケーションがあるんですか?

斉藤:お店を始めてから本当に色々と声をかけて下さっていて、とても助かっています。高円寺とか下北沢とか、古着が盛り上がっている街もいいな、と思うんですけど、僕はゆっくりやりたかったので、程よい感じでやらせてもらってますね。

神谷:それにしても、平日の夜でもお客さんがよくいらっしゃいますね!

斉藤:うちは結構夜に来られる方が多いです。昼間はママさん方がいらっしゃいますが、仕事に行かれている方が多いのでその仕事帰りに。
のんびりゆったりしたいい街です。

Chapter3 商品のこだわり・特徴

斉藤さんの好みで動物系のアイテムが豊富にラインアップされていた

鶴田:取材を始めてから何人かお客さんがいらっしゃっていますが、皆さんとても近い距離感でお話されていますね!お客さんは顔なじみの方が多いのでしょうか?

斉藤:そうですね、顧客様は常連さんが多いと思います。

鶴田:それはきっと斎藤さんの人柄の良さですね!それ以外にもリピートして来ていただいくための工夫などがあるのでしょうか?

斉藤:僕自身、接客もですが、商品のラインナップを意識しています。
ピッカーとして本当に色々と服を見てきたので、お客さんが次の週お店に来た時も変わり映えしないお店はあまりやりたくなかったんですよ。

値段をあまり高額にすると、そうそう商品は入れ替わらないじゃないですか。ずっと残っているのが嫌だったので、値段はちょっとだけ相場より抑えています。

斉藤:うちで高いお金出して買って、他の古着屋さん行ったらもっと安かったって、実際、言われないかもしれないですけど良い気持ちはしないじゃないですか。逆に、うちのお店で安く買って他のお店でもっと高い物があって、ラッキーだなって思ってもらえた方がいいかなと思っていて。
なのでいろいろな商品を見せられるように安くしています

神谷:商品のセレクトの部分では、どのようにお店の特徴を出しているのでしょう?

斉藤:個人的にアニマルとか、柄物も結構好きです。あとは自分が着るという目線でも、「カラーものもいいな」って思っていました。僕たちの業界って、昔からブラックがスペシャルって言われていた時代なんですよね。それはそうなんですけど、あえて色物もいれて提案できた方がいいかなと思ってます。

感性で選ぶのが楽しいカラフル・柄物のレディース古着たち
定番と思いきや、他の店ではなかなか見れない珍品も

古山:ラインナップの部分で言うと、今ヴィンテージが古着業界の中で一つ大きな流れがあるじゃないですか?僕個人的には、もちろんヴィンテージも好きですが、「レギュラー古着でどうカラーを出すか」だったり、「いかに良いと思ってもらえるものを提供し続けられるか」が大事な部分だと思っています。その点に関して気にされていることはありますか?

斉藤:あります。今手にしている商品も、正直メルカリとかで探したらヴィンテージの品としてもうちょっと高い値段で出てきたりもすると思うんですよ。逆にユーロのアディダスとかって、意外と見ないじゃないですか。なので、バイイングする際にも「ヴィンテージを安く見つけれるか」というよりも、見た時に「これはなかなか無いなあ」って思う感性を大事にしてセレクトしています。

「こういう風に使うとかっこいいよなあ」っていうアイテムを見つけた時が一番嬉しいです。長くピッカーやってても、未だに見たことないアイテムがでてきたりするんですよね。

神谷:確かに認められているものっていうのは認められてるからこそ、出てきたらみんな買いますもんね。

斉藤:そうなんですよ。皆さんそれにめがけて買うと思いますが、逆に、だからこそうちに来てうちにしかないようなアイテムを見つけて、「いいな」って思ってもらえると嬉しいです

神谷:古着の知識を持って、「これすごいものだからかっこいい」っていうものもありますけど、一方で感性で「いい」と思うものもありますよね。

取材風景。常連様もいらっしゃる中、和やかな雰囲気でお話を伺った

斉藤:こう見ると、(古山の着ている)「ファティーグいいなあ」と思いますし、最初(神谷を)見た時、「珍しいキャップだなあ」って、「めちゃくちゃいいな」と思って見ていたんですよ。そうした気持ちもありますけど、単純に洋服として着て楽しんだほうが面白いんじゃないかなって気持ちも正直あります。難しいんですけどね。

神谷:いまヴィンテージがとても流行っていますが、それに対してはどのようにお考えでしょうか?

斉藤:僕は僕かなと思っているので、あんまりどうこうというのは正直ないんですけど、八年前とかに古着屋さんに行って、売れ残っておまけとしていただいていたようなアイテムが、今ではちょっと高くなりすぎてて(笑)

要は、お金を持った人しか着れない服ってなるのは面白くないかなっていう感じなんですよね。なので、もちろん仕入れ値がある分そこにちょっと上乗せして販売していますが、少し値段を下げているんですよね。

神谷:そうなってくると、今斎藤さんがやられているような、感性でも「いい!」と思ってもらえる古着も扱っていらっしゃるのは大事な部分ですね。

斉藤:そこに反応していただけるとめちゃくちゃ嬉しいです。若い子が離れちゃうのが僕は嫌なんですよ。「結局ヴィンテージって高いじゃん」っていう意識をもってしまって。なので、レギュラーで「いいもの見つけたな」と思ってもらって、洋服として見てもらった方が嬉しいかなっていう気持ちはあります。

古山:激しく同意です(笑)
自分が古着にはまる最初のきっかけとして価格の安さがあったことを考えると、やっぱり古着の”選べる範囲”、”遊べる範囲”がちょっと変わってきてると感じていて。それこそスウェットで80年代、90年代のものでも、「すごくいいプリントのものがあるなあ」って、商品を見させていただいて思いました。それをこの価格で買えて楽しめるってすごいいいなって。

斉藤:ありがとうございます。もちろん見つけてくるのもめっちゃ大変ですけどね(笑)何百点見た中での一着なので。バイイングは本当に難しいですね。

神谷:今は、以前働いていた会社経由での買い付けもしながら、メインはご自身で行かれているのですか?

斉藤:そうですね。最近は円安なので、買い付けに行くとしたらもう少し落ち着いてから、来年あたりに行きたいですね。一人だとお店を閉めるのが心配でしたが、今は手伝ってくれるスタッフの子がいるのでちょっと行ってみようかな、と。アメリカだけじゃなくて別の場所にも行ってみたいですね。開拓していきたい、という気持ちも正直あります。

Chapter4 ビジョン

神谷:ここから先も清澄白河の地で根をはってお店を続けていかれるのでしょうか?

斉藤:そうですね。出来る限り頑張ってやっていきたいなと思います。自分のペースを崩さずやっていければなと思います。

神谷:今後ご自身でしてみたいことなどはありますか?

斉藤:イベントをやりたいという気持ちは大きいですね!古着問わずとも。

Chapter5 斎藤さんから一言

インタビューに答える斉藤さん

神谷:これから来るお客さんへ、何かメッセージはありますか?

斉藤:変化のあるお店だと思ってもらえると嬉しいです。来るたびに結構新しい発見があれば嬉しいなあと僕自身思っているので。この坪数ですけど、なるべくたくさんの商品は見せれるようにしたいと思っています。

ものときろくメンバーの試着

鶴田 : なかなか見ない。発見の連続

「なかなか見ない」洋服は、見ないからこそ「合わせるのが難しいかも」と手に取るのを躊躇ってしまいます。

いつものようにメンズ古着ばかりに目が行く中、ベロアのポンチョのような「なかなか見ない」レディース服を試着しました。着用すると、メンバーからは「似合う!」の一言。自分でもびっくりするほど似合ってました!(笑)

着てみた姿を想像できない服は、だからこそ試してみる価値があるんだな、と自分の可能性を広げてくれた一着でした。

神谷 : Chaperoniさんのコンセプトを体現した最高の逸品を

モヘア混の珍しいヘンリーネックニットを購入させて頂きました。
カーディガンはよく見かけますし、正直値段が上がりすぎて腰が引けますが、ヘンリーネックでモヘアで。というまさにChaperoniさんらしい最高のインナーアイテムをゲットできました。

同じアイテムを鶴田も着用しましたが、彼女のスタイルが良すぎて全く違うアイテムに見えてしまうほど。でもめげずに購入しました(笑)

神谷着用。本当に欲しいな時の口元をしてます。
鶴田着用。男女兼用でいけるアイテムも多くカップル・家族づれもおすすめ

おわりに

取材後、ものときろくと以前から親交のある「THINK」のオーナー武田さんも交えてご飯会を開催しました。

最近盛り上がってきている清澄白河ですが、まだまだポテンシャルを発揮できていないように思います。
ものときろくで昔ながらのお店から新しいお店まで取材をし、この街をテーマにしたイベントを開催できたらと思っています。

本当に良い街ですので、清澄白河のアレコレを知りたい方はお気軽に「ものときろく」代表の神谷までご連絡ください!笑

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