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ライターは好奇心の達人だ-編集・ライター養成講座を卒業して

2023年1月から半年間、宣伝会議が主催する編集・ライター養成講座を受講した。講座では1コマ2時間、全40コマの講義と記事作成の課題で編集とライターについて学ぶ。私は第46期を卒業し、同期の受講者は90人もいた。

なぜ講座を受けようと思ったのか。私はnoteでVRリコメンドライターを名乗り、仕事ではWebサイトのディレクションの傍らライティングもする。ある時ふと思った。正しい文章の書き方がわからない。なぜなら、ちゃんと学んだことがない。そのようなわけで受講をした。

半年間の受講を終え、その内容は良い意味で私の想定を裏切るものだった。この記事では、私が編集・ライター養成講座で学んだことの感触を伝えたい。これから受講を検討する人の一助になると嬉しい。


書くことはそこまで学ばない

私は当初、文章の書き方を学ぶつもりだった。文章を書くお作法や上手い表現、読点の正しい打ち方だってよく分かっていなかったからだ。しかし、講座で書くためのテクニックの勉強は全体の1/3程度。

講座の多くの先生方が口を揃えて教えてくれたこと。それは、記事になる面白いこと、興味深いことをいかにして見つけるかである。例えば、カフェで隣の人が話していることに聞き耳をたてる。街で珍しい人を見つけては話を聞く。とにかく外に出て、記事にして伝えたいことを見つける。

記事を読む読者への理解や伝えたい熱意。テクニックではない、感性の磨き方や世の中の捉え方を学ぶのである。講座では多くの先生が登壇をしたが、言葉は違えどみな口を揃えて同じことを教えてくれた。結果的に、この教えこそが講座で学ぶ最大の成果となった。

ライターは好奇心の達人だ

講座の講師陣は、雑誌の編集長、有名フリーライター、ブックライター、マーケター、写真家、テレビで見かける著名人など、書籍や雑誌作り、メディアを稼業とするさまざまな人がいた。彼らの講義をすべて聴き、私が出した一つの結論がある。

それは「この人たちは好奇心の塊だ」ということだ。先生の誰も彼もが、面白いこと、興味深いことを探し出し、伝えたいという衝動を持っているように見えた。その根底にあるのは、物事や人に対する旺盛な好奇心である。

登壇したライターの先生方は、文章を書くのが好きというより、好奇心に突き動かされて、知ったことを人に伝えるのが好きなのだ。文章はただ伝えるための道具。先生方の中に、文章そのものを書くのが好きで好きで仕方がない、という人はいなかったように思う。

同じ第46期の同期生もまた、好奇心と行動力が溢れる人が多かった。同期生はプロのライター、編集者、カメラマン、演出家、弁護士、哲学者などバラエティに富んだ人たちで、面白いことに長けていた。プロのライターやライターを志す人は、このような素養を持ち合わせているものなのだろう。

ライターはインタビューのプロだ

ライターとは取材とインタビューが中心となっている仕事である。ある先生は言った。自分の中にあるもので書けるのは最初のうちだけ、すぐに書くことはなくなってくる。自分ひとりが知っていることなんてたかが知れているのだと。

そのため、プロのライターとして仕事するのは、常にインプットが必要だ。その最たるものが著名人やユニークな人へのインタビューである。インタビューを通じて、どれだけ面白く人に伝えたいことを引き出せるのか。ここにも好奇心が不可欠であり、プロのライターの腕の見せどころというわけだ。

講座では半年の間に、インタビューをして記事を書く課題が用意されている。クラス選択にもよるが、私は計4回の課題で、5人にインタビューをして記事を書いた。課題の文量は1,500字、3,000字、3,000字、6,000字。取材先の選定から行う課題はあまりに実践的で、多くのことを学ぶことができた。

もちろん書くことも教えてくれる

講座では文章の書き方以外のことをたくさん教えてくれるが、もちろん文章の書き方も教えてくれる。特に元日経記者の先生による、文章の書き方のテクニックはとても参考になった。おかげで文章の書き方の指針が明確になった。その講義資料はお守りのように大事にしている。

また、私はノンフィクションライターの先生の選択クラスで課題の指導を受けた。先生が課題の出来にAからEまでの評価をつけて返してくれる。プロの目線から自分の書いた文章の良し悪しを突きつけられる。逃げも隠れもできない。ゆえに必死になり、みるみると文章の書き方が整った。

その先生いわく、文章力を向上させるには、これから先、とにかく書き続けるしかないのだという。マラソンを早く走るには、走り続けてトレーニングをする必要がある。文章が上手くなるには、書き続けてトレーニングをする必要がある。講座の課題は、これから書き続けることのスタートとなった。

講座のどの先生も、書くための技術は必ずしも重視していなかったように思う。もちろん重要なのだけれど、書いていれば技術はいくらでもついてくる。実際、書くための技術が自然に伴うくらい書き続けられないようでは、ライターという仕事はこなすことができないのだろう。

卒業制作で優秀賞をもらった

講座の最後には、6,000字のインタビュー記事を書く。これまで、仕事を通じて調査した内容を冊子やWebサイトに書く経験はあった。だが、本格的にインタビューをして、記事を書くのは初めてだった。

80時間におよぶ講義と、たくさんこなした課題の集大成としてやりきらないといけない使命感。そして、熱量の高い同期生にもあてられながら取り組んだ。慣れないインタビューに書き起こし、構成、執筆、推敲、校正と十数時間をかけて試行錯誤の執筆だった。

優秀賞の表彰状と記念品の金の鉛筆

そのかいあって、卒業制作では優秀賞をもらうことができた。優秀賞と最優秀賞は合わせて10名。こんなに頑張ったのは久々だったので、評価してもらえたのは本当に嬉しい。同期生の卒業制作は全て読むことができ、どれもこれも力作だった。

編集・ライター養成講座おすすめ

プロのライターを志しているのならば、この講座は受講する価値がある。ライターの根底の部分、ライターとはなんだ、ということを学ぶことができる。魅力的な同期の仲間と巡り会えるのも刺激的だ。

講座は半年間と長く、課題はたくさんあって大変だ。その分、この内容でこの受講料は格安と思えるくらいに充実している。

私はこの講座で学んだことを活かし、好奇心の達人を目指して、面白いことを見つけては話を聞き、書き続けていこうと思う。


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