4月から彼に直属の後輩ができるらしい。
新卒の女の子。
同じ課に、20代は彼とその女の子だけだって。

彼は浮気なんかする人じゃないって思ってる。
…けど、やっぱり心配。
彼は優しいし面倒見もいいし、その女の子も一番頼れるのは歳が近い彼だろうから。
女の子が好きになってしまうのではないかと。
彼の魅力がその子に知られるのではないかと。戦々恐々。
なにより彼が、遠くにいる私よりも、仕事の話ができて若くて近くにいてくれるその女の子の方がいいなって、ちょっとでも思うかもしれない、なんて。
年上のくせに余裕無さすぎる私。
こんな思い、彼に伝えないだけの分別はギリあるが。

3年間付き合った元彼とも遠距離を乗り越えられなかった。
そして、私と別れた後、すぐに入籍された苦い苦い思い出。
もし彼とも同じようなことになったら…想像するだけで泣けてくる。
彼の存在が今の私の生きがいなのに。
生きていける気がしない！！無理無理無理！

まあ、でも行っちゃったら行っちゃったでそれまでってことか。と思う冷静な部分もある。
だって異性と関わらないなんて無理だし。
揺らがれるような魅力の無い自分が至らないってことだ。

今の彼ともし別れるようなことがあったら、放蕩の旅に出よう。
サンフランシスコ湾にせり出すような場所にあるダイナーで朝食にする。注文するのは、カリカリに焼かれたベーコン&エッグとチーズトースト。食べた後は、まだ夜霧に包まれた暁の海辺の空気を思い切り吸い込む。
そして、旅先で巡り会った人に「美しいものが見れる場所」を聞いて次の行き先を決める。
夢に全振りして生きていく。
こういう人生もありかもね。

貴方が居なくなっても生きていけるって、自分の心に保険をかけておかないと眠れない。
そんな夜。