【No.1180】素敵なクリスマスプレゼント

素敵なクリスマスプレゼントをもらいました。

学習塾での仕事中にメールが届きました。件名「退塾のお願い」

ちーん。

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同じご家庭から2ヶ月前にも、退塾希望がありました。「本人にやる気がないのでやめさせたい」

そのときは「次の試験でこうしましょう」と提案し、ご納得いただきました。

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提案の内容は「小さな成功体験」です。

その生徒は中学1年生。中1あるあるですが、小学校は成績がよかったのに、中学に入ったとたんガタ落ち。本人としても、こんなはずじゃないと挫折を味わい、そのままズルズルと勉強へのやる気もなくなってしまった。

「にっちもさっちも行かなくなったので」と夏頃から通っていただいていましたが、成績が上がらないということで、2ヶ月前にも「辞めます」と連絡がありました。

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こういう時はまず「成績が上がる」の定義をするのが大切です。ご要望としては、全科目の総合得点を上げ、順位を学年下位20%から、学年上位20%まで上げたいとのこと。

生徒によっては可能でしょうが、その上がり幅は現実的ではない。勉強に対してやる気がない子は特にそうです。

普通の中1は勉強しません。勉強しろという叱る。やる or やったと言い返す。しかし成績が上がらないと叱られる。さらに、やる気がなくなるという負のスパイラルです。

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だから、細分化が必要です。一気に成績が上がるわけがないので、主要科目の英語と数学、その中でも特定の問題だけマルをとる。

小さな成功体験として頑張った成果を積み、徐々にマルをとれる範囲を広げながら成果を感じてもらいます。保護者の方には約束した小さな範囲以外の至らない部分を見逃し、できたところだけを褒めるようにお願いをしました。

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「小さな成功体験」を積んで、まずは勉強することへのやる気を少しずつ作っていく、という提案でした。

結果的に今回のテストでは点数が上がりました。英語と数学で、これまで赤点だったのが、今回は平均点を超えました。

よかった。一安心していたら、今回のクリスマスプレゼントです。「本人にやる気がないのでやめたいです」

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事情を聞いてみると、塾に行っても成績が上がっている実感がないと本人が言っているそうです。

えええ?と驚きました。実際、点数は上がっていますよね?と確認しますが、本人はそれを運が良かったと言っていますとのこと。

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今回の反省点は、成績が上がった後に勉強を頑張ったご褒美としての褒めが足りなかったのかな、と思いました。

生徒に対して、努力への意味付けをもっと丁寧にできればよかったかもしれません。総合成績全ての科目では目標に到達しなかったけれども、英語と数学における小さな範囲では、努力の成果があったと、しっかりと実感させることができていなかったのかな。

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結局のところ、本人がどう思っているかが大切です。

中二病という言葉の通り、中学生男子は、自分はこんなものじゃないという感情が強くある子が多いです。プライドだけ高く、一方で努力しないから点数が上がるわけではない。そういう子は、ちょっと点数が上がっても自分で自分を褒めることができませんから、「たまたまでしょう。本当の自分はこんなもんじゃない」と意味づけをしがちです。

そうなると、苦しくなりますよね。やる気も出なくなります。自分としては頑張ったのに、効果がないと感じているわけですから。

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一方で、本当に素敵なクリスマスプレゼントもありました。

別の生徒さんですが、テスト直前に1回だけ授業を担当した生徒さんのお母さんから電話がありました。「先生のおかげで古典が上がりました!」

それは(笑)

僕は自分の成果だと思えないですよね。それはおそらくご本人が頑張ったのであって、1回の授業でそんなに成績が上がるわけではありません。

でも、生徒さんとお母さんは、授業を受けたから成績が上がったと意味づけしてくれ、別件のついでの電話ではありましたが、わざわざ僕にお礼を伝えてくれました。

「また古典教えてください!」と嬉しいお言葉です。

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一つの結果にどう意味付けをして解釈するかで、大きな違いがあります。

やめたいと言わせてしまった生徒さんに関しては、もっと手厚く褒めてあげるべきだったなと反省し、次に活かそうと思います。

一方で、お礼を言ってくれた生徒さんに関しては、実際は僕の力など微々たるものだと認識しつつも、「やっぱり僕、すごいじゃん!」と自分で自分を褒めておこうと思います。

僕自身の意味づけも大切ですからね!その生徒さんは僕の授業のおかげで成績が上がったんです!(笑)

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昨日もちらっと書いたのですが、人生を機嫌よく生きるには、感情のコントロールが重要で、そのためには、一つひとつの事象に対する意味付けや解釈をポジティブに捉えるスキルが重要です。

これはスキルです。生まれつきの性格ではありません。スキルだから後天的に向上させることができます。そう信じて、僕すごいじゃんと自分で自分を褒めて毎日寝られるといいですよね。

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