Ryota Takeuchi

2024.1.28〜ドイツ、ミュンスターにてドイツ語学留学| ウィーン大学院Philo…

Ryota Takeuchi

2024.1.28〜ドイツ、ミュンスターにてドイツ語学留学| ウィーン大学院Philosophical Practiceコースに出願中、 哲学者になることを目指して

マガジン

  • どこか遠くへ(読書記録)

    素敵な靴が思ってもみなかった場所へ連れて行ってくれるように、この読書記録がどこか遠くへ連れて行ってくれますように。マガジンにしたのは、自己満足で終わらせたくなかったからで、花を贈るように書けたらと思ってます〜〜!好きだった読書会を思い出しながら書いてます。

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40歳までに辿り着きたいノース・スター

 人生を賭けてたどり着きたい目標をノース・スター(北極星)と呼ぶ、という話を聞いた。場所を変えても動くことのないノース・スターを手がかりに、自らの進路を決めたり、そこに向かって歩き続けるみたいなニュアンスなのだろうと思う。『ノルウェイの森』の読後感と大学2年の時の数行の日記が背中を押してくれ、言葉になったのでまとめました。この文章の多くが、読書会でヘンミさんという方と話せた経験が元になっている。大変ありがたい時間だった。 最終目的地(北極星)  自死を意図する人、生きる意欲

    • ドイツ日記|海外留学という家出② 2024.04.20

      (加筆修正していたら、長くなってしまったので二つに分けました。) 12  コミュニケーションの希薄さにせよ、政治的な関心の低さにせよ、女性の生きづらさにせよ、戦後復興と経済成長を急ぐあまり、社会が未成熟なままここまだ来てしまったのではないかという気さえしてくる。ここでは、バスはストライキで止まり、教会広場で集会やデモがよく開かれているのを見る。シャイで、協調を重んじる国民性で片付けられる問題か?と思えてくる。事の元凶は「皆疲れていること」なんじゃないかと思う。 13  仕

      • ドイツ日記|海外留学という家出 2024.04.19

        1  ドイツに来て、自分が適応出来なかった「日本社会」の要素の一つひとつが粒になって言葉になってきた。日本にいた24年間、「そういうものだから」と押し込めていたものがむくむくと膨れ上がってきた。もっと言えば、「日本人」の中にいると、どことなく居心地の悪さを感じていたことに気付くに至った。ドイツにいて、日本人のことをすこし嫌いになった。  日本社会に適応出来ていないと感じていたことも、それがバレないように、集団の中に積極的に埋没しようと努める自分に対しても、うす暗い後ろめたさ

        • ドイツ日記|博打をして見えてくるもの 2024.03.11

          1  友人の中でも、大学時代に一緒に時間を過ごした人は特別で、こうやってキーボードを叩いていても、自然な言葉が出てくる。 2  ウィーン大学院に10月から行く、そのためになるべく早くドイツに渡航する。それを決断したのは2023年の12月のことだったけど、日本でビザを取って来なかったから銀行口座が作れなくて家賃が払えずに危うく一文無しになりかけたり、語学学校の学費を半年分払ってしまった後で午後の授業は取る必要がなかったことを悟ったり、ドイツじゃなくて初めからウィーンに行ってお

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        40歳までに辿り着きたいノース・スター

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        • どこか遠くへ(読書記録)
          6本

        記事

          レター|2023年の振り返り&2024年のプチ目標

          2024年のプチ目標 人生ビンゴ2024発表します。25個のKPI(短期的な中間指標)です。KGI(長期的な最終目標)はもちろん、豊かに生きること!!!そのための抱負(プチ目標)であることを忘れずにいたいです。  今年はウィーン大学へ留学する年にするべく、絶賛ドイツ語勉強中です。1月末から現地でドイツ語を学びに行きます。まだウィーンに行くことは正式には決まっていなくて(決まれば2024年の秋から)、だから実は毎日お腹の調子がいまいち上振れないんですが、もうやるしかないです

          レター|2023年の振り返り&2024年のプチ目標

          「我を通すためには強さがいる」ーー無印良品とガンジーを事例として 2023.12.27

           強さについてとやかく語る前にまずは自分が”強者”になろうという論理は、お金から自由になるにはお金に執着する必要があることと似ている。強さから自由になるにはまず強さを求める必要がある。  例えば、弱者のままで強さについて批判することは、大金を手にしたことがないのに「お金がなくたって幸せだ」と言うことと同じくらい説得力がない。弱いままでは何を言っても、僻みや負け惜しみになってしまうだろう。勝者になる、社会の中で認められる、金持ちになる、組織の高位に着く。そういうことは、辿り着

          「我を通すためには強さがいる」ーー無印良品とガンジーを事例として 2023.12.27

          レビュー|ノルウェイの森、読了。2023.12.26

           夜更かしの読み明かしのラジオでノルウェイの森について話しているのがとっても良かったのでおすすめです。それに触発されて書いてるみたいな所があります。本当に凄まじいものを読んでしまったな、という読後感。もっと早くワタナベに出会いたかった。 1  ワタナベって、生きることが大前提の世界と生きるべきか死ぬべきか苦悩する世界を往還してるのか。でもどちらにも属することが出来ない。そのことを、バレーサークルと哲学コースのどちらにも明確な居場所を見つけることが出来なかった自分の大学時代と

          レビュー|ノルウェイの森、読了。2023.12.26

          レビュー|ノルウェイの森(下)泣きじゃくり感想 2023.12.24

           ワタナベ、お前ってやつは…!好きだから絶対に見捨てないと言い切る覚悟、大人になるんだという意志。お前はすごいよ、俺なんて二十一だったけどそんな覚悟も意志も持てなかったもの。お前が羨ましいよワタナベ。待つのも辛いし、そういうものだと世界を受け止めるのも辛いだろう。  でも、そこから逃げて(逃げたって構わないのに)、気持ちを切り替えたり自分のコントロール出来る範囲で生きていくのではなくて、向き合うことを選んだんだね、自分の好意を大事にしたんだね。俺は君のようにはなれなかったけど

          レビュー|ノルウェイの森(下)泣きじゃくり感想 2023.12.24

          創造性という言葉の意味合いについて 2023.12.2

           創造性とは自己表現のことだと思っていた。自分の中にある能力や衝動、揺れ動いた感情を外に、他の人が見える形に表現すること。それは自分の身体を楽器として歌うことかもしれないし、クラシック音楽に乗せて氷の上で舞うことかもしれない。確かに、自分で楽曲を作って歌ったり、前人未到の5回転アクセルを成功させたりしたらそれはクリエイティブと呼ばれるだろう。けれど、クリエイティブ性(クリエイティブそのもの)はそんな表層的なものではなく、その人が誰であるかという発露なのではないか。これは映画『

          創造性という言葉の意味合いについて 2023.12.2

          レビュー|『ノルウェイの森(上)』2023.11.20

           抱えきれない感想集。雑多な盛り合わせ。村上春樹の文章はよく言えば整っていて、悪く言えば少し着飾っていて、一度読むと引き込まれる不思議な魅力のある文体。江國のような気品さ、上品さとも少し違う気がする。過剰な自意識を含んだ言い回しは揶揄されがちだけど、空虚さもドライさもなめらかに読ませるのは技量なんだろうな。排気ガスで淀んだ街というよりは清潔で冷たい風が吹いている気がする。これまで行った場所だと高松かな。すこし哀しい冬の高松。  江國がセックスなら村上は射精だなという俗っぽい

          レビュー|『ノルウェイの森(上)』2023.11.20

          日記|ノルウェイの森から出よう 2023.11.19

           この前友人とフィッシュ・アンド・チップスを食べていた時に、話の流れで「君は暗すぎて明るいね」という話になり、「もしかしてノルウェイの森のワタナベ君なんじゃないか」という話もその時出て、今現在進行形で読み進めている所です。まだ上巻なんだけど、俺、自分の出自を思い出したよ。親と哲学対話をして形になったのでまとめます。生きていることが辛くなった瞬間の話、どうしてこれまで生き延びてこられたかについて告白し合った。 暗さ  そもそも生きる意味なんてないんだ、人生は何もかも無意味で、

          日記|ノルウェイの森から出よう 2023.11.19

          日記|ノルウェイの森と耳を傾けることについて 2023.11.15

           自分だけ先にお店に入っていることに気が引けて外で待っていた俺に、何で外にいるの(こんなに寒いのに)!、と声をかけてくれ、およそ3年ぶりに会うことができた。茶色に染まった髪がどこか儚げで、すこし痩せたような気もした。ハードに働いているんだろうなと想像を膨らませる前に、まずは久しぶりに会えた喜びに身を浸していた。久しぶりに友人に会えただけでも、会社を辞めて良かったと言える。  近況というにはあまりに長い近況ーー端折って途中ぶつぶつと切らざるを得なかったけれど、とにかくあらまし

          日記|ノルウェイの森と耳を傾けることについて 2023.11.15

          日記|弘明寺の面影 2023.10.16

          甘い香りがして、いたんかお前!という気持ち。今年の年明けに引っ越して来たからここで秋を過ごしていなくて、ここに秋までいてよかったなとすこし思った。乾いた空気、空気が美味しい。 店員によってクオリティがぜんぜん違う。キャベツと肉とソースが織り重なるケバブと、キャベツ!肉!ソース!のケバブ。工夫してたんだなと匠の技に気づいてからは、匠からしか買わなくなった。 栄えてる商店街。すぐ左に蕎麦屋があり、まっすぐ行くと八百屋がある。ここを右に曲がってしばらく進むと銭湯がある。 銭湯

          日記|弘明寺の面影 2023.10.16

          日記|旅をして、上高地編 2023.10.26-28

           ここにいられるのはあと2,3日だから、無意にスマホを見る時間を減らして、明日のために早めに布団を被る。考え事はせずに呼吸に集中する。起きなきゃ!と自分を起こして、朝ごはんもたくさん食べて、腕を振ってハイキングする。夜は温泉が待っている。その生活への緊張感はタイパとか効率的に時間を使うとかそういう安い代物ではなくて、たっぷり時間を使おうとする意志なんだと思った。豊かさを求める心の働きと時間を叩いて搾り取ろうとするような焦りは、同じ時間の有限さから出発していても全く別物だ。

          日記|旅をして、上高地編 2023.10.26-28

          日記|文学フリマに行ってきました 2023.11.11

           友達の本を買いに、東京で開催された文学フリマへ。お昼ご飯の後、一緒に来た友人がその友達にお土産を買いたいと言って、焼き菓子コーナーでひとり時間が止まったように長考していた。大学時代に3人で遠足に行き、駅のファミマで「300円に最も近い奴が優勝」という遊びをした時も、顎に手を当てて同じ顔をしており、その時は皆で分け合えるプリッツを手に取っていた。センスの良い贈り物とは思いやりである、と32手先を読み切る藤井聡太も言うだろう。自分が何をあげたいかではなく、相手が何を欲していて、

          日記|文学フリマに行ってきました 2023.11.11

          レビュー|ケーキの切れない非行少年たち 2023.11.4

          概要 精神科医が少年院での経験をもとにして書いた本。犯罪を総なめにしてきたような少年たちを診察する中で、彼らが反省する以前の問題を抱えており、認知の能力に乏しいことに気付く。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動性障害)と言ったメジャーな発達障害の陰に隠れる、知能障害の人たちについての支援において、見る力、数える力、写す力、そういった認知のトレーニングを提唱している。 特に気になったこと 1 知的障害の少年は融通が効かなく、こだわりの強い一面があり、日常生活

          レビュー|ケーキの切れない非行少年たち 2023.11.4