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【キネマ救急箱#16】ザ・バットマン〜間違いなく“THE”が似合う「これぞ!」なバットマン〜

こんにちは。
ニク・ジャガスです。

さて、さてですよ。
ようやく『ザ・バットマン』を振り返る心の準備が整いました。

先日、2回目を鑑賞してきましたので、改めて本作の感想をまとめます。


メインビジュアル、グッズ、パンフレット、至る所が“THE(これぞ)”に埋め尽くされている!

いや、まず公式HPのメインビジュアルがカッコ良すぎーーーー

キービジュアルになってるハテナマーク、単体でステッカー売ってないかな〜と目を皿にして売店中を練り歩きました。

パンフレット裏表紙

劇中でも活躍したバットマンの胸に着脱できるナイフは、ペーパーナイフとして売られてましたが、公開翌日の昼にもかかわらず売り切れ。

そうだよね!みんな思ったよね!
「そこ外れるん!?カッケー!」って。

今も日本中で、リトル・バットマンたちが雑誌やチラシを無意味に裂き続けていることでしょう。

あと、個人的に感動したのは恐ろしい程クオリティが高いパフレット!

手触りもしっとり

『バットマンの歩き方』と言いますか『トリセツ』と言いますか。

正直なところ、1980年代以降の映画版を見てはいるものの、リアルタイムで見られなかった作品が多いですし、1970年代以前のTVシリーズは未見です。
加えてコミックスの知見も浅いため、残念ながらバットマン史を批評する能力を私は持ち合わせていません。

このパンフレットに感動したのは、私のような新参者にもイチからバットマンの歴史を解説してくれているところです。
まさに“THE”バットマンという題名にふさわしく、「バットマンとは?」をコミックスから、映像史から、キャスト・スタッフから、寄稿者から教えてもらうことができます。

この一冊で『バットマン』という大人気キャラクターの初歩的な知識を抑えられるのは非常に嬉しく、お値段以上のパンフレットと言えるでしょう。

印象的で、ダークな名シーン

今回、IMAXにて鑑賞しましたが、これが大正解でした。
自宅のデバイスの光度で見ようとしたら、9割何が起こっているか分からないのでは…と思うほど画面が暗い。笑

特に印象に残ったのは夜のカーチェイスシーンですね!
これまで沢山のカーチェイスをハリウッド映画で見ましたが、夜に、激しい雨が降っている中で繰り広げられる本格的なカーチェイスは非常に珍しいと思いました。

(余談ですが、ペンギンをコリン・ファレルが演じているのに全く気付かず、佐藤二朗さんばりにエンドロールを20度見しました)

ただ、大破した車の中で恐怖に顔を歪ませるペンギン、「ジャリ…ジャリ…」と足音を響かせるバットマンの足元を交互で映した末、逆さになってバットマンがコチラを覗き込んだ時は若干の戦慄を覚え、流石にペンギンに同情しました。笑

そしてバットモービル、いつ倉庫脇に仕込んでたんでしょうね。
「ここぞ!という時にサプライズしよっと!」と敵が来る前にワクテカでブルースが乗り付けてたら可愛い。

また、ラストでバットマンが市民を発煙筒で誘導していたシーンも印象的でした。
暗闇の中で人知れず悪人に対峙し、間接的に街を救うというイメージがあるバットマン。
堂々と光を掲げて市民を救助する姿に、「自分はリドラーと一緒だ」と気づいたことで復讐の呪いを解いたブルースを見ました。

そのシーンがこれにしか見えなかった。

ドラクロワ『民衆を導く自由の女神』

観客に重ねられる、善と悪の視線

各方面で触れられている通り、劇中歌にNirvanaの『Something  In The Way』が多用されており、本作のバットマンはカート・コバーンをモデルに創造されたことが知られています。

復讐という麻薬に取り憑かれたブルースが、自分とバットマンの境界線も曖昧なまま、悪に対し無慈悲に鉄槌を下し続けている。
そんなブルースに、ヴィランであるリドラーの影を見ることが出来ます。

象徴的だと感じたのは、冒頭でリドラーがゴッサム市長の家を双眼鏡で覗くシーン。
生々しい呼吸音まで聞こえ、観客はさながらリドラー(犯罪者)との目線合わせを余儀なくされます。

そして1時間ほど経つと、全く同じ構図でセリーナの家を双眼鏡で覗くシーンが挿入される。
またリドラーの視線だと観客が想像していると、実はブルースの視線が共有されていたことを知ります。

この一連のシーンで、アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓(1954)』を想起した方も多いのではないでしょうか。
ジェームズ・スチュワート演じるジェフは、殺人こそ犯さないものの、双眼鏡でアパートの住人のプライバシーを窃視し、自分が見てもいない殺人の妄想を作り上げます(結果的に真実なのですが)。
つまり、ジェフの中にも善と悪が入り混じっており、指摘する箇所によっては彼も犯罪者だと言える可能性だってあるのです。

『ザ・バットマン』も『裏窓』と一緒で、観客、リドラー、バットマンが同じ視線を共有することによって、人間が内側に秘めるトラウマは善にも悪にも傾きうるし、誰しもが双方の道を辿る可能性があるということを表現しているように思いました。

ブルースは日本にもいる?

実は、バットマンが暗躍する「ゴッサム・シティ」は日本のある地域と友好都市提携しているんですよね。

それは、広島県福山市。

築城400年になる福山城がある場所は、元々「コウモリ山」と呼ばれていたそう。
市章もコウモリと山をかたどっていることから、バットマンマークとの類似性を兼ねてから指摘されていたそうです。

福山市は、ヒュー・ジャックマンが観光大使を務めた経歴もあり(ウルヴァリンが撮影されたため)、ダークなヒーローに守られる日本随一の激ヤバ地帯かも知れません。

あと、今回の『ザ・バットマン』を見て「あ、この人大阪にいたかも…?」と思ったんですよね。

劇中、ブルースが口にするのはフレッシュなブルーベリー数個だけ、眠ることなく徹夜で仕事を捌き続ける。
その姿に思わず「寝ろ…食べろ…」と念じてしまいます。

あれ?この感じは・・・?



(゚_゚).。oO(・・・・・・・・・!)


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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