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断乳の記録

先週、断乳をした数日間のことについて、書き残しておこうと思う。

長女の時にも断乳をしたので、私にとって初めてのことではなかった。ところが、「何やらものすごく大変だった」というイメージが残っているだけで詳細をほとんど思い出せない。たった2年前の事なのに、喉元過ぎれば熱さ忘れるとはこのことだ。

次女の産後、これまでずっとフォローして貰っていた助産師Kさんに教えられた通り、スケジュールに沿って進める。

最後の授乳→48時間我慢→マッサージで出し切る。そのあと10日後、1か月後必要時のみマッサージ…と、ざっとこんな感じ。

木曜日の午前中に来てもらうことになっていたので、最後の授乳は火曜日の朝。前の晩、床につくときは「これが最後の晩か…。えぇーっ最後?本当に最後?止めるって、こんなライフライン絶っちゃって本当に大丈夫か、次女?いや、母は寂しすぎてこの先の想像ができない!」と、この期に及んでジタバタ。Kさんにも「最後の授乳、たくさん話しかけながら、しっかりあげてくださいね」なんてメッセージを貰って、翌朝の「最後の授乳」をイメージしながら感慨深く就寝した。


ところが…まぁ珍しいことではないけれど、その夜に限って頻回に目を覚まし、その度に欲しがって飲む。何度飲んだか分からないけれど、こういう日の翌朝は「夜中におっぱい飲み切ったから、午前中全く飲まない」パターンになるのだ。

布団から出る前に、ダメもとで思い描いた最後の授乳セレモニーをしようと試みるが、案の定「いらん」と拒否される。朝の準備をしながら「…ということは、あの明け方の、起こされて面倒くさげに、ベロンとパジャマをはだけて飲ませた、あの投げやりな授乳が…あんなのが最後になったのか」と、かなりガッカリする。

月齢が10か月を過ぎるころには、日中の授乳回数は1~2回程度、昼寝の時にちょっと欲しがる位だったので、断乳開始から12時間は母子ともに難なくクリア。覚悟していた初・授乳ナシの寝かしつけも、30分くらいワンワン泣いたらスッと寝てくれたので、ちょっと拍子抜けだった。


この余裕綽々の様相に暗雲が立ち込め始めたのが、日付が変わった頃から。入浴時、「ちょっと張ってきて痛いなー」という位だった疼痛が、どんどん酷くなってきた。寝てしまえば良いと思っていたのに、寝よう寝ようとするほど、意識が痛みに集中してしまって、もっと苦しい。しまいに寝るのを諦めてKindleを読み始めると、少し気が紛れる。この辺りで、今回の断乳というイベントの感慨深さがなくなる。必死。

夜中3時ごろ、とうとう本も読めないほど痛くなり、布団を出る。痛くて痛くて、じっとしていられず、台所と玄関をウロウロと往復する。スマホで、断乳の体験記を読みながら、同志に励まされる。ツイッターの、「断乳、痛くてもう我慢できない」という数々の呟きを読んで心の支えにする。

明け方5時ごろ、何やら吐き気がしてくる。母乳が溜まりすぎて、ガチガチ岩。もう皮膚がこれ以上伸びないところまで行ってるんじゃないかと思う。はちきれそう。かなり切羽詰まってきた自分にユーモアを与えようとする。Kさんにとことんマッサージして貰ったら、さぞかしぺっしゃんこになるだろう。新喜劇の桑原和子(和男?)がパンツのゴムに垂乳根を挟んでいたのを思い出し、それを明日の自分がマネしているのをイメージする。が、あまり助けにならない。

とうとう一睡もできずに次の朝を迎える。とてもじゃないけれど、長女の保育園の送迎などできる状態ではなく、母にバトンタッチ。コンディションに加えて、腫れあがった胸に下着などつけられるはずもなく、「断乳=全く外に出られない」ということに今さら気が付く。気を紛らわそうとすると余計に苦しいので、「痛い痛い…」と、つぶやいた方が良いことにも気が付く。断続的にじわじわと母乳が溢れてくるので、バスタオルを胴体に巻き付けて過ごす。

断乳2日目が峠だと聞いていたので、この痛みがこの先どうなってしまうのかと思っていたけれど、昼過ぎになって腫れが少し引いて痛みが耐えられる程度になってくる。少しずつ、体が母乳を分泌しなくていいことを理解してきているように感じる。

夜にかけて、痛みに慣れてきたのか、痛いけれど普通に家事もできるようになってきて、その晩は眠ることが出来た。

翌日、やってきたKさんには後光がさしているように見えた。たっぷり2時間かけて、溜まった母乳をすっかり出してもらうと、ガチガチ岩が魔法のように柔らかくなった。48時間、本当によく我慢した、あぁお疲れ様、私!マッサージ後のスッキリ感は筆舌に尽くしがたく、しばし達成感に浸る。ちなみに、桑原和子にはならなかった。(小さくなりすぎて、垂れる余地がなかった。)


断乳後、一週間の生活で驚きをもって実感したことが、次女の尿量が減り、私のトイレの回数が格段に増えたこと。それは夜中飲み放題だったので、当たり前と言えばそうかもしれないけれど…夜間はオムツのサイズを一つ上げないと吸収しきれず、うっかりMサイズで寝かせると翌朝ビショビショだったのが、一晩経っても湿っている程度。

朝イチで取り替えるオムツのずっしり感が既に懐かしい。哺乳瓶と違って母乳は飲んだ量が見えないから、まぁそんなに飲んでいたのね…と、驚嘆。

その他助かっていることは、断乳4日目から、朝まで寝てくれるようになったこと。(3日間は、夜間泣くとお茶や牛乳を飲ませて、ひたすら泣き止むのを待った。)これは本当にやる前には信じられないのだけれど、断乳すると、夜中にあまり目を覚まさなくなる。1年間の小刻み睡眠からの卒業は、その解放感と反動で目がギラギラしてしまう程。(笑)

ご飯をよく食べるようになることも、嬉しい変化だ。食べるようになって、これまでの「わざわざ別に作っても食べない」というのが、かなりストレスだったのだと再認識。お互い悪気も落ち度もないのだけど…そう、人間報われないと辛いもの。

その食欲と反比例して、自分の食欲が随分減ったことも実感。食べても食べても、まだ食べれてしまう…みたいなのがなくなっている。いや、喜ばしいことに違いないのだけれど、これも何かちょっと寂しい。

あとはしみじみと、私が何の努力をしないでも、一年間ムチムチと次女を育ててくれたおっぱいさんに、ただただ感服。そして、いっぱい出してほしい時には出せ出せ!と、ある日突然断乳しては止めてー!と、何とも勝手な要求に応じてくれてしまう、その適応力には本当に頭が下がる思い。


今はまだ信じられないけど、やっぱり今回の痛みや辛さも、また暫くしたらすっかり忘れてしまうんだろうな。記録であるとともに、私が先輩の言葉に励まされたように、これから断乳するお母さんの一助になればと思って書いた。


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