マガジンのカバー画像

8
最近になって、夢を覚えていることが増えた。 有名人が出てきたり、知らない町を歩いていたり、障害を持たないぼくだったり、夢はいつも現実ではありえない展開が待ち受けている。 ここでは… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

頬杖のひと

 上品な栗色の髪だった。長さは肩に届くか、届かないかぐらいだった。  肌はすこし日焼けし…

草の実と永井くん

 草むらに、ぼくは寝かされていました。 空は薄曇りでしたが、それでも寝不足の眼にはまぶし…

カニが登場する生々しい夢の話

 ぼくはストレッチャーを押してもらいながら、道の駅みたいな土産品のたくさん並んだ店内を見…

ひざ枕

 奥座敷の壁際に構えられたオルガンのペダルを手持無沙汰にさわっていると、おふくろがフスマ…

おめぇ、たこ焼きでも食わねえか!

 お年寄りむけの洋品店には、日焼けした花柄のブラウスがかけられていた。 フリーマーケット…

サボテンの花

 横たわる背中にかすかに感じるツンツンとした無数の突起が、明と暗であったり、動と静であっ…

チャララーン♪鼻からホタルイカ♪

 ぼくの目の前には、本格的なフェイスガードをした大柄な白衣の中年男性がすこしかがんで立っていた。 片手にはペンライト、もう一方にはピンセットを持っていた。  ここは診察室。 言うまでもなく、白衣の中年男性とは耳鼻科医らしかった。 フェイスガード越しの声はややこもっていたけれど、とても聞き覚えがあった。  電動車いすは診察用のイスよりも低くて、先生はぼくの顔に近づくためにさらに身をかがめた。  やや右にかたむけながら上を向くと、リラックスできるポイントがあることをぼくは経験上

まわりこむ

 顔は面長だった。 眼は切れ長だった。 大切な一球のようだった。 白い帽子のイニシャルは確…