マイブックのすすめ
みなさんは『マイブック』という本をご存じでしょうか。
新潮社から出版された文庫本なのですが、普通の本と大きく違う箇所があります。
それは作者名と本文が一切記載されず、ページごとに日にちだけ書いているということです。
本と名乗っても良いのかどうか逡巡してしまうものですが、自分の書きたいことを自由に書いて良いというコンセプトで出版されている本で、自分が本の作者になることができるという画期的な企画だと思います。
ちなみに2000年分(1999年発行)からあるそうなので、実は超ロングセラーです。
一昨年の12月にたまたまこの本を本屋で見つけた私は、いつも三日坊主で続かなかった日記をマイブックで書いてみようと思い立ちました。
書き始めた頃は、真面目にその日あったことを細かくエピソードなどを交えて書いていくのですが、3ヶ月も経つとマンネリ化してきます。
文庫本ですから細いと文字を小さくしながら書くことにもなるので、非常に見辛くなります。
結果、「今日は何をした」とだけ書くようになったのです。
その後「文章にするから長いのでは?」と考え、その日頭の中で考えていて心に残ったことや、いつもはしないことをやった場合は事細かに書くなどの試みを始めました。
例えば、「旅行した」という題材であれば、ルートを書いてその日一番印象に残ったことを書いてみるなど、文庫本のサイズに収まりなおかつ記憶にも定着しやすい日記の書き方を模索したのです。
12月。
1年も書いていると、慣れが生じてきて一言二言で終わらせてしまいそうですが、私は書き方を随時工夫して考えながら書くということをしてきました。
そのおかげか、誰が読んでもその日何が起こったかを“想像してもらえる”日記を書けたと思います。
実際に誰かに見せるとなると、プライベート満載な上に自分の頭の中をそのまま筆に乗せている部分が多く恥ずかしいのですが、作品として世に出せるようなものになれば、積極的に公開していこうと思います。
いつになるのやら…と思いますが。
マイブックは本を手にとった人の創作によって形になります。
駄作にするのも自由、良作にするのも自由。
小説やスケジュールを書くのも自由、私のように日記にしてみるのも自由です。
ただどのようなことを書くにしても、頭の中を整理して、自分の文章がどの程度のレベルにあるのかという解像度を上げてくれる代物になること請け合いです。
1月25日現在。
本当は1月5日までに紹介しようと思っていたのになかなか記事にできなかった情けない自分と共に、文章を書きたい人の新たなツールとして活用されればと思い紹介させていただきます。
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