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SNS-少女たちの10日間-

『SNS-少女たちの10日間-』という映画をご存じですか?

15歳以下の少女を装ってSNSを利用したら、いったい何人の大人が性的な目的で近づいてくるのか。
この恐ろしい実情を記録したドキュメンタリー映画です。

金沢の映画館でも上映されるということで、公開初日に見てきました!
(現在は終了しています。)


今回はその感想と、最近の性犯罪に関するニュースについて書きます。(ネタバレを含むので、これから見たいという方は鑑賞後にnoteに戻ってきてくださいね)

性被害の数は想像以上

一番の感想は、「こんなに多くの男性が寄ってくるのか」ということでした。
SNSを通した性犯罪が起きている事実はもちろん知っていましたが、その数が想像以上でした。

検証が始まってすぐに、少女にメッセージが届くのです。
15歳以下だと知りながら性的なことに関するメッセージが送られてきたり、いきなり電話がかかってきたかと思えば、性器を映し出したり。

ヤラセかと思うほど次々に少女のもとにメッセージや電話、あるいは写真が届きます。

しかし、一緒に見ていた友人と映画後に話をしていて気づきました。

「私たちにもこんなメッセージ届いたことあるな。」と。

Messengerで「Hello, beautiful.」「Hey, cutie.」のようなメッセージが、海外の見知らぬ人から届くことがよくあったのですが、私だけではなく友人も同じだったのです。

この年齢になればわざわざ返信しようとは思わないため、それ以上に発展はしませんでしたが、ドキュメンタリーは決して映画の中の話ではなく、私たちの話になりうるものだったのだとき気づきました。

そこから友人と不審者の話に発展しました。
私は過去に不審者に遭ったことがあり、今でも夜道やエレベーターは一人でいたくありません。

そんな話をすると友人も同じような経験を話してくれました。
不審者に遭ったことがあるという話をすると、「私も遭ったことがある」と話してくれる友人の数は、意外かもしれませんがそう少なくありません。


「性犯罪」「不審者」どれもニュースでは見るけれど、実際に家族や友人や恋人がその被害に遭ったことがあるかもしれないと想像したことはありますか?

「社会の問題」を「個人の問題」だと考える。
映画を見て「知らない世界を知れた」と思うのではなく、「自分の周りでも起こっているかもしれない」と思いをはせてみることが大切だなと感じました。

なぜ性犯罪は軽視される?

そして何より絶望したのは、この行為を悪だと思っていない加害者の存在です。

映画のラストは、3人の少女(女性)全員とメッセージや電話のやりとりをし、服を脱ぐように催促するなどしていた男性に突撃するシーンでした。

彼は、自分の行いを認めなかっただけではなく、メッセージや電話を通して少女に性的な話題をふることに何の悪意も感じていませんでした。

「会って行為に及ばないようにネット上で抑えている」自分の行為を正当化し、「それによって少女にどんな影響を及ぼすかは自分に関係ない」といった発言をしていました。

上記で話したように、私は不審者に遭って以来、夜道を歩くのが怖いです。昔白い車に追いかけられたことのある友人は、今でも白い車が怖いと言っていました。

自分の経験でさえ、その後の人生にこれだけの影響を及ぼしていると考えると、SNSで性的な嫌がらせをされた方はこれからどれだけのトラウマを背負って生きていくのだろう、と胸が苦しくなりました。


最近、性犯罪に関する事件が多く見られます。

しかし、この記事の見出しには「不適切行為」と書かれ、事件の内容は「就活セクハラ」の一つとしてまとめられています。

しかしこの事件では、就活生という弱い立場につけ込み実際に採用担当者が性行為に及んでいるのです。

れっきとした性犯罪事件を「不適切」「セクハラ」といった軽い言葉で表しているところに大きな違和感を感じました。

こうしたメディアの表現も、映画の最後に出た男性のような性犯罪を軽視する人を生む一因だと考えます。


こうした性被害に遭っている人は少なくない、そして加害者が思っている以上に、被害者に精神的ダメージを与えているということをもっともっと多くの人に知ってほしいと感じた、そんな映画でした。


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