見出し画像

『ユートロニカのこちら側』読了

ディストピア小説っていうと『1984』のビッグブラザーとか何かおっかないものに支配されている構図が思いつくんだけど、こちら、安全快適に豊かに暮らしたい一般市民の夢と希望のユートピアっていう逆設定がこれまた空恐ろしいっていう、脇汗じわ〜ん、なお話。

個人情報って私はあんまり気にしていない方で、隠れ資産もないし、犯罪も浮気もしていないし、SNSもインスタなんかは身バレも気にせずやっている。とはいえこの小説に出てくる個人情報提供って、視覚聴覚からトイレの中以外の全ての情報をデータとして提供して、犯罪傾向まで判断されて未然に処罰されるっていう。。。怖いよ〜〜〜ガクブル。だって私の人格は瑣末な悪意とその埋め合わせの小さな善意のミックスで成立している。優良市民になんてなれませんわ。

小川哲は今のところ『ゲームの王国』がいちばんのお気に入り。ちょっと前に最新作の『君が手にするはずだった黄金について』を読んだんだけど、やはりこのデビュー作と比べると、随分と読者に優しい手加減を加えてくれているんだなあと思う。『ユートロニカ』は読んでてちょっと苦しかったもん。考えろって言われてるみたいで。

そういえば、iPhoneに少し前のアプデで「ジャーナル」ってアプリが入ったじゃないですか。昨日の昼にラーメン屋に行ったんだけど、あのアプリから、
「外出(午後、ラーメン食堂xxx)について書いてみましょう」
ってお勧めが来た。いや、大きなお世話だろう!
位置情報、勝手なおせっかいに使うなよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?