見出し画像

【#Real Voice 2022】 「ゲバァ」 外池大亮

5年生の外池です。

5年間1度も部員ブログを書くことなく引退したことから、多方面からクレームが入り、ここに至ります。

“ホントは書きたかったんですよね?”
という意見が大半だったことにより、自分のリアルボイスに気付かされ、満を持して初のブログに挑戦します。


“今シーズンは苦しかった” のか。

“苦しい”とは、息詰まったり、行き詰まったり、動きが停滞し、循環機能や自浄作用が不全となっていく状態のことのように捉えられる。

ア式蹴球部には、“ゲバ”という紅白戦がある。要は紅白戦なのだが、紅白戦ではなく“ゲバ”なのである。

なぜ、ゲバか。
ゲバはドイツ語のゲバルトが語源。
意味は、内紛とか内戦。
まさに、チームでの「内なる戦い」を経て、対外試合に臨むためのトレーニングの一環。

「内なる戦い」とは、チーム内の、AとAサブ、AサブとIリーグ、IリーグとFCというカテゴリーを入れ替え、更新していくための戦いだけ、なのか。

そこだけに留めてしまうと、「内なる戦い」の意味が“狭く小さく”なり、まさに、“苦しく”なっていく。


「内なる戦い」とは、
まず“自分対自分の戦い”である。

自分が自分の存在意義や存在価値を発揮、表現するところから始まる。まだ未完成な弱い自分と戦い、過去や昨日の自分を上回り、新しい可能性を引き出すための戦い。

そして、
“ライバル(仲間)との戦い”になる。

仲間の強みも弱みも知り、仲間の思いやメンタル&フィジカルコンディションにも触れ、先輩や後輩、そして同期、更には出身校や出身クラブのアイデンティティにある違いや立場を理解し、仲間の変化や成長を感じながら、ライバルに挑み、屈しながらも乗り越えていく戦い。

週に1度、多いときは2度3度と行われるゲバは、ア式蹴球部のエネルギーの源なんだと思う。

その闘いによって生み出されるエネルギーは、カテゴリーを超え、ア式の総和として、週末の屈強な対戦相手へと向かうだけでなく、1人1人の成長を、各々が交歓しながら育んでいく。

我々は、大学サッカーという、横並びではない構造に、群雄割拠な環境に、適応し、対峙し、打ち勝つために、自分自身と仲間と闘ってきた。


やはり、“今年は苦しかった” のかもしれない。

半世紀以上前から不変的に行われてきた“ゲバ”は、その年の、その週末の、結果によって左右されるものではなく、部員各人が、自分自身と仲間を、聖地・東伏見で成長させ、前に進め、社会へと繋げてきた挑戦の軌跡。

今日の明け方には、日本中が、いや世界中が注目する2022ワールドカップ予選リーグ突破をかけ、日本代表がスペイン代表と闘う。サッカーはこれまでもこれからも、世界に社会に、広く大きく存在している。我々はまたサッカーを通じて、その存在の広さや大きさを感じ、厳しさや難しさに、気付かされる。
だからこそ、早稲田大学ア式蹴球部は、早稲田大学ア式蹴球部の在り方を示し続けていけると、信じている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?