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当事者から語られるモノ

こんにちは
わたころ運営のよしだです。

同じく運営の田島先生が先日、「学術誌 作業療法」に当事者のかたへのインタビューを行った質的研究の論文が掲載されました。

こちらの論文を拝読させて頂きました。

学術的内容というよりも、ひとりの障害同時者として、こちらのインタビュイの方の語りから感じたモノをざっくちと文字にしてみようと思います。 


①障害を受容するとは?

インタビュイーの語りから
障害や病は「自分の一部」であり「肯定も否定もしていない.現在の自分の状態」と語る、とありました。

障害受容をする、ということを私は、今でもできているかと言うと、出来ていないと思う。

子どもの頃に抱いていた、友だちのように出来ないこと、
仕事で失敗を重ねていた新人や若手時代、
その時より、幾分は障害当事者である自分を受け止められるようになっているのと、他者に視覚障害の当事者であることをオープンに伝えられている。

でも、自身の障害を全て受容したかと言われれば、
「はい、そうです」
とは、素直に、何の疑問もなく答えられとは言い難いのが事実です。

街中の事柄が見えにくくて困る、
PCの文字が見えなくて誤字脱字に気づかない
他者から画面にスマートフォンや本
PCと顔の距離が近く変な姿勢
と思われているかもしれない、などなど。
些細ないことでも日々、感じることは多々ある。そして心のどこかで障害受容はできるものなのか?と違和感を抱いて生きいます。
できる、できない、ということよりも、
気持ちの浮き沈みがあり、励まされたり苦しめられたりしながら、
障害と共に生きていることだけでもよいのがと最近は思うようになっています。


②自己の肯定

インタビュイーの語りから
「今までの自分の経験や知識を役に立てたい」と他者への貢献によりポジティブになる、とあった。

これは確かにあるのかもしれない。
正直、私は、
幼少期から学生時代を中心に、障害により劣等感を感じることが多かった。
誰かの役に立っていると感じることは少なかった。

そんな私が障害というモノを使って他者に貢献できたなら、それは心のどこかで嬉しくなるだろうなと思う。劣等感は少しは減って、救われる部分があると思う。

だから、
私のように障害なども含めて、何かしらの理由で困っている子どもたちのために貢献したい、社会に恩返しをしたい
という想いから、作業療法士という職業を選択したんだと、今になって振り返ることができる。

そして、
心の何処かで、過去と今の自分を肯定したいという個人的で、傲慢な願いがあるのかもしれない。
でも、その想いを否定することはありません。それも含めて私なのだから。


③自分の内的世界を他者に表現してもらうこと

今回の研究のように、
質的研究では当事者の方の内的世界を理論や仮説を生成していきます。
その過程で、インタビューを受けた当事者の方は、自身の内的世界を呼び起こしています。

自分ではこう思っていたことも、インタビュアーの方と話していく中で、きっと自身では気付いていないような発見があるのではないでしょうか?

思いもよらぬ気付きが得られることもあれば、この発見で向き合いたくない自身の一面にも向き合わなくちゃいけない場面が訪れるかもしれません。

その対話を通して、インタビュアーが想像する以上にインタビュイーである当事者の方は、エネルギーを消費すると思われます。

私、自身は過去に質的研究のインタビューを受けたことはありませんが、こちらの雑誌の分担執筆をするにあたり自身の過去と向き合う作業をしました。

実際に向き合い始めると精神的にもストレスがあり、苦しく感じる時もありました。
正直、そこまで想像していなかったです。やってみて気付いたのです。

ただ、
結果的にはこのような機会があったから、自身や自身の障害について向き合うという行為ができました。
そこで、何を得たかよりも、向き合った、という行為が今の私にとっては重要なことだったと感じています。
それがなかったら、私自身を理解する機会はなかったかもしれません。

障害当事者の誰もが、そうして欲しいというわけではありませんが、
このようなやり取り、作業を通して
当事者の方が、今の自分よりも、過去や未来、今の自分を受け止めてあげられるきっかけになるのかもしれません(肯定も否定も含めて)

どこかのタイミングがあれば私も語ってみたいです。


おわり

障害当事者(支援者)の方が生きやすくなるような活動をわたころなどで行っています。

その中で、学術的にも何かしていければと考えてはいます。
が、正直取りかかれていないのが現状です。お恥ずかしいです。

口だけではなく、やっていかないとなぁと自身に言い聞かせます。


<よしだ>
わたころ運営メンバー

先天性白内障当事者えあり、自身の経験から子どもたちがなりたい自分になれる社会に近づけるように作業療法士として日々奮闘中。

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