見てもらえない記事はマスターベイションと同じ
ドキッとする鋭い表現だけど、これが真実だと思う。
ヒコロヒーさんの書評で話題になっていた『ありえない仕事術』を読みました。
著書はテレビマンでドキュメンタリー監督の上出遼平さん。
本の中では「見てもらえないドキュメンタリー番組はマスターベイションに過ぎない」と表現されていたけど、これって文字コンテンツである記事も一緒だよなと。
私のことは誰も興味がない
こう思いたくはないけれど、現実はそう。みんな興味があるのは「自分のこと」なんだよね。
情報を取りに行く時(特にお金を払う時)は、「自分にとって役に立つか」を判断して決める。そりゃそうだよね、世の中には情報があふれまくっていて、すべてに目を通してたら1万年あっても足りない。
著者は人間の三大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)は、食いつきがいいと表現していました(睡眠はコンテンツにしづらいけど……)。
でもってドキュメンタリー番組は、視聴者にとってはどこの誰とも知らない人をピックアップして、「見たい!!」と思わせなければならない(これって取材記事も一緒)。
欲望を刺激しているか?
その時に必須なのが「欲望を刺激する」こと。あなたに関係のある話ですよ、これを見ればあなたのお悩みが解決しますよ、あなたは気持ち良くなれますよって、振り向いてもらえるような仕掛けを施す。
取材記事でよくあるのは「どん底⇒大成功」の構図。人は理想でない今の状態から何とか這い上がれる術を探しているし、誰かの悲惨な状態を見て「自分はマシな方」って思いたいから。
ライターってただきれいな文章を書ければ良いんじゃなくて、いかに人の欲望をかき立てるか、だと思うのです。
企画者の欲望を反映させた記事はおもしろい
本の中では、テレ東の番組「家、ついて行ってイイですか?」の企画の裏話についても解説がありました。深夜ベロベロに酔って終電を逃した一般人に、家までのタクシー代を出すから取材させてくれという内容の番組です。
この番組の企画者の強烈な欲望には思わず笑ってしまいました。その欲望とは
深夜の人妻が見たい
ということ。女である私にはない発想でなるほどなぁって(笑)
けれどもそれはターゲット層が男性に偏るので、視聴者を限定してしまうとボツに(そりゃぁそうだ)。そこから企画のブラッシュアップを重ねた末に今の番組の形となったそうです。
こんな風に「企画者の強烈な欲望」が反映されるのっておもしろい。薄っぺらなコンテンツを量産しても意味はなくて、そこに強いエネルギーがあるからこそ人を惹きつけるんだよね。
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