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邦画の魅力について、あらためて考えてみた。

1.前置き

ここ最近、出勤準備をしながら邦画を「ながら見」することを習慣にしている。

「いや!大事なカットとか見逃しちゃうだろ!集中してみろよ!」という声が聞こえてきそうだが…

とにかく最近は、音楽と映画と、好きなものを可能な限り浴びていたい欲がすごくて、四六時中、音楽聴いているか映画見ている生活になってきている。
確かに、「ながら見」することで、重要なカットを見逃している可能性はあるし…途中停止しながら見ることで、映画の世界観からいちいち離脱してしまうので、本当の意味でその映画を楽しめているかというと怪しい。

間違いない。映画は集中してみるのがいいに決まっている!ただ、それでもちょっとの隙間時間も映画を見ていたいのだ。許してくれ。

そんなわけで、毎日1本は邦画を観ているわけだが、やっぱり邦画は邦画でいいなと改めて思う日々だ。

個人的に、映画は基本的に外国もののほうが好きだった。韓国・アメリカ・イギリス…アクションはもちろん、ラブロマンスだろうがサスペンスだろうが、どのジャンルをみるにしても海外のもののほうが面白い!と。

2.日本映画がつまらん理由

日本映画は、下記のようなループにずっぽりつかってしまっていることで
つまらなくなってしまっている…と思っているからだ。

そもそものターゲットをキッズや若い女性…といった、エンタメトレンドへの感度高めで、黙ってても見てくれる人に設定しすぎ。(そこは厳しく評価してくれる層をターゲットにしなきゃ!)

観客の感性が未熟だから、漫画やラノベ原作で十分っしょ!ってなってない?(ちゃんと映画脚本家育てよ!)

映画広告がダサすぎ。ただでさえつまらなそうなのに、さらにみる気にならん

てかやっぱ鑑賞料高すぎ。みる気にならん

観客が育たん。日本人の感性が鈍り続ける。どうせ観客は感性鈍いから適当なもん作っときゃいいや!…ループ


結局は日本国として、クールジャパンだなんだいいながら、映画産業にはちゃんとした投資してないからこうなるんだと思う。目先の収益ばかりにとらわれているから…

と、まあ、そんなループにはまってる邦画なんてどうせつまらんっしょ!って決めつけてあんまり見てなかったわけだが、
ちゃんと見てみたら、ああ、良いなと思う作品もたくさんあって…
あらためて、邦画の魅力について再考してみたいと思ったのだ。(あくまで私がここ最近みた良い感じの邦画の共通点を洗い出したにすぎないカモですが…ご容赦あれ)

3.日本映画の魅力

◼︎主人公が多くを語らなくとも映画の空気を理解できる
かもめ食堂、プール、めがね…この辺の映画、とにかくセリフが少ない。
おしゃべりな役もいるが、主人公の小林聡美はいつも多くを語らない。
自分のことをほとんど話さないが故に、この主人公がどんな人生を歩んできたとかその辺のプロフィールは全くわからない。のに、なぜかこの人の価値観や人柄がわかるし、信用していい人なんだと思わされる。これ、多分洋画でこういう人物が出てきたら、いい人なのか悪い人なのかわからないんじゃないかと思う。
日本人だからこそ、主人公のバックグラウンドがわからなくともセリフが少なくとも、映画全体に流れる温かな空気感を理解できるんじゃないか。そんなことを思った。


◼︎心に響く食事シーン
上記の映画はもちろん、南極料理人、彼らが本気で編むときは…など、いい映画に共通するのは食事をとても大事に描いていること。「南極料理人」では、家族と離れて南極に缶詰にされた男たちの日々の食事を本当に美味しそうに描いている。あの環境で食べるからこそ美味しい!というのを、しっかりと伝えてくれる。豚汁、おにぎり、エビフライ、ラーメン…高級料理じゃないのにこれだけ美味しそうと思うのは、日本食だからに決まっているのだ。これが、海外の郷土料理だったら何も感じないだろう。「彼らが本気で編むときは」では、ネグレクトの母親に放置されて、おじとおじのトランスジェンダーの彼女・リンコさんと暮らす少女が、リンコさんに初めて作ってもらったキャラ弁に感激するシーンがある。お弁当の蓋を開けた瞬間のあの喜び…あれこそまさに日本人にしかわからない感動のシーンだ。

◼︎日本語の使い方でわかる人柄、実体験があるからこそ腑に落ちるキャラクター像
日本語からしか感じ取れないニュアンスってあると思う。一人称が「私」なのか「俺」なのか「僕」なのか「名前」なのか、とかでその人物の人柄がわかるし、方言や言葉遣いで育ちがわかる。
あと、こんなやついるよな…とかいう、日本人にしかわからないキャラクター像も絶対ある。例えば「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の、菊地くん。悪気はないのに、目立つことでみんなに受け入れてもらいたくて、誰かを茶化したり空気を読まずに下ネタをぶちまけたりする。こういうやついたよなーという絶妙な空気感。これもやっぱり日本の学校で思春期を過ごしたからこそわかること。

4.まとめ

まとめると、
日本人だからこそわかること、、が上手に描かれてる作品は、魅力的だ!ということがわかったわけである。

海外みたいにいきなり制作費アップできないんだとして、社会風刺とか重いテーマを扱ったオリジナル脚本が書ける作家がいないんだとして。。
とりあえず、日本人だからわかるもの、、にもっと目を向けて作品を作ってみてはどうだろう?

別に漫画原作でもラノベ原作でも構わない、イケてる高校生同士の恋愛映画ばっかでも最悪構わない。その中の細かいところに、日本人にしかわからないものをちりばめてみようよぉ。
それだけで、見る側の感性は育つと思うなぁ。

10年後、20年後見据えていこうよ。
今の子供達が良い映画を見た経験を忘れずに大人になって映画をつくる側になる…。
そしたら、きっと日本映画はまた輝けるんではなかろうか?
みる人も作る人も1年や2年では育たないんだから。今から手を打てば日本映画業界だって変わると思う!

生きてる間に、日本映画がアカデミーで作品賞取るところ見てみたい。

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