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《イベントレポ》9/30 「TOKETAでトケタ!?」

今回の記事は先日、福岡市のNPO・ボランティア交流センター「あすみん」(https://www.fnvc.jp/)で、実施した「TOKETAでトケタ!?」のイベントレポートです。


開催の経緯

 あすみんでは毎年、福岡で活動するNPO・ボランティア団体や企業・行政が取り組む “社会によい活動=GOOD ACTIVITY”が集まるイベント
「グッドアクティビティフェスティバル」を開催されています。

「TOKETAでトケタ!?」は、その2日間の最初のイベントとして、参加者同士の交流を目的とし、
また日頃から社会活動に興味関心がある方々に里親制度や子どもの声を聞くこと、TOKETAについても知ってもらえる良い機会でもあるため、
共催というかたちで実施させていただきました。

TOKETAはもともと里親家庭でくらす子どもたちのためのカードキットとして開発していますが、今回のイベントではあすみんの方々からのご提案もあり、
「大人たち同士の交流のために使う」という
初めての試みにチャレンジすることとなりました。

果たして、本当にTOKETAでトケタのか…

そもそもTOKETAって何という人はこちらの記事もご覧ください☟

さて、TOKETAでトケタのか

「TOKETA」のネーミングには、関係性が「打ち解ける」という意味と
疑問や悩みが「解ける」という二つの意味をかけています。

まず、結論からお伝えすると、TOKETAでトケ…




ました!\(^o^)/

正確に言うと、参加者のみなさんに「打ち解け」てもらうことができました!
\(^o^)/

でも今回のレポートでお伝えしたいのは、
TOKETAでトケました。以上!

ではないのです。

今回のイベントで使ったTOKETAの「こんにちはカード」。

きみ、思った以上に良い働きするやん・・! 

です。

新たな気づきが多かったので、むしろそちらをメインでお話ししたいと思います。

イベント概要

まず、会の流れを少しお伝えすると
はじめに田北からTOKETAの開発の経緯や福祉におけるデザインの重要性、
里親家庭について、里親制度の現状について講演させていただきました。

みなさん真剣に聞いてくださってます

そして、あすみんのフレッシュなスタッフお二人にバトンタッチしてワークショップ開始です。

参加者の皆さんに、TOKETAの「こんにちはカード」を使ってもらい1時間弱、グループ内のメンバーを入れ替えながら対話をしていただきました。

こんにちはカードにはババ抜きのような遊び方と絵合わせのような遊び方の2種類があります。
どちらもゲームの中で「楽しい」とか「忘れられない」という「きもち」をかいたイラストのカードと「思い出」「食べ物」「曲」とか「言葉」がかかれたカードを組み合わせて、それをテーマにグループ内で会話をしていきます。

こんにちはカード

簡単なルール説明をしたら、あとはグループ内でどちらの遊び方をするかも自由に決めていただき、場をお任せしました。

みなさん初対面のはず、ですが、
時間です!と司会がアナウンスしても話し続けているグループも多く、終始盛りあがっています。

わいわい

「安心してみなさんが話せる場づくりを心がけてくださいね。」と最初にアナウンスを入れただけでしたが、
満遍なく話をふっている方がいたり、
相手の話にうなずきながらしっかり耳を傾けている方がいたり、と、
きっとこのようなワークショップの場に慣れていたり、普段対人支援をされている方なのかな、と思うほどみなさんがグループ内の場の安全性を保つ姿勢を意識されてるように感じました。

最後にみなさんから感想を共有してもらい、
田北からTOKETAが大切にしているポイントやファシリテーションのポイントなどをお話しし、会は終了しました。

対話を続けることで見えてきたこと

こんにちはカードで対話する様子を見させていただく中で私が感じたこと、
それは
「対等に対話を続けることの意義」です。

そこには「解決する」とか、「正しい正しくないの判断をする」とかそんな目的はありません。
対話をただ続けて深めていくこと、目の前のテーマについて語り、聞き合うことに没頭することに意義があると感じました。

 「対等」であることと、
ただ対話を「続ける」こと。

この2つのポイントに着目したのは、その2点を実現させる特徴がこんにちはカードにはあるということを再確認したからです。

こんにちはカードの特徴

それはこんにちはカードに示されている「きもち」と「言葉」が極めて短く・端的であるということ。

「きもち」と「ことば」の組み合わせ

シンプルなきもちと言葉の組み合わせで構成されるトークテーマであるからこそ、少し哲学的な問いに感じたり、
不意に聞かれると考え込んでしまう、
それが対話する上で有効的に機能している気がしました。

対等な場が生まれる

実際参加者の方からも「即興でトークをするので、極限状態でその時の話し方、話す内容に人格や過去がにじみ出る」という意見をいただいた通り、
事前に誰かが準備したテーマでもなく、
知識に偏りがあるテーマでもないことから、立場の優位性や権力の偏りが生まれにくい。
グループ内や1対1の関係だと尚更ですが、そこにヒエラルキーがあると対等に話すということは成り立たないですよね。
私自身そのような場の雰囲気にどちらかというと敏感に反応してしまったり影響を受けやすい性格でもあるので、特にその「対等」な場づくりや心理的安全性が確保された環境設定の大切さを感じています。

子どもと使う時も、一緒にその場で出たテーマに思い出や経験に思いをめぐらせて自分の言葉で伝える、その姿勢が何かを一方的に伝えるような会話ではなく、子どもと対等になって一緒にコミュニケーションする本当の「対話」の時間になるんだろうなと思いました。

「子どもが大人になるのではなく。大人が子どもになる」という姿勢。まさにTOKETAの大切にしているポイントです。

「違い」もたのしむ

それから、端的なきもちと言葉の組み合わせであることの2つ目の効果として
説明的でないからこそ、受け取る人によって問いの内容の解釈が異なる。
そこにこんにちはカードの面白さも滲み出ているように感じました。

たとえば実際に「苦手な・夢」というトークテーマが出た時グループがあり、

「夢」って眠る時に見る「夢」なの?
目標としての「夢」のことかと私は思いました!

などと、解釈が分かれていることをお互い楽しんでいる場面もありました。

私が以前、子どもたちとこんにちはカードを使った時も
「忘れられない・動物」と出たとき、
「忘れられない」を「忘れられないぐらい怖かった」と受け取る子も、
「忘れられないぐらいびっくりした」ととる子もいたんです。

言葉一つとっても、一人一人受け取る印象や解釈も違う。でもその違いが楽しかったり、新しい発見につながったり、広がることもあります。

そして違うことをただ受け入れるというか、必ずしも共感する必要もないんだと感じました。
ただただ「話す」・「聞く」の対話を繰り返すことで、他者との違いを感じることがネガティブな感情につながるのでなく、
違うこと感じることでネガティブとは反対の安心感みたいなものがその場に生まれているように私は感じました。

たぶん違うことが問題ではなく、
わかりあえないことを前提として、相手の気持ちを受け入れたり、
わかりあおうとするその姿勢が大切なのであって
そこに信頼感や安心感の関係性が育まれていくのではないかと。

そこに、こんにちはカードを使って対話を続けることの「力」みたいなものを感じました。

こんにちはカード、良い働きします・・!

今回は思っていた以上にワークショップを通じてこんにちはカードの新たな気づきやたくさんの意見をいただくことができました。

今後は前回のnoteでも書いた通り、社会的養護の子どもたちと接するためのツールとして
こんにちはカードの他にも「しつもんカード」や「おうえんカード」などTOKETAの他のツールについても具体的な実践研修を行っていきたいと思っています。

家族、友達、職場など、いろんな場面で関係性を深めるツールとしてTOKETAは良い働きしますよ。
ぜひおひとついかがですか!

一家に1セット、TOKETA!