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#014-楽しい病害虫防除

今月からキュウリの出荷が始まっています。
主に「あじわいの朝 名取店」「フーズガーデン玉浦 食彩館」の産直コーナーに出荷しておりますので、お立ち寄りの際には宜しくお願いいたします。

赤いインディくんシールが目印です!

梅雨入りも近付き雨が多くなりました。
湿度が上がり病気や虫の発生に警戒が必要な時期ですので、今日は病害虫について考えたいと思います。

防除ってなに?

病気や害虫を防ぐ行為を防除(ぼうじょ)と呼びます。
一般には病害虫を防ぐこと = 農薬を撒くことというイメージがあるかも知れません。しかし防除はもっと広い概念です。

主な防除手段とIPM

防除手段は主に4つに分けられます。
1.耕種的防除
2.物理的防除
3.生物的防除
4.化学的防除

これら4つの方法を効果的に組み合わせて病害虫防除を行う概念を、IPMと呼びます。
Integrated Pest Management = 総合的な病害虫管理

IPMは「適切な手段を総合的に講じることにより、健康リスクや環境負荷を軽減するもの」と定義されています。(農林水産省HPより)

耕種的防除

そもそも病害虫が発生しにくい環境を整えることです。
・病気に抵抗のある品種を選ぶ
・台木(接ぎ木)苗を使用する
・同じ場所での連作を避ける
・周辺の雑草やゴミの処理  など

物理的防除

物理的手段を講じて、虫などの外部からの侵入を防ぐことです。
・防虫ネットを張る
・粘着シートで虫を捕らえる
・マルチビニールや乱反射テープの使用
・循環扇による結露の防止  など

生物的防除

あまり聞き馴染みがないかも知れませんが、有用な生物を利用する防除方法です。
・害虫の天敵や益虫を放つ
・有用な微生物や菌を撒く
・コンパニオンプランツ  など

コンパニオンプランツとは、虫が嫌がる匂いの植物などを近くに植えることです。

化学的防除

こちらが一番イメージしやすい手段で、農薬を用いた病害虫防除です。しかし一言で「農薬の使用」と言っても様々な側面があります。

農薬使用と有機栽培

農薬の使用には様々な基準があります。
農薬の種類ごと、対象作物ごとに濃度・散布量・回数などが厳密に決められており、使用状況をきちんと記録しておく必要があります。

またよく誤解されることですが、無農薬栽培は農薬を使用しませんが有機栽培では農薬を使用します。

有機栽培の基準はJAS規格によって細かく定義されており、その中で使用できる有機農薬も指定があります。基準をクリアし公式に認定を受けなければ、「有機野菜」を謳うことはできません。

結局農薬の使用ってどうなの?

容易には結論の出ない話題であり私も勉強中ですが、現状考えている内容を簡単にまとめたいと思います。

まず個人農家にとって、農薬はできるだけ使用したくはありません。
これは環境や消費者のためという意識もありますが、コストや労力の問題でもあります。
重い散布機械(農薬込みで15〜20kg)を背負って長時間作業するのは非常に辛いですし、自身の健康被害も気になります。

一方全く使用しないという事も難しい状況です。
例えばキュウリで無農薬栽培を行った場合、病害虫による被害で収穫量は半分以下になるというデータがあります。

農薬の使用には当然リスクが伴います。
ただそのリスクがどういった種類でどの程度なのか、という詳細については生産者も消費者もなかなか理解が追い付かない部分です。

人間の認知の特徴として、リスク判断が難しいものに対しては過大評価過小評価に振れてしまうという問題もあります。

化学農薬の完全否定というのはリスクの過大評価になると思います。
自然界にも人間にとっての毒物は溢れており、植物自体が有毒物質を作り出す場合もあります。(スイセンジャガイモの芽など)
一方、過小評価による農薬のいい加減な使用は絶対に許されません。

ですので前述のIPMの考えを基に、様々なコストと収穫量のバランスの取れる使用水準を模索しつつ、用法用量は誠実に守る態度が必要というのが現状の結論です。


以上、病害虫防除について考えてみました。
農薬については私もまだまだ理解が浅いので、もっと勉強した後に改めて詳しく考察してみたいと思います。

本日も読んで頂きありがとうございました。


[本日の参考文献]

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