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ヒューマンセンタードでなければ未来はない — by Merci-Michel <vol.18>

WORKS GOOD! MAGAZINE 第18弾は、WEB制作だけにとどまらず、近年ではゲームやインスタレーションなどのインタラクティブなプロジェクトを多く担当している  Merci-Michel 。クライアントには誰もが1度は聞いたことがあるであろう大手有名ファッションブランドをはじめ、グローバルブランドが名を連ねます。在籍メンバーが15名と少ないなかどのように大きめなプロジェクトを進行しているのかなど、直接伺って話しを聞いてみました。

Q1:
まず初めにMerci-Michelについて教えてください。

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 Merci-Michelはパリのデジタルプロダクションで、15人のメンバーが在籍しています。設立者を含む4名はマネージメントの役割をつとめていて、クライアントとの打ち合わせや交渉などはこの4人が中心に行います。デザイナーは5人で、1名はデザイナー兼クリエイティブディレクターです。そのほか6名はデベロッパーやプロジェクトマネージャーになります。

デベロッパーと一言でまとめましたが実はそれぞれ違う個性があり、例えば、ひとりは3Dアートが得意だったり、ひとりはHTML5に精通していたり、ひとりはモーショングラフィックに長けていたりします。

実はほとんどのデザイナーがデザインとは別にアニメーションを創ることもできますが、デザイナーがアニメーションを担当してしまうと時にデベロッパーとぶつかってしまうことがあるため、私達の会社ではひとりひとりに役割を振り当て、シングルタスクのみに集中してもらうようにしています。

Q2:
会社として同時に進行するプロジェクトの数はいくつになりますか?

会社としては繁忙期や閑散期によってプロジェクトの数が上下しますし、プロジェクトの規模によっても変わりますが、だいたい3つ〜6つのプロジェクトを同時に進行させています。現在は2つ大きめのプロジェクトが進んでいて、その内のひとつは美容系クライアント用にゲームを制作しています。それ以外はもう少し規模が小さめだったり、次に始まるプロジェクトの準備を先行して始めたりしています。

私達は量よりも質に集中したいため、すべての依頼を受けているわけではありません。なぜ私達が起用されたのか理由が明確で、また、やっていて意味のある仕事を受けるようにしています。ただ、ありがたいことにたくさんの機会をいただいているため、最近は、今までトライしたことのないゲーム制作や、イベントのためのインスタレーションの制作になるべくフォーカスして仕事を受けるようにしています。

Q3:
プロジェクトへのメンバーのアサインはどのように決められていますか?

マネージャー間でどのプロジェクトが誰に向いているか話し合い、采配します。ちなみにチームの中にヒエラルキーは存在しないので、もしアサインされていないメンバーがそのプロジェクトをやりたいと手を挙げた場合には、ミーティングに参加してもらったり、アドバイスを出してもらうような形でプロジェクトに参画してもらっています。

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Q4:
ルーティンとして組み込まれているミーティングはありますか?

月曜の朝にチーム全体のミーティングを設けています。そこでは、今どのプロジェクトが走っていて、今週何をする必要があるのかを確認します。また、今どんなポテンシャルプロジェクトがあるのかも一緒に確認します。ポテンシャルプロジェクトを共有することによって、メンバーそれぞれが「こんなプロジェクトが来そうなら、この知識を蓄えておくと良さそうだな」と前もって準備をすることができます。またプロジェクトマネージャーにとっても調整しやすくなります。

Q5:
プロジェクトやチームのスケジュールはどのように管理されていますか?

可視化できるようにツールを使って管理していて、Google docsやGoogle Spread Sheet、HarvestやForecastを使っています。そのほかにAirtableというサービスも使っています。Airtableはスプレッドシートとデータベースが共存しているようなWEBサービスで、これを使ってタイムマネージメントを行っています。Airtableでは用途によってテンプレートを作成し使い分けることができるため、その機能を活用しています。

ゲームに関するプロジェクトはマイルストーンの設定がとてもデリケートです。なぜなら途中までできているものをクライアントに見せるのですが、そのタイミングを間違うとクライアントに不安を与えてしまうからです。そのため、クライアントに見せてもいいタイミングを綿密に測るようにしています。

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Q6:
話は変わりますが、コンペには参加されますか?

たまに参加しますが、ルールが明確ではなく、どこを評価されているかわからないことがしばしあるため、あまり好きではありません。何社と競っているかすらわからないこともありますしね。もし時間が十分にあり、競合が5社以内で、興味をそそられるようなコンペであれば参加するかもしれませんが、そもそも競うというスピリットがあまり好きではないです。

そのためにも、なるべくクライアントとは友達のような関係を築くようにしています。もし良好な関係が構築できていれば新しいプロジェクトが立ち上がったときに、わざわざコンペを開くよりも、私達が力になれることを思い出してもらうことができます。

Q7:
メンバーのモチベーションはどのように保たれていますか?

面白くて興味のそそられるプロジェクトを彼らに提供することですね。ただ難しいのは、面白くて興味のそそられるプロジェクトは往々にして、ビジネスとしては利率がいいものではないということです。ビジネスとして会社を動かしていくためには、あまり面白くなくても利率の良いものを同時に進行させていくことも大事です。つまり、バランスが大事ということですね。

働く環境も大切だと考えています。なるべく窮屈でなく、チルできるような空間にしたいと思っているので、誰が何時間働いたかはそこまで詳細に確認していません。会社としてのオープンアワーズは朝の10時〜夜7時までに設定していますが、オフィスにはいつでも自由に出入りできますし、リモートワークも可能です。

また、プロジェクトが大きければ大きいほど乗り越える壁も高いので、大きいプロジェクトを担当してくれたメンバーにはボーナスを出すようにしています。あとは一緒に飲みに行ったりもしますね。

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Q8:
残業をすることもありますか?

さっきも話に出ましたが、正直時間はそこまで気にしていません。もし誰かが遅くまで残って仕事をしたいと思えばそれは可能です。私達から残業をしてくれとお願いすることはありませんし、一方で、「みんな残業はするな!」と呼びかけることもありません。

Q9:
時間を気にしないというのは特徴のひとつだと思いますが、それ以外にもユニークなところがあれば教えて下さい。

私達のような小さな会社で、インタラクティブやゲーミング、そしてインスタレーションに重きを置いているということ自体が、ユニークなところだと思います。ゲームもネイティブゲームを作る会社はたくさんありますが、イベントの展示用や、WEBサイト内で表現するものを得意とする競合はあまりいないと思っています。

実際、このようなプロジェクトにそこまでお金をかけたいというクライアントは多くないのでニッチなマーケットではありますが、ニッチを極めるのも面白いのかなと思っています(笑)


Q10:

ニッチなマーケットで、人材確保に苦労することはありませんか?

あります(笑)新しい人材を雇うのはなかなか難しいですね。本当にゲーム好きな人材を雇おうとしたら、どうしてもUbisoftなどの大手ゲームメーカーには勝てないですし、HTMLやCSSに特化した人材を求めているわけでもありませんので。

Q11:
最後に、「良い仕事」をするのに一番大切なものは、会社としてなんだと考えていますか?

メンバーのモチベーションとパッションです。スキルも大事ですが、スキルよりももっと大事なのはパッションだと信じています。これを上回るものはありません。もちろん最新の機材やお金も重要だとは思うのですが、人間が中心の会社ですし、彼らなしでは会社の未来はないと言っても過言ではありません。

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