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開かないスーツケース

ー義母86歳と行く台湾(1)

心臓にリスクを抱え、足も杖なしではわずかな距離しか歩けない。そんな義母は86歳。海外旅行への意欲は依然衰えず。むしろ、コロナ禍のせいで以前に比べて一段と燃えさかる。「これが最後になるかもしれない」というお決まりの台詞にほだされて、2023年11月に台湾旅行へ。トラブルは幾つもあったものの、存分に楽しんだ。後期高齢者と一緒の旅路を振り返る。

この先に描く夢

寧夏夜市(台北市)のにぎわい(撮影=奥さん)

義母との旅程はなんと8日間。義母、そして世話人になる奥さんが"先発隊"として出発。行程6日目にこちらが台湾に飛び、先発隊と合流した。当方の役割は、義母をサポートする奥さんの手助けだ。その甲斐あってか、ありがたいことに3人揃って笑顔で帰国。この体験を基に、この先、父親、母親とも一緒に行けると嬉しい。今から楽しみだ。

暇じゃないのよ

義母と奥さんご一行。こちらが合流する前の旅程が順調だったかと言えば、答えは否。日本と台湾の時差が1時間しかないことを良いことに、奥さんからトラブルの報告・解消の要請がLINEを通じて頻繁に届いた。頼りにされていると思えば嬉しい気もするが、こちらも暇じゃないないのよ、実際に。

例えば、ご一行が台湾に到着した当日のこと。夜更けにLINEが相次いで届いた。内容は、義母と奥さんの二人分の荷物を詰めたスーツケース(※)が開かないとのこと。ダイヤルを指定通りに合わせてもロックが解除されないとか。折りしも、その頃、こちらは爆睡中。そんな都合良く助けられません。

どうにか解消

結局、ホテルのフロントにお願いし、ロックを開ける職人を呼んで解決してもらったとか。費用は500ニュー台湾ドル(元、2500円相当)。翌朝、どうにかした結果を聞いてホッと胸をなで下ろす。義母のことだから、きっと奥さんに八つ当たりしているかも。そう思うと、奥さんが幾らか気の毒に。

前途多難な幕開けに、早く合流せねばと義務感に駆られた記憶。(つづく)

余談

指定したダイヤルが、どういうわけか勝手に変わっていたらしい。奥さんは再発を恐れ、ダイヤルをそのままにしてロックをかけずに帰国まで使い続けていたそうだ。貴重品は入っていなかったし、盗まれたものもなかったそうだが、それはそれで恐ろしい。奥さんの胆力に恐れ入る。

(写真:連載トップ画像=奥さん撮影の画像を基にりす作成)

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