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ひらがなエッセイ #39 【ら】

    缶ビールを飲むとトレインマークのキーホルダーが貰えるという企画に、普段発泡酒しか飲まない私が、高級ビールに手を出した。あれは素晴らしい企画であった。あの企画が今でも行われているのかは定かではないが、私は、あの日あの時あの場所で、是が非でも欲しいトレインマークがあった。そのトレインマークの名は【雷鳥】大阪駅 - 金沢駅・和倉温泉駅間を結ぶ特別急行列車、サンダーバードの改称前の呼び名である。今日は【雷鳥】からサンダーバードまでの進化の過程を共に歩もうではないか。


    第1形態【雷鳥】  

    雪山で佇む【雷鳥】その目は何を見るのか、何処から来て何処へ向かうのか、小さな頃、このトレインマークを見たのか、どうなのかは覚えてないし、鉄道オタクでも収集癖がある訳でも何でも無いのだが、ふとした瞬間に、この鳥の事だけを想った。切なくて苦しくて孤高で気高い。


    第2形態 スーパー【雷鳥】

    ただ、しんしんと降り積もる雪の中を行く列車にスーパーと言う言葉は如何なモノか。雪の結晶が花のように見える事を銀華(ぎんか)と言う。どうせなら、銀華雷鳥ぐらいにして欲しかった所である。第1形態と比べて、首元のひし形が少しまばらになった。雪の中で、どれだけの時間が流れたのだろう。払い落としてあげたくなる。


    第3形態 サンダーバード

    私の鳥は何処へ。

    時代の波には逆らえない、それは嫌と言う程知ってる筈では無いか。認めたくないものを認めなければこの先へ進む事が出来ない、そんな状況は人生の中で往々にしてある。ただ、それを認めた先に、私が憧れた人が誰一人居ないって事も私は知っている筈だ。【雷鳥】の英語表記はPtarmigan(ターミガン)サンダーバードですら無い。どついたる。


    だが大丈夫【雷鳥】はいつも、私と共にある。

    行こうか【雷鳥】今日もまた、通い慣れた道を共に行こう。

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