「夜と霧」は現在の日本人こそ読むべき名著なのかもしれない
朝起きて、なんとなく本棚の整理をしていたところ、ふとフランクルの「夜と霧」が目につき、読み直したい衝動にかられました。
以前に読んだのは確か3年くらい前。
人間の極限状態における精神と肉体の関係を知ることができる世界的名著ですが、なんとなく全体的に忘れている感じだったので、読み始めたんですが、面白すぎて一気に読んでしまいました。
改めて読み返しても最高の本ですね。
前回読んで一番印象的に残った部分が、やっぱり今回も一番印象深かった。
第二次世界大戦、ユダヤ人はドイツ兵によって強制収容所に収監される。
衣服どころか、食事もろくに与えられず過酷な労働環境で、人が毎日のように亡くなっていく中、なぜか不思議と大勢亡くなる時期があり、その時期は、クリスマスから新年にかけて。
理由は、心の中のどこかで持っていた、「新年にはこの地獄が終わっているんじゃないか?昔のような幸せな生活が待っているんじゃないか?」という心の支えとなっていた、僅かな「希望」が叶わなかったから。
つまり、いつ死んでもおかしくない肉体の状況を、かろうじて生きながらえさせていたのは「希望」という精神の支柱。その希望という精神の支柱が折れた瞬間、崩壊した精神は身体をも崩壊させたんです。
僕たちは日々の生活の中では「体の健康」をよく気遣います。
太ってきたら、食事の改善をしたり運動を始めたり、体のどこかの部位が痛むなら病院で検査をしたり治療をします。
体の健康は、見た目や症状としてわかりやすいですからね。
ですが、多くの人が「精神の健康」までに気を向けていないんじゃないでしょうか?
気持ちが落ち込んだり、やる気が出ない日々が続いても、その原因を突き止めて改善しようとはせず、気合いで乗り切ろうとする。
精神の健康(心のケア)をせず、少しずつ蝕まれた結果、最悪、自殺という結末を迎える人もいます。
現に、日本は見た目では他国より肥満も少なく「長寿大国」ではありますが、一方で「自殺大国」でもあります。
このことから考えても、いかに「体の健康」には目を向けているけど、「精神の健康」には目を向けていないということが、わかるのではないでしょうか?
そんなことを考えさせてくれる「夜と霧」は、改めて名著だなと感じました。
現在の日本人こそ一度は読むべき本なのかもしれません。
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