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炎上した子無し税問題ですが、子ども産んでも増税されますよ。

2017/11/18付共同通信の「年収800万円超で増税案 政府検討、子どもなし世帯」https://this.kiji.is/303918861361874017?c=113147194022725109という記事をきっかけに、「すわ?子無し税か?」とネットが騒然となりました。

政府が2018年度税制改正で議論する所得税改革に関し、子どもがいない世帯では年収が800万~900万円を上回る場合に増税とする案を検討していることが16日分かった。各種控除の見直しにより高所得層が増税となる一方、低所得層は減税とし、子育て世帯も負担が重くならない仕組みを目指す。


こんなネット記事まであがる始末。

「子無し税」を政府が導入検討へhttps://www.excite.co.jp/News/it_g/20171117/Buzzap_46037.html

「子どもがいないことは罪なのか?」とか「ほしくたってできない夫婦だっているんだぞ!」とか大体炎上している内容は感情論です。


ちょっと待て!

冷静にちゃんと記事呼んだ?


その前日の日経を読むと「年収800万円以上のサラリーマン増税で子どもがいる世帯だけは除く」とある。子どもの定義も不明。

高所得の会社員増税 給与控除縮小、基礎控除は拡大  財務省案 多様な働き方に対応-2017/11/17付日本経済新聞 朝刊https://www.nikkei.com/article/DGKKZO23567050W7A111C1MM8000/

仮に未成年を子どもとして計算すると、一番増税の対象になるのは50歳以上の子どもを育てた夫婦になるという。※50歳以上の夫婦と子世帯は計算の便宜上子どもは成人していると換算して除外しています。

ちっとも子無し税ではないよね。


要は800万円以上の全世帯を増税するけど、子育て中の世帯に限り免除するってこと。子なし税というより高所得者税なんですよ。子を産んだら税を取られないわけではなく、子を産んでも成人したらまた税は取られる。それがわかっていない人が多い。

恣意的な新聞報道を鵜呑みにして、「子無し税なんてけしからん!」と炎上する人たちの文章読解リテラシーのなさの方がヤバいよ。

逆を言えば、恣意的な政府の言い方に簡単にだまされるってことだから。


で、誰が対象になるのか年収別全世帯でグラフにした。

こんな一部の人たちなんですよ。

仮に、この人たちから報道で言われているように一律年間10万円の税を徴収したとしましょう。この人たちの世帯数は640万世帯。6400億円にしかならないんです。それって、消費税にしたらたった0.3%分。だったら消費税でよくない?

なぜなら、こんなことの事務処理のために、ものすごいコストかかったりするわけですよ。もしかしたら6400億のうちの3分の1がコストとして使われるだけかもしれない。

そっちの方がよっぽど無駄。


年収別に続いて、年収と世帯類型を加味して年代別に分けてみた。

これ見るとわかるのは、800万円以下の年収だと半分が子育てしていない(できない)のね。一部のできちゃった人を除けば。※こちらの子ども子育て世帯は便宜上で実数ではないです。参考値として見て下さい。


なので、こう思うんですよ。

これって子無し税ではなく、共働き税じゃない?

だってこれは、個人収入ではなく世帯収入だからね。そっち指摘しないと。


別に官僚の肩を持つつもりはないけど、炎上している「子なし税」の正体というのは、「800万円以上の所得全世帯を増税しますよ。但し子育て中の世帯だけは負担ないように対象外」って話なんです。

物は言い様で、そう言われてみればそれほど文句言われるものでもない。また少子化対策とは無関係。よく考えてほしいんですけど、年間10万円ごときの増税で子どもを産むとかの決断に直結しますか?大体、上のグラフにある通り、子育て世帯の年齢層は30-40代集中だし、そもそも増税対象外なんだから関係ないんですよ。これで出生率があがるわけがない。


むしろ文句言うポイントはそこじゃなくて、女性活躍社会とかいいつつ、夫婦が共働きして稼いだら税金とるよって矛盾してないか?ってとこ。そもそも世帯で800万って400万+400万でも対象になるわけで、特別高所得というわけでもない。普通に夫婦が正社員で共働きしていたらいけちゃうレベルです。

高所得じゃないのに増税されるんです。女性活躍しろと言っておきながら、専業主夫の方が得するんです。

そっちの方が問題でしょう?


なんでそうなるかというと、所得という考え方をいつまでも世帯で考えているから!

僕は以前から言うように税は、世帯ではなく個人単位にすべきだと思うんですよね~。なんでいつまでも世帯単位で考えるのかな?

配偶者控除の場合もそうだけど、世帯で考えるから変になる。



いずれにしても、2035年には男の4割、女の3割が生涯無子になるんです。これは少子化対策とか金のバラマキとかいくらしたって止まらない。子どものために子の有無関わらず税負担する考え方は賛成だけど、それによって個人の生き方に損得や善悪感情が起こらないようにすべきだと思います。

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