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春はオレンジワイン①

オレンジワインは新しいワインではない

春気分を盛り上げる

私の住む新潟市は2月後半ともなると寒さも落ち着き、雪は雨に変わる。まさに三寒四温という言葉がピッタリの時期。スーパーや雑貨屋は一気にバレンタインから春の売り場に様変わりし、ひな祭りムードになる。
そんな中、皆で集まる機会が多いこの時期はオレンジワインで春気分を盛り上げたい。

暖色を代表するオレンジ色。春の訪れを連想させる

オレンジワインとは

オレンジワインは都市部では数年前より、すっかりと定着。地方都市でもちらほら見かけるようになってきた。私の務めるCasamiaでも問い合わせが伸びてきている。

GoogleTrends オレンジワイン

特に昨年は2〜3月に検索数が急激に伸びている。春を待つ逸る気持ちが華やかな色合いのワインを求めるのではないか?と思う。

赤ワイン、白ワイン、ロゼワインに次ぐ第4のカテゴリーのワインとして定着されつつあるオレンジワインだが、どのように造られるのだろうか?


白ブドウを赤ワインの製法で造るワイン

ワイン用ブドウは大きく分けて白ブドウと黒ブドウがある。一般的に白ワインは白ブドウから、赤ワインは黒ブドウから造られる。
赤ワインと白ワインの製法の大きな違いはブドウの果汁と共に果皮や種などを発酵過程で使うかどうか?である。白ワインは白ブドウから果皮を取り除き、発酵させるが赤ワインは黒ブドウの果皮などを漬け込んで色素を出したり、果皮ごと発酵させたりする。

オレンジワインは白ブドウを使って、果皮を漬け込んでから発酵する。つまり、原料ブドウは白ブドウなのだが、製法に赤ワインの要素を取り込んでいるのである。

オレンジ色は結果

第4のワインと言われるオレンジワイン。実は新しいワインでもなんでもない。古代よりある製法なのだ。一節によるとオレンジワインの起源は8,000年程前まで遡ると言われている。
さて、オレンジワインは何故つくられるようになったのだろうか?

オレンジワインは製法過程でブドウの果皮を漬け込んだりする。ブドウの果皮にはタンニンがあるので天然の酸化防止剤となり保存性が高まる。
酸化防止剤など無かった時代にワインの保存性を高めるためにタンニンや色素を加えることは味わいに深みを与えるだけでなく、保存性を高める目的もあったのだろう。赤ワインの製法を取り入れることで白ワインに保存性をもたせたのがオレンジワインの始まりとも言えるかもしれない。


時代の流れ

サスティナブルな考え方が広まり、ワインもナチュラルワインが広まった。酸化防止剤の少ないワイン造りが可能なオレンジワインは健康志向の消費者に受け入れられた。
また、SNSがライフスタイルの一部となり、華やかな商品は目に止まりやすくなった。オレンジワインの鮮やかな見た目はインパクトがある。
このように、オレンジワインが流行したのは時代の流れとしては必然的なのだが、もともとはオレンジ色にしたいわけでもなく、近年できた製法でもなく、保存性を高めることが目的の昔からあるワイン造りだったのです。

カジュアルな色がワイン界に新風となるか

オレンジワインの個性

飲みはじめの違和感

日に日に広まりつつあるオレンジワインだが、実は結構味わいに幅がある。そして、総じて言えることは決して飲みやすいワインではないということ。「オレンジだ!フルーティーだあ!飲みやすそう!」で購入すると痛い目を見るので注意。
オレンジワインは製法に赤ワインの製法を取り入れているために赤ワイン同様にタンニンを含んでいる。このタンニンが口に含んだときに違和感となる。タンニンはワインの渋みの一つで、タンニンが含まれるワインは一般的には飲みづらくなる。
また、オレンジワインにはノンフィルター(濾過していない)ワインも多く、発酵後の酵母がそのままワインに入ってるワインも多い。この酵母が複雑な味わいを出してワインの個性となるのだが、これも違和感の一つになる。

オレンジワインを飲むポイント

オレンジワインを飲むポイントは、違和感の払拭である。オレンジワインを飲み慣れていない方にとって「オレンジだ!フルーティーだあ!わーい!」のイメージから入ると「…?」となる。見た目が華やかすぎるのだ。オレンジって言っちゃってるし。。
しかし、飲んでいるうちに違和感は少しづつなくなってくる。それどころか、酵母の旨味が、ついついもう一杯飲みたくなるような中毒性がある。
オレンジワインを飲む時は少し俯瞰して、気合を入れて飲んで欲しい笑
。これだけで、第一印象はだいぶ変わってくる。


飲みやすいオレンジワイン

メーカーもお客様の望んでいるオレンジワインのイメージに近づけるために最近では飲みやすいオレンジワインも出てきた。流石にオレンジ味とはならないがフルーティーで飲みやすく、後味スッキリのオレンジワインもCasamiaにはある。

こちらのオレンジワインは辛口で飲みやすい。酵母の旨味は少ないが白ワインに近いタイプで、どんな料理にも合わせやすい。
このようにオレンジワインは味わいに結構幅があるので、ぜひ詳しいスタッフが常駐するワイン売り場では以下の点をスタッフに確認してもらいたい。

①白ワインに近いタイプか?
②ナチュラルワインに近いタイプか?

ここで「白ワインのナチュラルワインもあるだろ!」ってツッコミが湧いてきそうだが、私の中でオレンジワインは①白ワインに近いタイプ。②酵母の旨味が強いナチュラルワインタイプに分かれる。
特に初めてオレンジワインを飲まれる方は、いきなりノンフィルター野生酵母オレンジワインを飲んだりすると失敗する可能性がある。

インディジェノさんオレンジワインは上級向け


私の勤務するワインショップCasamiaの店頭ではオレンジワイン購入希望でいらっしゃったお客様には、かなり気をつけてヒアリングしています。
ナチュラルワインを飲んだことが有る方、好きな方は②を自信をもってオススメ。飲んだことがない方は①のワイン。もしくは②のリーズナブルなワインでの挑戦をオススメしています。

少し話はそれますがワインショップではスタッフに相談することをオススメします。結局、私も他の店のワインよくわからないですもん笑。飲んだことないワインがあるから。もちろん品種やら産地やらである程度のイメージはつきますが、実際に飲んでいる方の意見が一番参考になるし、ワインに詳しくなれたり、スタッフにアドバイスを頂くことで自分の好きなワインのタイプが見えてきて、より一層ワインの世界が広まると思いますよ。

まとめ

  1. オレンジワインは白ブドウを使って赤ワインの製法で造られるワインである

  2. 最近できたワインではなく古代からあった。

  3. 決して飲みやすいワインではなく個性が強いワインである

  4. 個性を事前に理解して飲むと、美味しく飲める。


オレンジワイン編パート②の次回はオレンジワインと料理のマリアージュを提案していきます。


Casamiaのオレンジワインと自然派ワインセット


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