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白ワインのミネラル感は何から来ている?

みなさんお久しぶりです!
先日、シャブリのキリッとしたミネラル感の強い白を飲んでいる時、ふと思いました。このミネラル感は何から来ているんだろうかと。
一般的にはシャブリのキンメリジャン土壌(化石や貝殻が含まれるミネラル分豊富な土壌)がこのワイン特有のスタイルに影響していると考えられていると思います。
本当は何がワインのミネラル感を作っているのでしょうか、、?

いくつか文献を見てみたところ、私達が知覚する「ミネラル感」を作っているのは1つの要素だけではないようです。(数多く論文があるので見つけ次第追記していこうと思います)
例えば以下の通り。かなりサイエンス寄りで小難しいのですが、理屈がわかるとなるほど!となると思います。

1.琥珀酸
チェコのジャーナルオブジャーナルオブフードサイエンスで“Chasing after Minerality, Relationship to Yeast Nutritional Stress and Succinic Acid Production”(鉱物感を追い求める:酵母の栄養ストレスと琥珀酸生成の関係)という論文が発表されました。
ワイン醸造で使用する酵母は窒素、GABA、プロリン、アンモニウムイオンなどの栄養が不足するとストレスを受け、その結果として琥珀酸を生成します。琥珀酸はワインの味に影響を与えることが論文で示唆されています。実際に琥珀酸の濃度が異なるワインをテイスティングしてもらい、味わいを比較する実験が行われました。
結果、琥珀酸の濃度が高いワインはわずかな塩味、苦味、口内の乾燥感といった特徴を感じさせることがわかりました。これが私たちの知覚するミネラル感と近いようです。
ちなみにこちらの論文ではテロワール(土壌の特性)が直接的にミネラル感に影響を与えている、という説は否定しています。(、、、興味深い)

2. 硫黄還元分子
農学分野の研究者による”Wine Minerality and Funkiness: Blending the Two Tales of the Same Story”(ワインの鉱物感と風味:同じ物語のふたつの要素を組み合わせる)という論文ではミネラル感はワインに硫黄還元分子が存在することに起因していると指摘しています。
硫黄還元分子は涼しい気候地域で育った葡萄や未熟な葡萄の使用、醸造の段階で二酸化硫黄の使用が多い状況でより高濃度で現れるとされています。
この理屈の通りシャブリの中でも日照の少ないスラン川の左岸で収穫された葡萄で造られる白は特にミネラル感を感じさせやすいようです。(確かにそうかも、と思いませんか?)

参考文献は英語でやや難解なのですが、面白いので是非みてみてください!

*参考文献*
Chasing after Minerality, Relationship to Yeast Nutritional Stress and Succinic Acid Production
by Mojmír Baroň and Jaromír Fiala
https://www.researchgate.net/publication/267783125_Chasing_after_Minerality_Relationship_to_Yeast_Nutritional_Stress_and_Succinic_Acid_Production

Wine Minerality and Funkiness: Blending the Two Tales of the Same Story
by Manuel Malfeito-Ferreira
https://www.mdpi.com/2311-5637/8/12/745

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