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それ、本当に必要ですか?

新型コロナウィルスの影響は収まる気配がない。全国各地で感染者で相次ぎ、2月27日には政府から、全国の小・中・高校への休校要請も発表された。小さい子どもを持つ家庭からは「休むことによって収入が減ったらどうしよう」といった声が多く聞かれ、日常生活に支障をきたしかねない事態になりつつある。

そんな中、マスクの品切れ状態が全国各地で相次いでいるが、ここにきて、トイレットペーパー・ティッシュの品切れも起きてしまっている。もともとはSNSの投稿で「コロナで品薄になる品予測を根拠付きでお伝えします。次はティッシュかトイレットペーパーが品薄になる(以下略)」がことの発端だが、もちろんこの情報はデマと判明。

しかし、デマ情報と判っていながらも、ティッシュやトイレットペーパーを買い占める客が後を経たない。これも集団心理が働いているせいか、「みんな買っているから私も!」と思いついて買いに走るのだろう。ある意味、日本人らしい行動と言われればそうだが、はっきり言って今回の買い占め騒動はとても理解に苦しむ。けど、空の陳列棚ばかり写すマスコミの煽り報道が、余計買い占めに拍車をかけているのは間違いない。


デマと判っていても・・・

こういう非常事態だからこそ、『お互い様』という助け合いの精神をもって助け合ってきた日本人。東日本大震災の時も、混乱している状況の中であってもきちんと列をつくって並び、支援物資を受け取る姿が世界各国で称賛された。

ところが、今回のコロナ騒動では、我先にマスクやトイレットペーパ・ティッシュを買い占める人が続出。しまいには、それらをオークションサイトで転売にかける輩も出ている。

本来であれば、家にどれだけ残っているか確認し、0個やあと数個でない限り買いに走ることはないはず。しかし、テレビのインタビューを見ても、家にまだあるけど、不安になって急きょ買いに来たといった発言がちらほら。先にも述べたように、マスコミが空の陳列棚ばかりを映してしまったが故、購入者の不安を助長させてしまい、新たに買う必要のない客まで引き寄せてしまったと推測する。

買い占め騒動の原因をつくったのは、間違った情報と不安を煽る報道をするマスコミ側にあるのは確かだし、そういう意見に同意できる。とはいえ、こうした自己中心的な客の行動によって、社会に余計な混乱を引き起こしていることに気づいているだろうか。こんなことしたってお互い不幸な結果しか残らない。

今年は東京でオリンピックが開催され、世界中から多くの来場者が日本を訪れることは間違いない。オリンピック招致でも話題になった「おもてなし」。日本人の美徳として、世界中に日本の良さを広めるきっかけとなった。だが、今回の騒動を見て、果たしておもてなし文化は日本人には本当にあるのだろうか疑問に感じてしまった。困った人が近くにいても視界に入れず、自分の生活ばかり優先するといった利己心が強いのが、本当の日本人の人間性ではないかと思ってしまった。(※日本人全員が利己心が強いことを言っているわけではないことを補足)ある意味、今回の騒動をきっかけに日本人の本性が露呈された出来事といってもいいくらいだろう。

買い占め騒動の影響で、もともと足らなくなったから買いに来た方々が口を揃えて、「私たちもデマに踊り出された人たちと一緒に扱われても・・・」という声もメディアを通して聞いたが、これにはすごく同調する。まぁ、この光景は子供には見せたくないし、後世に受け継いでほしくない人間性でもあるとつくづく実感する。


まずは冷静になること

徐々にトイレットペーパーやティッシュの品薄状態は解消されつつある。事実、トイレットペーパーやティッシュの生産国の約9割は、日本国内で造られている。仮に中国の工場が製造停止となっても我々の生活に直ちに影響する可能性は限りなく低い。製紙業界も在庫は十分にあることをTwitter上で公開している。

仮に今後似たような事例があっても、

①発信された情報は公的機関or放送局など信用できる情報か

②買い足すほどいま買う必要があるのか

を知り確認するだけで、今回の騒動に便乗する確率は減るはず。買い占めが起きても一度立ち止まり、本当にいま買わないと生活が成り立たないのか考える時間を作れることが、今後の課題かと思う。

しっかりと正しい現状を把握すれば、余計な出費をせずに済むだけではなく、物資が手に入らず困っている方々にも行き渡るようになる。つまり、お互いが良い結果として成立するはず。

まだまだ予断を許さない今回のコロナウィルスだが、それぞれがデマ情報に惑わされず正しい知識を得て、各々が感染しないよう対策を講じ、これ以上国民の日常生活をかき乱すことがないよう努めてほしいものである。もちろん、自戒の念をこめて。




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