見出し画像

さきいかじゃんけん

さきいかじゃんけん。


いま、全国の小学生を熱狂させている伝説の遊戯。


それが、さきいかじゃんけん。

ルールは簡単。 それぞれに与えられる、30本のさきいか。

お互いにじゃんけんし、勝った側は、出した目に応じて、自分の手持ちさきいかを食べて減らしていく。


パーなら、5本。 
チョキなら、2本。 
グーなら、1本。

さきに、持ちさきいかを1本にした方が勝ちとなる。

 ただし、必ず、1本残るようにジャンケンをしなければならない。 

持ちさきいかが2本なのに、チョキやパーで勝ってしまった場合は、負けとなる。 

それが、さきいかじゃんけん。


僕は今日こそ、この学校の王者になる。 
小学6年生。最後のチャンス。


さきいかキングになる。


今日は決勝戦。対戦相手は、因縁のあの娘だ。

これまでの戦績は、49勝49敗。 
今日で、決着をつける!!!


戦いの火蓋が、割いて落とされた。

「最初はグー......」


勝負は最初の勢いが肝心だっ...! 
まずは大きくさきいかを減らしていきたい。 
それはあの娘も同じことを考えてるはずだ。

とすると、考えられるのは2つ。
 パーであいこを狙い、お互いに5本減らしを狙うか。 
あるいは、数よりも勝ちを狙う。 
パーを予測してチョキを出し、確実に2本を取りに行くか。

いや待てよ、あの娘はこれまで、初手はグーを出すことが多かった。あの娘はタイプ的にはスロースターター。序盤は頭が働いていないんだろう、きっと何も考えてない。だから、最初に出す手に釣られ てグーを出す傾向がある。


ええい、あいこでも相殺...!!ここは...!! 

「ジャンケン......!!」


僕は「パー」、あの娘は「グー」。

きた!!いきなり5本! 
幸先は悪くない!! この勢いを活かしていくぞ!!

「最初はグー......」

最初に5本取られ、さすがに動揺が隠せないだろう。あの娘のことだ、次は是が非でも5本取りを阻止してくるはずだ。
すると、グーを出すことは絶対にない。
であれば、パーか、チョキか。

 本来であれば、パーで勝って差を埋めたいだろう。だが、僕がグーを出すことを予測して仕掛けて来れるほど、あの娘は勝負師じゃない。
 あの娘にとってこのタイミングでパーを出すことは、あいことなった時にさきいかの差を縮められないので、ハイリスクローリターンだ。

たとえチョキで勝てたとしても、2本しか取れないが、パーのあいこよりはローリスクだ。 

次に出してくるは、チョキ...!!

「ジャンケン......!!」 

僕は「グー」、あの娘は「パー」


やられた...!!! 
まさか、ここでパーを出すとは...! 
あの娘も、今回は本気ということか......。

長期戦は、避けられないな......。

・・・・・・ 

熾烈を極めた戦いは、終盤に差し掛かってきた。

僕の手持ちさきいかは、6本。
あの娘の手持ちさきいかは、7本。

きた。きたぞ。
これこそ、僕の勝利の法則、6x7(シックスバイセブン)!!!
 勝利の旨みが滲み出てきたぞ。

「最初はグー......」 
次のターン、僕がパーを出したその瞬間、
僕の勝利だ。

そして、あの娘はそれをわかっている。
僕のパーを全力で阻止してくるだろう。
あいこすらも許されない。
グーも、パーもあり得ない。

あの娘は、チョキしか出せない。

だから、僕もあえてチョキを出し、あいこで2本減らす手段に出る。

そうすれば、あの娘のさきいかは残り5本。

・・・そう、あの娘はパーを出せなくなる!!!!

あいこになれば、僕のさきいかは残り4本。

グーとチョキしか出せないあの娘には、
僕はグーを出し続ければ良い。

あいこだろうが勝ちだろうが、
じわじわと僕のさきいかが減っていく。

そうして、僕のさきいかが、1本残る。

「ジャンケン......!!」

さあ、勝利の味を、噛み締めろ!!!!

僕は「チョキ」、

あの娘は「パー」

え?

 パー...????だと......???

 僕の手持ちさきいかは、4本、
あの娘の手持ちさきいかは、7本。 

どういうことだ......?
なにが起きている......??

「最初はグー......」

まさか僕がパーを封じられるなんて...!
グーとチョキしか出せない...! 

あの娘は次はなにを出すつもりだ...!?

いずれにしても僕が出せるのは2つだけ。
チョキとグーなら、どちらを出せば...!?

「ジャンケン......!!」

落ち着け、あくまでもリードしているのは僕なんだ。僕は確実にさきいかを減らしていけばいい。
だとしたら、次に出すべきは、チョキ。

だが、あの娘は、僕がチョキで勝つことを阻止してくるはずだ。であれば、あの娘が次に出すとした ら、パーはない。グーかチョキ。

ここで負けると痛い。
せめてあいこに持っていかないと。
チョキとグーなら、負けることがないのは...!!

僕は「グー」、あの娘は「パー」

僕の手持ちさきいかは、4本。
あの娘の手持ちさきいかは、2本。

やってしまった......!!! 
なぜあの娘がパーを出す可能性を捨てたんだ...!! 
今日のあの娘は勝負師だったとわかっていたのに......!!

そして、これは......。

2×4(ツーバイフォー)の術式...。

お互いのパーを完全に封じるとともに、
自身のさきいかを2本にすることによって、
確実に1本になるよう仕留める術式...。

「最初はグー......」 あの娘はもう、グーしか出すことができない。
しかし、僕もまた、出すことができるのは、グーとチョキだけ。

チョキを出しても負けるだけ。
パーを出してもオーバー負け。
グーを出すしかない。

あいこにより、お互いに1本減る。

あの娘のさきいかが、1本残る。

「ジャンケン......」

小学校最後のさきいかじゃんけん。

最後まで、勝利の味は噛み締めることができなかったなあ......。

 僕は「グー」、あの娘は


「チョキ」


???

なんだ、出し間違えたのか??


僕の手持ちさきいかは、3本。
あの娘の手持ちさきいかは、2本。

「最初はグー......」

いや、いずれにしても、2本対3本。
次で決着がつく...。

「ジャンケン......」
僕は「グー」、あの娘は「チョキ」

なんだ!?!?!?

あの娘はなにを考えている!?!?!?

僕の手持ちさきいかは、2本。

あの娘の手持ちさきいかは、2本。

「最初はグー......」 なんだ?僕がなにか間違えているのか...??

いや、違う、間違っていない。 
次も同じ、グーを出すしかない...。

もう、考える必要もない...。

「ジャンケン......」

僕は「グー」、あの娘は「グー」

僕の手持ちさきいかは、1本。 

あの娘の手持ちさきいかは、1本。

こ、これは............!!!! 

サドンデス.........!!!!! 

サドンデスになった場合は............。


『最後の勝負は、ジャンケンで決めましょ?』


 普通のじゃんけんで勝敗が決する...!!!!!!

「最初はグー......」

なんだこれは!?どうすれば良い!?
グー、チョキ、パー、出し手が3つもあるじゃないか!!! 

さきいかは、もうない...!
あの娘の出し手が読めない......!!!! 

「ジャンケン......!!」

だめだ、考える時間がない......!!!!


あの娘は「パー」

僕は「グー」


やってしまった。 最大のチャンスを、掴めなかった。


『ねえ知ってる?』 

『頭が働いてない人って、前に出した手に釣られやすいんだって!』

 僕の心は、見事に割かれた。

まさか、最後の最後に、当てが外れてしまうなんて......。 

あぁ、そして、僕の顎も、外れそうだ。

********************************

ここまで読んでくれてありがとうございます!!

コメント欄に「グー」「チョキ」「パー」を書いてからスキを押すと、ジャンケンが出来ます🎵

アナタはさきいかキングになれるのか!?

もし面白いと思っていただけたらぜひフォローのほどよろしくお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?