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風俗嬢がストーカー被害で家を失った話

風俗からの引退を決意した頃、ストーカー被害により住む家を失った。
もともとストーカーがつきやすく、よく狙われてよく後をつけられていた。
キャバクラで仕事をした帰りに乗ったタクシーの後を車がつけてくるだとか、郵便受けに差出人のわからない手紙や花が入っているだとか、そんなことがよくあった。知らない男にスーパーで目が合うなり「みーつけた」と突然言われ逃げたこともある。日常的によくあったのと、職業柄そんなものかと思っていたのと、若かったからか、気持ち悪い、気味が悪いとは思ってもそれほど気に病まずに済んでいた。
年を取ればそういった悩みはなくなると思っていたけれど、40代になってからの被害は今までにも増してひどいものだった。

デリバリーの風俗店で働いていたある日、いつも通りにネットからの写真指名でホテルの部屋を訪ねた。
部屋に入るや否や抱きしめられ「悲しそうな目をしてる」「よく生きてきたね」「俺だけは君を理解する」「もう一人で頑張らなくていい」などと口説かれた。
ここまではよくある話なのでありがたいふりをして話を一生懸命聞くふりをしていた。

おとなしく聞いていると「俺たちは付き合うことになっている」「きみは絶対に俺を好きになる、保証する」「俺たちは結婚することになっているから」と内容がエスカレートしていく。

首を縦に振らず困った顔をすると、風俗利用客によくある学歴や職歴のマウントが始まる。風俗嬢は低学歴で育ちも悪く頭が悪いと決めつけ、故に風俗嬢は高学歴を好きになる、高収入の男に目がないという謎の方程式が世の常識だと勘違いしている男性がいる。そのためよくこういったマウントをされていたので慣れていた。わたしはまた始まったと思いつつ「すごいですね」と相槌を打つ。様子もおかしいし面倒そうなので早く帰りたいと思い始めていた。

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