彼って何？彼女って何？かな。
付き合ってたら、彼で彼女でう～～～ん。わかんないね。

初めは、ワンナイト。だったはず。

「また会う？会いたくなった？」
「うん。」
でも、次の約束はしないまま。

町がジャズでいっぱいになる日。
「ねえ、ジャズ聞きに行こうよ！」
「仕事だから、遅くなるよ。７時くらい。」
「い～よ。」
「雨降ってきたよ。大丈夫？」
「大丈夫！雨降らん！」
「じゃあ、後で。」

待ち合わせ場所にやってきた彼。
「わかりにくい。あのさ、この、人がいない、わかりやすいところに移動しようって思わないわけ？」
「あっ。ごめん。」
ジャズに夢中の私は、一人でうきうき踊っていた。またやっちゃった。
考えてなかったなあ。彼のこと。だって、場所の写真もたくさん送ったし、公園の近くって言ったし。わかると思ったんだけどなあ。

彼のメッセージは的確。
「〇〇銀行」「住所　〇〇市〇〇町６６－３番地ってこと？」

はい、そうです、その通り。なんと、説明は、２行で終わってしまった。

二人で歩き出した。ちぇっ。この人手つながない～。

でも、ふいっと振り返って、笑った。
あれっ？・・・・笑った。あれっ？

「ねえ、この前どうだった？」
「なんで聞くと？」
「いやあ・・・なんか聞きたくて。」
「バリよかった。」
へえ～～～～～。私は、心の中でつぶやいた。

もうとっぷり、日は暮れて、赤や青や黄色のいろんなネオンでいっぱい。
ＮＹよかったって、旅から帰ってきた彼は言ったけど、この町も十分きれいだよ。負けてないよ。

ふいっと彼が言った。
「ちょっと、こっち来て。」
「うん。」
「こっち向いてよ。」
・・・・・・・・ちゅっ。

え～～～～～～～～～～～？

「ねえ、今日楽しかった？」
「うん。あなたの素敵な笑顔が見れたから。」

ひゃあ～～～。そんなこと言うわけ？

初めは、ワンナイト。

でも、少しずつ彼が変わってくる。

まあ、彼女じゃなくても、彼じゃなくてもいいやあ。

ワンナイトから始まる恋もあるのかも？