達成感を味わったら

20代の頃、海外に住むという夢があった。
ハングル文字との出会いから、外国に興味を持ち、韓国に行くんだと強い意志を持って努力した。※注意：1990年代後半の話だと思って読んでください。

2001年、長年の努力の結果、３ヶ月の生活を実現させた。この夢の達成の前、もし韓国に住むことができたら・・・その次にやろうと思うことがたくさんあった。

だけど、実際、韓国に住んでみて、当初想像してたことと現実に体験したことがやんわりと交わって、想像してたことがどんどん変化して、最後には、あれっ？私が次にしたかったことって何だっけ？となった。

韓国の人と交流し、実際に生活してみたら、韓国(未知なもの)について知りたいという欲望が薄れてしまい、心が満たされてしまった。そしてすっかり貪欲な自分がいなくなり、頑張ろうというモチベーションが維持されず、だら〜っとなった。

それは本来自分が望んだ姿ではなく、すでに目標を達成したのにも関わらず、自分を責め、こんなはずじゃなかった、こんなダラけた自分は嫌だと一気に気持ちが下がる。満たされる時間が短いのが原因かはわからないが、余韻に浸ることも出来ずに、次の目標を探す。

次に目標としたのは、韓国以外の国に行くこと。
2003年に行った国。
アメリカ🇺🇸ニューヨーク🗽バーリントン
イギリス🇬🇧ロンドン
フランス🇫🇷パリ
イタリア🇮🇹ローマ、フィレンツェ、アテネ
スイス🇨🇭ジュネーブ、ルツェルン
中国🇨🇳北京(中国人の友人の結婚式に出席)
韓国🇰🇷ソウル、束草

ニューヨーク国連本部とジュネーブ国連事務局を見学したら、国連の職員になってみたいという気になった。学歴は大学院修士が条件。迷わず大学院に行ってみた。次の目標になっていた。

・・・が、2005年1月、職場の掲示板に「シドニー派遣」の案内が。
迷った。大学院に１年通ってみて（とは言っても通信だから、仕事しながらで大変だったんだけれども）、自分の能力に陰りが見えてきていた。自信が落ちている時であった。本当に国連職員になれるのか。正当な挑戦を続けるか、目の前のにんじんに飛びつくか。海外経験２年という“ハク”がついている方が有利ではないか。

ということで方向転換。あっという間に進路を変更した。
結局、社内での競争に挑み、シドニーへの切符を勝ち取った。シドニーは私に優しかった。満たされた。めっちゃ楽しかった。
達成感を味わった。そしたら欲がなくなってしまった。もうこれ以上望むことはない。

あれっ？シドニーに行く前に私が考えていたことは？望んでいたことは？なんか違う。見ている世界が変わってしまった。

この間に夫とも出会い、（絶対にしない、できないと思っていた）結婚まで達成してしまった。

そうこうしている間に年月が経ち、年を取り、ガツガツ欲望をむき出しにする姿を品がないように思い、ギラギラした雰囲気を出すのも恥ずかしくなり、だんだん何かを達成しようと思う気持ちが薄れてしまった。

安定した職に就き、何も困ることがない。悩むこともほとんどない。ストレスを受けることもなくなった。他人から見たら充実しているのかもしれない、何が不満なんだと思われるかもしれない。

2013年9月、東京オリンピックが決定した。稲妻が走った。よしっ、絶対に参加する！そう思い、7年計画を立てて、ボランティアになろうと決めた。
これまでの自分の人生を振り返れば、何でも思うように生きてきた。今回もきっと上手くいく。新しい目標ができた！そう思っていた。
英語頑張ろう、通訳案内士の資格をとってみようか。（あまり興味がないけど頑張って）スポーツの勉強してみよう、オリンピックの歴史も学んでみよう。手話頑張ろう、パラリンピックも勉強しなきゃ！
結果・・・これは達成できなかった。
理由は、コロナのせいにしている。でも本当は違う。7年間の計画が思うとおりにいかなかったからだ。
その理由を仕事のせいにしている。家族のせいにしている。ただ頑張らなかっただけなのに。
頑張らなかった理由を「達成感を味わった人生」のせいにしている。

そう、最近の私はなんでも言い訳をしている。何かのせいにして、頑張っていない。
何度も目標を設定し、ある程度のところまで行くと達成感をもってしまい、全然達成していないのに、満足して終わってしまう。これまで何を得ただろうか。そう思い、また新たな目標を設定したのにも関わらず、頑張る元気がなくなっている。だらだらしてんなぁ～

もしかしたら７年間の計画倒れとオリンピックボランティア未達成が私を「やる気なしの沼」にどんどん引きずりおろそうとしているのかもしれない。早く次の目標を見つけなくてはならない！と思い、今は転職のことを考えている。

頑張れ、私！