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マネージメントの前に『感情は、すぐに脳をジャックする』を知る

本屋さんを眺めていると、怒りや悲しみのようなマイナス感情のマネージメントみたいに、感情に対する対処本というのは常に平積みにされがち。それだけ、感情の動きに良くも悪くも人は影響されながら毎日過ごしているってことよね。

この本はnoteのある記事で紹介されていて、その感想のみならず、キャッチーなタイトルが気になって読んでみました。

『感情は、すぐに脳をジャックする』- 著者:佐渡島庸平さん、石川善樹さん
画:羽賀翔一さん

脳をジャックですって!ジャッジですらない、ジャック。Hi, Jack!What's up?とかじゃなくて、ハイジャックのジャック!(ちなみにハイジャックは本当にhijackと書くらしい…!知らなかった。ごめんなさい全国のJackさん。)
…と、ジャックでゲシュタルト崩壊を起こしている場合ではなく。

つまりこのタイトル、「感情は、すぐに脳を乗っ取る」と言っているわけです。

いやいや私は常に冷静沈着ですし、どんな時にも適切かつ主観的客観的にも最上の判断ができている人間なので、そんなこと皆無ですが何か?という人は、この記事間違いなく不要ですので、どうぞ好きな映画でも観てくださいね。(あ、ディズニーも何かまた新しいの出てますね!)

私の場合は、それとは真逆なタイプなので、もう身に覚えがありあり。痛いほどありあり。嫌なことがあればついそこにフォーカスしてモヤモヤイライラしがちだし、良いことがあればもう人生最高!みたいにすぐ舞い上がっちゃう。これ、完全にその時々の感情に乗っ取られてるよなぁ。(ねえ、私の脳ジャックなんてチョロいもんでしょ?感情さん。)


今のその感情、本当にそれ?

さて感情にはどんなものがあるかなと考えると、私の場合すぐ思い浮かぶのが「喜怒哀楽」の四字熟語。でも、人の感情がそんなシンプルな4パターンで説明できるわけがないよな、と思うわけです。

この本は、「今感じているその感情とは?」と、大の大人が3人も集まって本気で感情そのものについて延々と考えています。なぜかというと、感情をマネージメントしたりコントロールしたりする以前に、そもそも自分の感情をちゃんと認知できているか?が問題だからです。確かに、大前提が間違っていたら、マネージメントも何もあったもんじゃないよね。

例えばアンガーマネージメントというものがあるけれど、今ある感情が本当に怒りなのか?怒りだけなのか?自分にとって怒りとは何なのか?そういったことがわかっていないと、マネージメントのノウハウだけ知っても活かせないよね、と。

本文にもある通り、感情に対処する方法と、自分にとってのその感情を理解することは、別のことなんですね。

感情の解像度を上げる

すぐに脳ジャックを試みる厄介な感情を相手にするには、まずは相手を知ることが大切。すなわち、感情にはそもそもどんなものがあるのか。さらには、何かの感情がある時というのは、一つだけとは限らず、相反する感情だったり、関連する感情だったりを、同時に感じることもあるのか。そういった複雑性も理解すること。

そういえば、虹の色は、国や地域によって何色かけっこう違うそうですね。日本では7色。アメリカやイギリスでは6色。台湾の一部の民族では3色らしい。これは、虹の出現の仕方が場所によって違うから、ではなく、それぞれで色の分類の概念が違うからなんだそうです。

つまり、多種多様に思える感情についても、その感情に付いている名前の多さや分類の細かさによって、「今、自分はこんな気持ちだ!」の表現の粗さ細かさ、自分で認識できる感情の解像度も、千差万別になるわけです。そう考えるとどうやら、感情って思っていた以上に捉えどころがなさそう…!どうしよう?

感情の図解・分類もある!?

そんな感情を、その微妙なグラデーションも混合されるものも含めて図解されたものも紹介されています。学者さんてすごいですね。「プルチックの感情の輪」というらしい。ちょっとググってみても出てきました。
こんなのとか

こんなのとか

↑本を読んだからこれらのサイトはちゃんと読んでないけど(失礼)

あまのじゃくな私は、こんな専門家の努力の結晶のようなものを見ても、いや、感情というのは完全に100%図解することはできないんじゃないか、と思う気持ちも残るけれど(この感情は何なんでしょうね)。

でも、感情を客観的に分析し図解説明できるようにする試みというのは、捉えどころのない感情を、感情的でなく(!)論理的に分析して名前をつけて対応するためには、すごく有用なことだと思います。

「この気持ち、一体何なんだろう」そんな時に、一つ一つに名前が付いて言語化されるだけでも、安心したり、気持ちがスッと落ち着いたりすることはありますよね。

日常生活では便利だからついやりがちだけどね。
これおいしい?→うん、やばい。
あれ楽しい?→うん、やばい。
あの上司どう?→ああ、やばい。
宿題やったっけ?→あ、やばい。

例えの「やばい」が万能すぎてやばい…が…感情の解像度、マイクラの立方体より粗いぞ…笑。やば。

感情について本気出して考えてみた

懐かしいね!伝わる人には伝わるかな!わからない人はこちらをどうぞ。

はい、閑話休題、戻ります戻ります。
この本では他にも、共著者のお二人と挿絵担当の漫画家さんが、ネガティブ感情もポジティブ感情も色々と各論的に解像度を高めるべく行われた議論もかなりのページを割いて紹介されています。共感できるところも、へえ、私はそうは思わないけどそんな見方もあるんだ、と思えるところもありました。やっぱり対話って重要だなぁ。

実は今読んでいる全然別のジャンルの本でも、感情をないがしろにせずに向き合うことの大切さが思いもよらぬマクロ視点から出てきて、それはまた紹介できたらな、とゆるく構想しているところです。

マネージメント以前に、思考の解像度を上げる。
なんか知的な感じがしてカッコいい一文だな。今度友達にドヤってみようかな!?(←せっかく得た知識の誤用はこちらです)

しかし、世界で一番感情表現が多彩な小説家って誰なんだろう。もしも、心情描写に長けた小説家が私の頭の中を覗いて、「あ、今のあなたの感情は、これとこれと思いきや、あれとこれが3割ぐらいある中でそれが増えてきていますね」なんて教えてくれたら、スッキリして嬉しいのかな?それとも、所在なくなってうろたえるのかな…?

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