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そうだ、『阪急電車』に乗ろう

インプットもアウトプットもなかなかままならない今日この頃ですが、本はちまちまと読んでいます。色んな方のnote記事もなかなかチェックできていませんが、そちらも時差ありで読もうとしています。

さてこちらも以前、noteでレビューを拝見して気になっていた本。

『阪急電車』- 著者:有川浩さん

阪急電車。阪急ってあの阪急です。ネイティブ大阪人の知り合いによると、大阪の中でもこの路線は電車も可愛くておしゃれで、乗客もなんかキチンとしてるちょっとええとこの感じの人が多いイメージとのこと。本作中でも、同じような説明がありました。

今回の記事を書くにあたって初めて阪急電車そのものを検索してみたけれど、なるほど車体もあまり見かけないエンジ色で、落ち着いたレトロ感の漂う雰囲気、おしゃれで可愛らしさもある。その割に全国的に超有名なあの宝塚駅も結んでいるし、これは予備知識なしでも乗ってみたい気がする。


斬新な目次

これ、良かった!まず目次が最高。レビューを見ていたので心の準備は出来ていたとはいえ、なるほどそうきたか!という目次。これまで読んだ本の中でも、これは私としては超斬新でした。何せ一章一章が阪急今津線という路線の駅名で、宝塚駅から西宮北口駅まで。そして、折り返し。同じようにまた一章一章で駅を遡り、また宝塚駅へ。何とも簡潔。でも斬新でおしゃれ。

しかし、こんな駅名だけの章題で、どうやって物語として進んでいくのか…?と、ちょっとワクワクしながら読み進めました。

なるほどこの感じ!

ここのところ、たまたま似たような構成の本を複数読んだことがありました。
ええと、これとか。

これとか。

はい、このリンク貼っただけでも伝わる人には伝わるかも知れません。
そう。一章毎にフォーカスする一人称の主人公主体が変遷していき、次の章次の章で少しずつまた他の登場人物たちと重なったり、袖振り合ったり。誰かの何かが、ほかの誰かの何かに繋がっていく、あの感じを見事に構成するタイプの本でした。

この形式の小説、どれも面白かったです。けど、私には今のところ今回の『阪急電車』がいちばん合っている感じがしました。電車という、あまりにも日常的な、あまりにもコンパクトな、独特な閉鎖空間。そのくせ、大勢の人が出入りする自由さ、一堂に会していても互いの頭の中は分からない深淵をも伴う不思議空間。

その舞台とする物理的心理的コンパクトさと、駅を降りることによって生じる空間の広がり・人とのやり取りが生じた時の化学反応の未知さとが、うまい具合にこの行って帰って繋がって、という構成にぴったりだと感じたからです。

なんか、元気が出る。そして、乗り鉄したくなる

上で紹介した辻堂ゆめさん、青山美智子さんの本もそうでしたが、今回の有川浩さんの本も、読後感はほっこりじんわり。最近疲れてません?はーい!!っていう人にはぜひおすすめな内容でした、『阪急電車』。

そして最後まで読んでまたびっくり。作者、男性作家さんだと思っていたんです。
有川浩さん。アリカワは読める。で、ヒロシさん、かと。でも作者紹介のところでローマ字を見たら、ヒロさん。それでも男性だと思い込んでました。

…女性でした!!ヒロさん。ごめんなさい全国のヒロ(女性)さん。そうか、『空飛ぶ広報室』って前ドラマでやってたのも、原作はこの方だったのですね。無知ですみません。うう。覚えましたから!もう忘れないから!誰にでも初めてはあるから!

この作者の有川さん、本作の舞台である阪急電車今津線の沿線にお住まいとのこと。道理でお詳しいわけで…!電車の車体や内装のみならず、いくつかの駅は降りた様子や街の様子まで丁寧に描写してあって。それがまたほっこりするのです。

私は鉄道に関しては、某鉄道会社に就職した友人から、手がけた仕事の話や新しいキャンペーンの話なんかをきいたり写真が送られてきたりぐらいで、鉄分少なめな人生を送ってきましたが、これを読むと何だか乗り鉄の方々の気持ちが少しわかる気がしました。

この小説を片手に、一つ一つの駅を見て、駅の外も気ままに散歩して、と順番に周ってみたら、きっと楽しいだろうなあ。

おまけ

甲東園駅と小林駅の間にある、仁川駅。私どうしても、「仁川」は「インチョン」と読んでしまう…!!韓国ソウルの空港がある地名です。いやでも阪急インチョン駅じゃないよな??フタガワ??うん、きっとフタガワ!と思ってこのnote書きながらググったら…

にがわ駅

…マジか!!

じゃあ、じゃあ、まさか、甲東園駅は…

こうとうえん駅

ほっ。
まあ、念のためだけどさ。小林駅は流石にコバヤシでしょ。まあ一応ググってみるか。ふふ。私も物好きだなあ。って…

おばやし駅

おっ…。
お…ばや…し…(撃沈)。
地名って難しいですね…笑。


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