山下達郎コメントを仏教的に読み解いてみる
シンガー・ソングライターの山下達郎氏が、自身でパーソナリティーを務めるラジオ番組『山下達郎サンデー・ソングブック』で、ジャニーズ事務所の創業者である故ジャニー喜多川氏の性加害問題について言及した。以下、部分を書き起こしする。
全文はネット上で散見できるし、このコメントに対しての分析も多数見受けられる。音源は公式にアーカイヴされている。当該部分は27:00辺りから。
「善因善果 悪因悪果」という言葉が仏教にある。読んで字の如く「良い行いからは良い結果が起こり、悪い行いからは、悪い結果が起こる」という意味で、つまり自らの行いの結果は、自分に返ってくる(自因自果)と説く。
それはそうだ。誰にとってもそうだろう。
ここで仏教の基本は「固定的なものはない」という態度だ。「善因善果 悪因悪果」といえど、善はいつまでも善ではなく、悪もいつまでも悪ではない。状況に応じて変わっていく。
山下達郎氏にとってジャニー喜多川氏が、初めのうちは善因だったとしても、それが悪因になりつつある兆候があったならば、それを善のほうに導いてやるのが善知識としての役割だったろう。複雑に絡み合った因果だったとしても。そうしていかなければ世界はよくならないではないか。
筆者にとっても確かに大切なことは”ご縁”と”ご恩”だ。悪に染まる友人には声をかけたいし、私が悪に染まったならば、それを軌道修正してくれる友がいると良いなと願う。
Text by 中島光信(僧侶)
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