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三秋縋 煙の街を読んで

げんふうけい名義で上がっている小説の中で一番好きなのがこのお話。喫煙者のお兄さんが異世界にとばされて、一人寂しく暮らしていたところに現れた女の子と一年だけ暮らして結局女の子が消えちゃって終わるのだけれど。

このお話に出てくるお兄さんの口調や話し方に衝撃を受けた。中二でした一目惚れと同じような感じだったけれどそれよりも強かった気がする。大切な人がいたらきっとこんな話し方をして、こんな態度をとるのだろう。偏屈で頑固で愛おしい。

煙の街はストーリーの展開が少ない。どちらかというと文章の美しさを味わうような作品だと思う。三秋縋の作品に比べて異世界要素が強くて最初は違和感がある。でもひねくれ方は変わらないのでやっぱり好きだなぁってなる。

鼻つまみ者に対する鼻ひらき者って表現や、遊びのキスに対する口答えのキャッチボール、一緒にお酒を飲んだりして小さな罪を一緒に犯して笑い合う。世界の隅っこにある充実感を求めている人からするととても幸せな物語なのだろうと思う。

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