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『桜の花びらが散る前に…』



兵庫県・中播磨地方でも、つい先日まで満開だった『桜』が
いっせいに、模様替えを始める頃となりました。


民家の庭先や、公共施設などの片隅に、ひとつだけ植えられている“1本桜”。
皆様も どこかで こんな桜をご覧になった箏がありますね。ひときわ目立つので、たとえ住宅密集地のド真ん中に咲いていても発見するのは容易です。



それぞれに名前があるのかどうかは わかりません。 苗木が成木に育つまで  5年から10年かかると言われ、成長してからも本当の家族のように、人から人へ大切にされてきた歴史や、日常の光景が目に浮かぶようです。



1本のみの桜でも人間よりずっと大きく、 近くから見上げるだけで華やかな気分を醸 (かも) し出してくれるのだから、さすがに桜はすごい。


それが数百・数千・数万本ともなると…、まったく信じられない ”桃源郷” ならぬ “桜源郷” の世界がこの世に出現――。奈良県の吉野山は、谷から山全体に総勢3万本もの シロヤマザクラ等で埋め尽くされます。


奈良県吉野山の一目千本桜



山梨県北杜市には『神代桜』と呼ばれる樹齢2000年 (高さ103m) の世界最古級の桜。福島県三春町では『三春滝桜』と呼ばれる高さ120m (樹齢1000年以上) を誇る巨大桜。あまりの壮大さに、どれほど大勢の観光客が釘付けにされたことでしょうか。


福島県三春町の三春滝桜


今日4/12日からは いよいよ青森県弘前市の弘前公園で、日本一と評される “桜まつり” が開幕 (5/5まで) です。私には8月の “ねぷた祭り”  見たさに、弘前市を訪れた貴重な思い出があるものの、いつか機会があれば、 桜まつりにも、馳せ参じないわけにはいきませぬ。


弘前公園の桜まつり


≪桜前線≫は、1月に沖縄を出発してから北海道各地にたどり着くまで3カ月以上かかります。ふるさと日本を旅するなら、できるだけ沢山の『桜』と、お目にかかりたいものですね。


ところでイラストレーター&絵本作家の永田萌先生の生まれ故郷である兵庫県加西市は、私が現在 暮らしている市川町の隣町。この町に、ギネス公認の世界最大地球儀時計で有名な『丸山総合公園』(入園無料&駐車場無料) があります。


当公園内には、2本のローラー滑り台 (Aコース197m/Bコース155m) が張り巡らされていて地上110mの高さから、800本の “桜の大海原” を遊覧するかのごとく滑り降りることが出来ます。滑り台専用のマットからお尻に伝わって来る振動こそは、桜シーズンならではのハッピーな臨場感。


加西市丸山総合公園のローラー滑り台


さらに加西市と言えば ≪気球≫ の “聖地” 。11月から5月中頃までが飛行シーズンで、全国から多くの気球チームが集います。土・日の朝7時から9時頃までの間に、色とりどりの気球が加西市の上空を空中散歩。しばらく見上げているうちに、気が付いたらまるで自分が気球に乗っているかのような錯覚に陥ります。夢見心地の気分が伝わって、魔訶不思議な連鎖反応を起こすのかも?


お花見シーズンの佳境ともなれば、『さくらフライト』と呼ばれる、一般の方々の搭乗体験が催されます。係留した気球 (一組5人まで) に乗り込み、上空20mの高さからお花見を満喫できるのです。所要時間が5分程度ながら、日本中のどこでも、めったに体験できるものではありません。


気球の飛ぶ町・加西


お花見はお花見でも、こんなにも Wonderful な お花見の方法があることを皆様はご存知でしたか? “1本桜” のシンプルなお花見から、“ローラー滑り台” や、“気球” からのお花見に至るまで、日本の国花である桜は、春になると沢山の花を咲かせて、数多くの人々の心を魅了します。


どれだけ眺めても眺めても、飽きることの無い桜。その理由を、こんなふうに考えてみてください。花びらの1枚1枚に、世界中の物語が隠されているのだと…。たとえばグリム童話は全部で161編、イソップ物語は725話、アンデルセン物語なら約1500―。桜の花(ひとつの花に5枚の花びら)は、それらよりもはるかに多い。



パソコンの中のAIに質問すると、桜の木1本には59万3345枚の花びらが咲くのだと教えてくれました。日本全国には推定で6600万本の桜が存在するらしく、それを掛け算すると、この世のありとあらゆる物語が、日本の至る所に溢 (あふ) れかえっていることになります。


私たちが眠りに落ちているあいだ、あれやこれやと見せてくださった夢の数々は、おそらく一番近くにある桜の木の花たちからの プレゼントだったのでしょう。


もしかしたら皆様も、訪れたことのない高級レストランや、そよ風のハミングが聴こえる高原や、カモメの飛び交う穏やかな港町や、数年後に巡り会う運命の人の夢などなど…、魅力的な素晴らしい夢のプレゼントだったに違いありません。


皆様の場合、いちばん近くの桜は、どれですか?
その桜はいつから その場所に立っていたのでしょうか?
今よりもずっと小さかった頃から、キミのことなら何んでも知っていて
いつも見守ってくれていたのだと思います。



ですから…、ありったけの優しい心で、桜の木や花に
話しかけてみてください。
すべての花びらが散らないうちに、思う存分、話しかけてみましょう。



花びらが散ったあと(本当は散るのではなく旅立って行く…)の桜は、『葉桜』(はざくら) に変わります。桜の木も人間と同じように毎日、成長するけれど、散ってしまった(=旅立った)無数の花びらたちは、きっと皆様の優しい心の中に生きています。大切に思ってくれた皆様のことを、絶対に忘れていません。


『生まれ変わって、また戻って来るよ!』
『来年の春、また会おう!』
『楽しみに待っててね!』
『さようなら…』


と、桜の花びらたちは
さよならの言葉を残して、そして再会を約束して
ひとつ残らず、遠くの空へ旅立って行くのですね。

令和6年4月12日、建礼門 葵




※【関 連 記 事】

🔶♣ ゆめききゅう ♣|建礼門 葵 (note.com)


🔶{可憐な花}-この春に巣立つ君達へー|建礼門 葵 (note.com)


🔶【あたたかい冬から春へ】|建礼門 葵 (note.com)



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