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eスポーツ(esports)はなぜ流行らないのか?(2)

前回の記事から3年経ちました。


改めて現時点では大きく流行る気配もなく、有名なタイトルも次々に移り変わり衰退の一途を辿っていますがそれは何故でしょうか?
今日はこれについて考えてみたいと思います。




有名なeスポーツのタイトル

世の中にeスポーツという言葉が本格的に認知され始めてから10年前後経ちます。
競技性が高く代表的な扱いをされるタイトルはLOL(League of Legends)ですが、やはり世界的に賞金が高額に設定されており世界中で広く扱われているのでプレイヤー人口が多いという点が言えます。

しかし、日本での認知はいまいちマイナーなまま推移しております。
これは何故でしょうか?

初心者に優しくない

ゲームとして最初から上手い人、理解をしている人ばかりではありません。
しかしソロでゲームを初めてLOLをする際に5vs5でマッチングされるわけですが、勝ち負けでレートやランクが変動するためプレイ内容や勝負の結果に対して敏感な人が多くなりがちです。

しかも、1試合平均30分ほどかかり下手な人と負けると分かっている試合を続けるのは精神的にも苦痛や、時間の無駄という意見があることもごもっともです。

問題なことはチャットが可能なので暴言を吐いたり、指示や合図を出すためのピンで下手な人や失敗した人を煽る人が一定数いることで、これにより興味本位でeスポーツとして有名なLOLで遊んでみようと気軽に始めたライトユーザーやエンジョイ層が、その民度の低さに辟易してすぐに辞めるという話がネット上では昔から話題になっています。

これが流行らない理由の大きな要因の1つであることが誰が見ても明らかです。


サッカーや野球などで例えると

河原で野良でサッカーや野球が好きな人が集まっている場所があるときに、即席のチーム戦で遊ぶとしたら不慣れな人に対して自分の水準と同じ品質を求める人ばかりが集まる場所であれば初心者は近寄りません。
ドラえもんの世界のジャイアンばかりいる場所で遊びたいとはだれも思いません。

それは競技性のあるものに多人数が時間を費やすので批判的な意見も致し方ない面もあります。
しかし、根本的な意識の課題としての面があります。
初心者に優しい人が少ないのであれば、興味を持つ人が居ても優しく教えて一緒に遊ぼうと声をかけるわけではなく、真逆に下手な人を排除したり突き放したりする人ばかりではプレイヤー人口が増えるわけがありません。

つまりeスポーツとして成立させるためには「スポーツマンシップ的な意識の有無」の欠落が課題となります。
しかし、皆が皆プロを目指しているわけではありません。
そもそもゲームですから自分が楽しむためだけに遊んでいて初心者と遊ぶことが嫌いだというお方も当然ながらいらっしゃるわけで、それは悪いことでもないですし避けようがありません。

この根本的な雰囲気や空気やひいては価値観を大きく変えない限りはeスポーツとして成立しませんし、今後も流行ることは無いでしょう。


ソロのみのタイトルには活路がある

上記のような問題は野良なのにチーム戦で結果が出るという点に問題があります。
まったく知らない人とマッチングしてすぐに息を合わせた連携をしないと負けますとという点を加味しますと「それは競技性なのか?」という疑問を抱く人も一定数居るわけですし、それが原因で興味を無くす人や暴言を言われたり嫌な立ち振る舞いの指示や指摘を厳しくされることでゲームを辞める人が当然ながら居るわけです。

ですから最近ですとストリートファイター6のようなタイトルは比較的eスポーツとして成り立ちやすい図式ではありますので、eスポーツとしても多少話題になっています。

今後はストリートファイター6のようなソロ対ソロのタイトルであれば競技性の担保があり公平性も客観性もあることから、今後はeスポーツとしては引き続きメジャー気味に扱われることになります。
この場合の問題は賞金やスポンサーやプロのマネジメントなどの問題点のみになりますのでeスポーツという目線のタイトルとしてはまだ活路があります。


日本国内の利権が邪魔している

一方、課題としては日本国内の古い体質や悪しき習慣が発展を阻害している面も多々見受けられます。

・賞金に関する法的な問題
・管理団体の問題
・課金ソシャゲをeスポーツにしようとする問題
・利権組織のイニシアティブ戦争
・プロチームの利権問題や経営課題の問題

などなど、このあたりの非常にセンシティブな領域の課題については私のような立場の者が物申すには不適切ですので、もっと発言力や権力のあるお方がいつか切り込んでいくことを期待して今ここでは細部には触れないこととします。

結論的には

今後eスポーツをより発展的に、より建設的にしていくためにはどうしたらいいのか?という目線で考えた際には、前提として大枠の指針が必要です。

日本スポーツマンシップ協会のようなところがeスポーツに対しても明確にあるべき考え方や姿を定義し始めるか、
または日本eスポーツマンシップ協会のような新たな組織を現代の時勢に即した形で、あるべき考え方や姿を具現化していくような、
eスポーツというものに対して新しい概念で客観性や公平性などを踏まえた大きな組織の大きな枠組みの働きかけが必須になると考えます。

スポーツマンシップと併せてeスポーツの発展に無くてはならない概念はフェア精神です。
フェアプレーが 「公平性」 を表現しているのに対して、スポーツマン シップは「スポーツに参加する行為の姿勢」 を表現しています
。 特にeスポーツの発展に重要な要素は「公平性」 だけではなく、 「競技相手に対する敬意」 や 「競技における勝敗に関わらず毅然とし た態度」も含まれているわけです。
大会で負けたからコントローラーを投げたり、キーボードを壊したり、液晶モニターを割ったりする人はスポーツマンシップがないということでプロの世界からは外すのが当たり前という風土や習慣が必須になります。

eスポーツという表現でオリンピックの種目になることを目指すような動きをしていくのならば上記スポーツマンシップを基にフェアプレーをしていくという当たり前の概念を大きな枠組みで大きな組織や権力を持った方々が継続的に地道に浸透させていくしかないでしょう。

既存のスポーツマンシップの柱となる3つの要素は「尊重」「勇気」「覚悟」だそうです。

さらにスポーツマンに求められる3つの気持ちは

1,尊重プレーヤー(相手、仲間)、ルール、審判に対する尊重
2,勇気リスクを恐れず、自ら責任を持って決断・行動・挑戦する勇気
3,覚悟勝利をめざし、自ら全力を尽くして最後まで愉しむ覚悟

だそうです。

気軽にゲームで遊びたい人に上記を求めるのは無理があります。
ではどうすれば良いのでしょうか?


ランクマッチ自体もプロとアマを分けるなどの解決策を

様々なタイトルではランク戦という概念でレートを競ったりします。
ここにプロを目指す人やエンジョイ勢が混じっているから問題や課題が発生します。
ゲーム運営側やタイトル開発側でもこのランクマッチ自体をプロとアマに分けて、それぞれにスポーツマンシップのポリシーを制定して外れた言動をしている人にはペナルティを課すような仕組みであれば初心者にも受け入れやすく、eスポーツとしての競技性も担保出来てプレイヤー人口が増加しやすくなります。

今後eスポーツ前提で進めるタイトルなどはそのような根本的な課題として、

1,プレイヤー人口の増加に向けた施策、
2,eスポーツとして相応しい枠組みや仕組み、
3,スポーツマンシップの概念の浸透化、

などの普及や啓蒙活動を通じて発展させていくことで流行りができる土台が成り立つものと考えられます。

他にも議題や議論など論点はたくさんありますが、また別な機会に触れることとします。

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