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『はりぼて』にみる、日本の縮図

 五百旗頭幸男(いおきべ・ゆきお)監督による、保守王国、富山県富山市議会の政務活動費不正問題を暴く社会派ドキュメンタリー。
先月劇場で観た『ヤジと民主主義』をきっかけに、3年前の本編へ立ち返る。地方メディアの底力を感じた。

2016年に始まり、次から次へと芋づる式に、半年で14人もが辞職していく茶番劇。地道な取材でスクープし続けたのは、五百旗頭氏をはじめとするローカル局“チューリップテレビ”の記者たち。そんな彼らの動向は、保守王国にとって目の上のたん瘤、ついに局にいられなくなる苦い顛末までが描かれていく。
その後、五百旗頭監督は石川テレビへ移籍、手掛けたドキュメンタリー番組を元に作られた劇場版『裸のムラ』もまた、保守北陸の闇を衝く社会派作品なのだが、DVD化されておらず観ることがむずかしい。

『ヤジと民主主義』もそう、日本の縮図として捉えるとままならない。この楽にならない暮らしに、私たちは何と戦っているのだろう。敵の姿を、つぎの選挙で選ぶべきひとを見極めるうえでも、観ておいてよかった。阿保らしくて笑うしかないドキュメンタリー映画の秀作だった。


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