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“私”の推理で物語が動いていく— 犯罪捜査ゲーム『DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人』

子どもの頃から『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』が大好きだった私。「コナン君や金田一少年のような推理をしてみたい」と憧れを抱いたまま、気づけば大人になっていました。

何気ない日々を過ごしていたとき、たまたま書店で見かけたのが『DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人』。

それは書籍ではなく、本格的な犯罪捜査を体験できるゲームキットでした。

「私が求めていたものは、これかもしれない」と思い、購入してみることに。そして、とある休日に夫を巻き込んで未解決事件の調査に乗り出しました。

※ネタバレNGとのことなので、物語の核心には触れずにあらすじと雰囲気をお伝えします。

ある寺で起きた住職殺害事件の真実を解き明かす

ゲームをプレイするには、インターネット環境が必要です。

物語は、未解決事件のルポライターから「ある寺で起きた住職殺害事件を解決してほしい」という旨の手紙を受け取るところから始まります。

まず、驚いたのが同封されている捜査資料のクオリティとボリューム。
現場の証拠写真、容疑者たちの供述調書、新聞や雑誌の切り抜き……

どれも、子ども騙しではない「本物」のクオリティ。
この事件が本当に起きた出来事だったのではないかと錯覚しそうなほどです。

ボリュームも十分で、どこに必要な情報が隠れているのか整理するのが大変でしたが、それだけ解き応えがありました。

自分たちの手で真相に迫る感覚がたまらない

プレイ時間の目安は3〜4時間程度。
一気に解くには長丁場ですが、とくに制限時間は設けられていません。
ペースがゆっくりめな私たちは、2日に分けて解きました。

途中らちが明かなくなる場面もありましたが、少し休憩を挟んだり、翌日考え直したりしてみると、「ああ、こういうことか!」と点と点が繋がっていき……

自分たちの手で事件の真相に迫る感覚が新鮮でした。

もちろん、ヒントも用意されているので、行き詰まったとしても最後まで推理できます。

物語の一員になれる喜びを噛み締めながら

この魅力は、やはり「物語の一員になれること」にあると思います。
小説や漫画、ドラマ、映画、舞台などミステリを題材にした作品は山ほどありますが、私は物語の傍観者にしかなれませんでした。

しかし、このゲームキットは違います。
“私”が主体となって物語を動かしていくのです。

物語を考えたのは、直木賞作家の道尾秀介さん。
難事件を解決するのが幼少期の夢であり、近年はアメリカで流行中の犯罪捜査ゲームにハマっていたといいます。
しかし、どの事件もストーリー性がなく、もの足りなさを感じていました。

そうした背景から生み出されたのが『DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人』です。数々の謎解きを手がけてきた「SCRAP」と手を組み、実現に至りました。

最強コンビが作り出したこのゲームキットは、私の願いを叶えてくれた最高の作品です。

もっと謎を解き明かしたい……次回作#2を熱望!

未解決事件を解き明かした達成感は大きいのですが、物語の結末がこれまた素晴らしく……(自主規制)。

解き終わった後も、夫とあれこれ語りました。

「#1」ということは、今後もこのシリーズは続いていくはず?!
新しいミステリの楽しみ方として確立されていってほしいなと願っています。

ミステリ好きの方はぜひチャレンジしてみてください。

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