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bellが鳴る

いまは、なにも覚えていない

彼の名前も,愛のかたちも

会ったこと、起きたことは

初めての稀な景色とともに押しやられる

たぶん皆小さなことではなかったはずなのに

土曜日の夜、懐かしい行いを思い出し

わたしは繰り返しキッチンの火を灯す

行き先がない船が、すべて知っていたという

雨が降り,それは顔を顰めるほどの降り方だった

他人からも聞いた話で、わたしたちがその事についても話した

土曜日の夜,電話が鳴り、空っぽの部屋が響く

callの音がする

そうだ、彼は英語が話せるんだった。

多分それも、彼の生活と選択の結果

いったいどこにいるの?

それはずっと遠くで降っている雨の音

その中を聴き分けるみたいにして話した

彼はまだ、旅のさなかにいて

ここにいるよと告げる

そうだ、彼は英語が話せるんだった

His life, his choice彼は、知らない場所にいる

どこにいるの?とわたしが聞くと

ここにいるよ、といつも応える

土曜日の夜、わたしは愛のかたちをすっかり忘れていて,

初めの稀な景色の中に押しやられてた

まるで小さなことのように

窓の内側のカーテンを開けては閉める

いつも色んなことを忘れたかった一人だけの日々

いま、彼の心は

わたしの知らないところまで知っていた

どこにいるの?

わたしは電話越し、くりかえし同じことを聞いている

Where are you?…

英語圏の文の末尾がいまはどこで結ばれるのか

callの音が繰り返しなり,それは

sounds like an ending

電話口でいつも雨の音は、彼の質量と同じになる

callの音が繰り返しなり、

Where are you?

それは電話口でいつも彼の質量と同じになる

、、、

ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。