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聖杯戦争候補作

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つのが某所に投下した亜種聖杯戦争の候補作。落選多数。 鯖や鱒はご自由にお使い下さい。
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#バーサーカー

【聖杯戦争候補作】Tender Sugar

ボクと契約して、魔法少女になって欲しいんだ。 ボクは君たちの願いごとを、なんでもひとつ叶えてあげる。 なんだってかまわない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ。 でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。 この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ。 ○ 最近、私は同じ夢を見る。 誰か知らない女の子が病室にいて、ベッドの上に座ったまま本を読んだり、食事をしたりする姿を、ただ眺める夢。 その子は時々、私に笑いかけて何かを言う。だけど私には、その声が聞こえ

【聖杯戦争候補作】Underworld Refuge

曇り空の朝。京都市内の、とある公園、のトイレ。 ボロボロの自転車に薄汚い大量の荷物が積まれ、地面にまで散らばっている。毛布、衣類、空き缶、空き瓶、カラの弁当箱、雑誌や本。近くにはダンボールとブルーシートで作られた、小さなねぐら。典型的なホームレスの棲家だ。 この町にも、ホームレスが多少はいる。大概の場合、市民は彼らを無視する。時にはお役所から「支援施設に入りなさい」とのお達しも来るが、入る者も入らぬ者もいる。 ねぐらには何枚かの毛布が敷かれ、男が一人くるまって、イビキを

【聖杯戦争候補作】海底聖杯アンチョビー

「ううっ、なんでこんなことに……」 夜。冬木市の人けのない海岸で、制服を着た金髪の少年が膝を抱えて黄昏れていた。目の前には、昏い海。彼にとっては、故郷のようなものだ。 「はー、せっかくいろんなゴタゴタに片がついて、よーやく普通の生活が戻ってきたとゆーのに…すぺぺぺぺぺっ、なーにが聖杯戦争じゃっ。オレは暴力はキライなんじゃい、戦争は米軍とかに任せとけいっ」 目の幅の涙を流しながら、少年は無責任に愚痴をこぼしまくる。整った顔立ち、と言えなくもないが、美形というほど美形でもな

【聖杯戦争候補作】Walk Like an Egyptian

嘆くな、兄弟、我が片割れよ。 私と共にいることを望め。来世のことは後回しにせよ。 お前が葬られる時に、来世への願いは初めて叶うのだ。 その時には、私も降りていき、一つの家に共に住もう。 ―――『ある男とその魂との対話』 ○ 夜。空には、満月。 その少年は、森の中へ一人分け入って行く。 制服から、この冬木市に存在する「穂群原学園」の男子生徒と分かる。 ただ、上着の前を開け、中のシャツもボタンをいくつか開け、だらしなく着崩している。首元にはアクセサリー。耳を隠す程

【聖杯戦争候補作】ホーリー・グレイル・ヴァーサス・フューリー・ソウル

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