デブとして生きるより、人として死にたい。でも死ぬのは怖いから、豚として生きようか…。

デブになってしまった。

幼少期から痩せてた僕は心の底からデブを侮蔑していた。生きるために食べるはずなのに、それすら制限できずに、明らかに不要な脂肪を蓄えるデブはなんと愚かだろうか?

野生動物に肥満がいるだろうか?いや、いない。だって彼らは自然の中で戦っているから。肥満になる動物なんて家畜か、ペットか、動物園の観賞用の動物くらいだ。つまり戦わずして、生きれる環境にいる。意思も本能も持たぬ肉塊だけなのだ。

と、いった半ら独裁者のような優勢思想をもっていた僕ですが、気づけばデブになっていた。。

いや、少しだけ言い訳をすると、まだデブではない。176cmで75kgは肥満ではない、ただ標準体重は突破している。つまり軽肥満という、将来的には立派なデブへとステップアップできる逸材となってしまってるのだ。

僕はその事実に直面して狼狽している。このままの生活を続ければ僕は間違いなくデブへとなっていく。だって今まで痩せ(A)だったのに、そこから標準(AA)になり、気づけば軽肥満(AAA)という、デブ(メジャー)の一歩手前まで来てしまってるのだから。これはもう待ったなしなのだ。

僕は歩く。そして、脂肪を燃やす。煉獄さん、見ていてください。脂肪を燃やして、僕は柱になります。立派な痩せ柱になってみせます。


僕は、熱い心を震わせて今日からウォーキングを始めた。目標は40分!いや、目標じゃない。40分はノルマだ!!奴隷のように僕は歩き出した。

20分後。僕は信じられない激痛を左足に覚えた。普通の人ならとっくに死んでるほどの痛みではあるが、類い稀な精神力と、他の追随を許さない突出した胆力と、森羅万象天地一体となるほどの強靭な肉体を持つ僕だから、なんとか耐えれた。

30分後。額からは滝のような汗が噴き出てきた。恐らく体内の水分量の7割は出てしまっただろう。当然、一般人だったら、とっくに干からびて蒸発してアスファルトのシミになっているはずだが、人間界で一番神に近いと言われる尊い僕は、なんとか原型を留めていた。神通力。

そして40分が経った。オリンピアのアスリート達が切磋琢磨しても、尚届かない超越の先を通り越し、宇宙の真理すらも手中に収め、新たな世界の創造神として、万物の理を統べるものとして君臨した僕は、ここでやっと足を止めた。

長い戦いだった。こういった命のやりとりを経て、尚生き残り、明日を生きれるとは、奇跡である。なんでもないようなことが幸せだったと思う。僕は生き残ったのだ。この関ヶ原を。

家に帰ると、僕は800℃のシャワーを浴びて汗を流し、クーラーの温度を−45℃にセットした。

思い残すことは、もうない。

寝よう。

オリンピック、明日も楽しみ。おやすみなさい。


おわり。

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