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適応障害になって一番学んだこと。「夢をかなえるゾウ」から

「夢をかなえるゾウ」。電車の広告で見かけた本の広告。この本を見るといつも胸が痛くなる。

大事なことを教えてくれた本だからだ。

未熟だった私

登場するゾウのガネーシャが人生に必要なことを25の課題として教えてくれる。「トイレ掃除をする」や「まっすぐ帰宅する」など教えの一つ一つというよりは、本の根底に流れている教えにズキッと来たのだ。

どこかの誰かが私を豊かにしてくれる。
上に引っ張り上げてくれる。
私はこんなものではない。

心のどこかで奥底でそう思っていた気がする。結局、自立した人間ではなかったのだ。自分の人生に責任を持っていない、自分の力で生きていく覚悟が足りない、成熟した大人ではなかった。

だから私は本当の責任を突き付けられた時に乗り越えることができなかった。急に昇進し、仕事量が増え、上司がいなくなり、一気に増えた仕事の量と質、責任の重さに耐えきれず、適応障害になったのだと思う。

ただ、私のようにどこかで誰かが何とかしてくれる、そう思っている大人は意外といるのではないかとも思う。

責任を取れない大人のエピソード

以前働いていた会社でのことだ。小さい会社の幹部での会議で、出席者の何人かがこんな発言をすることが何度もあった。

「会社が決めたらそうします」
「会社がそう言うなら…」
聞いていた私は「会社って誰のことを差すのだろう?」と疑問に思っていた。

その瞬間、一番立場が上の人が言った。
「会社が決めたらと言うけど、会社という誰か上の人が別にいて方針を決めてくれる訳ではないですよ。この会議で決まることが会社の決定です
場の空気が変わった。

きっと自分で決めるのが怖いんだ。自分で責任を取るのが怖いんだ。
でも、私はその人たちのことを責められない。だって、私もそうだから。
同じ人は他にもたくさんいるのかもしれない。

覚悟を持った大人になれ

「夢をかなえるゾウ」を読んだのはちょうどその頃だ。辛口のガネーシャが人生を変えるため主人公に課題に与えていく。その一つ一つは「運がいいと口に出して言う」「明日の準備をする」など具体的な行動だった。

私はその課題よりは、主人公に教える時に話しているガネーシャの言葉がチクチク刺さった。私の未熟さをいちいち指摘されているようで。

でも、ガネーシャが教えようとしていたのも
「自分の人生を自分でなんとかせえ」
「覚悟を持った大人になれ」

という考え方だったと思う。

その後適応障害になり復職してやっと分かった。私は自分の人生を自分で引き受けていなかった。どこかで誰かが何とかしてくれると思っていた。自分の力で立つ覚悟がなかったのだ。

「夢をかなえるゾウ」のガネーシャはそれを教えてくれた一人だ。だからこの本を見るたびに自分の未熟さを思い出して胸が痛いし、本の存在自体が私にとって大きな教えだ。

広告でゾウを見るたびに問いかけられている。「自分の力でちゃんと立っているか」

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