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読書「シリコン・ヴァレー物語 受け継がれる起業家精神」 枝川公一著  中公新書 変化を受け入れる

1 本書
シリコンバレーの技術史を俯瞰した本で、技術系の人、ビジネス系で技術史
を知りたい人にお勧めです。話は、スタンフォード大学とヒュレットパッカード(HP)の関係から始まります。次に、トランジスタとIC(LSI)の誕生。東海岸のベル研で発明されたデバイスが、研究者と一緒に西海岸に流れて花開きます。その次がアップルII(パソコン)の誕生。次から次へとエレクトロニクスの歴史を塗り替えるデバイス、技術が生まれた話しは、物語のようですが、実話です。興味のある方は、この後は自分で読んで下さい。
1999年発行の本なので、21世紀の話しは含まれていません。シリコンバレーは21世紀も、世界のエレクトロニクスを動かし続けているのは、誰もが認めることです。

2 この本との出会い
半導体の研究開発に関わった者の一人として、シリコンバレーは特別な場所
です。出張などで、行くチャンスがありそうでないまま、現役を引退しましたが、その文化は、シリコンバレーの会社の人とあったり、ビジネスや製品に触れだけで、よくわかりました。
シリコンバレーに関しては、沢山の本がありますが、技術歴的な視点で書かれ、新書で手にしやすかったので、これを読みました。

3 変化を受け入れる
シリコンバレーが世界を動かしている原動力は、夢、個性、若さ、自信(時に過剰な)、変化、自由です。これだけだと、カッコいいワードばっかりですが、時にはそうでないハードワークと、失敗が前者と絡んで世界を動かします。
日本はかつて、北米、欧州と三極のエレクトロニクスの世界の中心でした。その時は、先行して新しい価値を生み出しましたが、成功のおごり?、基本的に変化を望まない国民性?、いろいろあって、一般顧客に提供する製品としては、一部の領域を除いて、新しい価値を生み出せなくなりました。

日本より、先にエレクトロニクス業界がだめになったのが欧州。仕事でいろいろと付き合いがあり、業界再編、若者へ権限移譲、組織の見直し・・・・変わることに積極的であるのを見たので、日本、自分の所属する組織、自分の状況が情けなかったです。私も変えるべき一人でありながら、できませんでした。今の仕事のスタートアップの立ち上げは、過去を反省しつつ、シリコンバレー的マインドで動いてます。

以下は、先のキーワードの中から、”変化”を選び、ここに書いても、誰にも、役立たないと思いつつ、個人の体験を書いたものです。
「そうそう、そうだった」と同感、同じ体験をした人もあれば、「それはあなたの特別な体験でない?」と感じる人もあるでしょう。

・所属した職場に年々新人が配属されなくなり、若さがなくなった。
・打ち合わせの相手の会社の参加者がオジサンばっかり。
 一言も発言しない必要のない人もいた。お互いそう見てたでしょう。
・シリコンサイクルで収益が大きく変わる半導体事業を経営者がこころよく思っていなかったのでは?
・研究開発で新しい事業を始めようとしても、社内の製造部門の協力がなかなか得られず、苦労した。
・新規事業検討プロジェクト、アイデアコンテストなど、とことんやらないのに、儀式的に繰り返してた。 

写真 多摩川でみた夕日

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