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〈6期公開イベント〉第2部後半ダイジェスト〜TPP11から考える米中対立と日本〜

皆さん、こんにちは!
今年度の薮中塾公開イベント、第2部後半グループの齊藤瑠香と申します。
本記事では、前回に引き続き、2月28日に開催されました公開イベントの第2部後半のダイジェストをお送りします~!

私たち2部後半グループの思いや、準備期間での出来事、当日のトラブル?!などなどをお伝えしていきたいと思います。

はじめに

第2部全体の意義および目的については、すでに前回の記事にてお伝えしてるので割愛します。

第2部後半のテーマは、「TPP11から考える、米中対立と日本」

「日本は中国のTPP11参加申請を承認するべきか否か」という論題で、肯定派・否定派に分かれディベートを行いました。

昨今のTPPからのアメリカの離脱(2017年)や中国の参加に対する積極姿勢、また中国を含めた東アジアでのRCEP発効(2020年)を受け、広域FTAという課題に対して、日本は今後どのように行動していくべきか?リーダーシップを取っていくべきか? それを考える一つの手段として、TPP11を取り上げ、今後の東アジアの国際関係、日本の取るべき方針を考えて欲しい。――その思いで、このテーマと論題を選択しました。

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準備期間

第2部後半グループの最難関は、「経済に関する難しい内容(貿易・投資など)をいかにわかりやすく伝えながら、一方で稚拙な議論にならないようにディベートを魅せるか」ということ。

12月から計4回の全体リハを行いましたが、そのたびに、「難しすぎる」「資料なしには全くついていけない」「経済や投資の箇所が呪文のよう」「なんか賢そうなこと喋ってるなという感じで内容が入ってこない」……などといったフィードバックの嵐でした。これでもか!と資料を整え、わかりやすく噛み砕(いたつもりで)き臨んだ2月のリハでも、同様のフィードバックでした。

これでは参加者の皆さんにテーマについて関心を持ってもらうどころか、ディベートの内容すらわかってもらえない。しかし、極端に易しくしすぎては、専門性を活かし、建設的な議論を魅せるという目的の一つが損なわれてしまう。葛藤でした。

そこで私たちのグループが準備期間を通して工夫した点は、以下のようなことでした。

・導入に漫才を取り入れ、ディベートの前提知識をインプットしてもらいやすく
・各立場の立論をひとつに絞ることで議論の流れを見える化
・スライドは図示に限り、伝えたいことが一目でわかるように
・議論の終盤は若干感情論っぽい意見も入れ、参加者の賛同をそそる

何度も何度もメンバー全員で頭を悩ませ、どうしたら参加者の皆さんにとって、そして私たち塾生にとっても、納得ができる、良いディベートになるのか、熱が出るほど考えたのです。

イベント当日

イベント当日、第2部後半は「ミルク薮」漫才からスタート。

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画面越しにはウケていたのかどうかは私たちには知る由もありませんが(笑)、ちょっとでもTPPを身近に感じてくれていたら、この漫才の目的は達成されています。

そしてディベート開始前に、参加者の皆さんへ投票を行いました。「日本は、中国のTPP加盟申請を承認するべきか否か」という問いに対して、賛成:反対=38%:63%(あれ、100%じゃないですね?笑)という結果になりました。

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そしてディベートスタート。両者は以下のような立論でディベートを行いました。

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簡潔に要約すると、

肯定派は「中国のTPP加盟による日本への経済的メリットが大きい」ということ、否定派は「中国の加盟を許してしまえば主導権が握られTPPが目指してきた自由化が損なわれる」ということを主張です。

両者一歩も譲らない白熱した議論が行われました。

否定派→肯定派への反論①:紛争処理における障壁は撤廃されない
否定派→肯定派への反論②:中国との経済関係強化は、政治・経済・行政面からリスクが高い
否定派→肯定派への反論③:日本の強みの高付加価値製品製造業にとって日本の市場およびTPP11域内の市場を奪われる
肯定派→否定派への反論①:「自由化レベルが下がる」という主張は具体性に欠けていて論拠がない
肯定派→否定派への反論②:中国は近年、自由貿易に協調的である
肯定派→否定派への反論③:TPP11に中国が加盟することで、TPPが中国主導になること、中国がアジア太平洋における経済覇権を握ると考えることは、
論理が飛躍している


ディベート終了後、最後にもう一度参加者のみなさんへ投票を行ったところ、面白い結果となったのです。

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(見えますか?)

「ディベートの勝者はどちらだと思いますか?」の質問はほぼ拮抗した結果となりました。一方で、「ディベートを通し、改めて、日本は中国のTPP11参加申請を承認するべきだと思いますか?」という質問には、「承認するべきでない」が依然として上回ったのです。

つまり、中国がTPPに入ることで日本が受けるメリットは認識できたものの、否定派の最後の主張でもあったように、やはり中国を加盟させることに対しては「なんとなく危険な感じがする」という意識があることが言えるのではないでしょうか。


ちょっとわらいばなし
イベント当日の集合時間9時、メンバーの一人があらわれず、「寝坊かな」と思っていたところ、12時になってもまったく連絡が取れない… イベント開始は13時。さすがに当日に寝坊は考えにくいのではないか、と緊急会議。自宅の住所を探すのにあらゆる手段を使い、やっと突き止めた自宅にメンバーの一人が直行。最悪の事態にも備え、残りのメンバーは緊急体制に。すると連絡が取れなかったメンバーから「おはよう、インターホンで起きた」とLINE(笑)
ともあれ、無事でよかった!!!何事もなく、2部後半を終えられました。


公開イベントを振り返って

第2部後半グループメンバーの振り返りコメントをご紹介します。

TPP11に中国は参加するべきなのかについて議論をする際にいかに、公開イベントの参加者が理解しやすいディベート設計をするか悩みました。しかし、メンバー間での長い議論を通して理解しやすいディベートになったと思います。(菊池)
米国と中国に対して日本はどのような政策をとるべきか、をテーマにディベートをする、というのが私たち第2部に与えられた使命でした。皆さんは普段、日本という国の立場から物事をみていますか?殆どの方が個人として生活し、思考していると思います。短い時間で、どうやってこの大きなテーマを扱うのかは悩みましたが、大衆向けのテレビや動画などのように見れば分かったつもりになれる内容にしても仕方がないので、なるべく普段通りの専門的な議論を設計しました。聞き流して分かるような内容にしていないので難しかったかもしれませんが、私たちが担当したディベートの穴がどこにあるのか、という視点で観ていただけると、楽しめたかと思います。(佐田)
3部構成で担当はそれぞれ決まっていましたが、各部互いに切磋琢磨しながら、自信を持ってイベントを迎えることができたかと思います。当日は発表内容や構成、資料に至るまで、素晴らしいものになりました。(橋本)
第2部の後半はTPPと米中関係という専門性の高いテーマを扱ったため、どうすれば参加者の皆様にわかりやすく伝えられるか何度も頭を悩ませました。しかし、塾長や塾生のアドバイスを取り入れて何度も改善を重ねたことで、無事成功させることができました。いくつもの苦難がありましたが、塾生1人1人が全力で公開イベントに取り組み、参加者の皆様に感動していただけたその経験は私にとって最も美しく、何にも代えがたい貴重な経験です。(宮本)


さいごに

改めまして、この度は薮中塾6期公開イベントをご覧いただき、誠にありがとうございました。

私たちのディベートを通じて、米中対立や、今後の日本の外交について、ご関心を深めていただけましたら幸いです。また、これをこの場限りの学びに留めず、今後も米中外交をはじめ、世界をとりまく様々な関心へ裾野を広げ、「グローバル人材」へのステップを進んでいってください。

また、公開イベントの総括第一部第二部前半、第三部についての記事も公開しているので、そちらもご覧になってください!

2021年3月15日

薮中塾公開イベント第2部後半グループ代表 齊藤 瑠香

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